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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

【大人バレエつれづれ】吉田都さん「プロフェッショナル」をみて思うこと

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楽しみにしていたNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」吉田都さん出演!

「恐れずに、つま先立ちで〜芸術監督・吉田都〜」ご覧になりましたか?

www2.nhk.or.jp

見逃した方は再放送をチェック!

2021年1月12日(火) 午前0:13 ~0:58 (45分) NHK総合1・東京(11日深夜です)

NHK+でも見逃し配信中(ID登録・ログイン必要)。配信は1月12日(火) 23:15 まで。

 

新国立劇場バレエ団(新国立劇場・舞踏部門)の芸術監督に就任し、コロナ渦中でファーストシーズンを迎えるという船出前から大嵐みたいな状況の中、とにかく気迫がありました、吉田都さん。

番組では芸術監督就任から新シーズン開幕の『ドン・キホーテ』の幕が上がるまでを追っています。

プロフェッショナルが語る言葉

番組内で語られた吉田都さんの印象的なことばの数々…

「お稽古を見直してほしい」

全団員たちへの挨拶ではじめに告げたのは、ターンアウト、プリエ、エポールマンなど、基本中の基本を見直すこと。

この言葉が、日本バレエ界の精鋭である新国立劇場のダンサーたちに語られたものだと思うと重みが違う…

 

基本中の基本を常に見直す、その理由としてあげられたのは、

「私たち(日本人)は選ばれた人間ではない、私たちは踊りたくてはじめた」

ロシアなどでは骨格や両親の体格などを厳しく審査され、選ばれた人たちがバレエを始めるのに対して、日本人はプロのダンサーでも必ずしもバレエにむている骨格が備わっているわけではない。体は本来の状態に戻ろうとする。常に基本に立ち返る必要があると語ります。

 

そして、『ドン・キホーテ』のキトリ役に挑むプリンシパル米沢唯さんがすごかった。

都さんが米沢さんに望むのは「ステップを超えたところにある、遊びや余裕」

それに応えるために今までのやり方を変えて、踊りのバランスを崩した米沢さん。

誰もが認める素晴らしいテクニックの持ち主である米沢唯さんが、失敗のリスクを犯してまでさらに上を目指す姿に圧倒されました。

そして米沢さんの言葉も泣かせる。

「舞台の上の挑戦する怖さが…都さんの指導だとこわくない。安全なところで終わらない。もっともっと良くなると背中をずっと押され続けている気がする。すごく心強い」

英国時代の恩師ピーター・ライト卿が吉田都さんに伝え続けてくれたという「信じる」ということ。今度は都さんから米沢さんに伝えられている…

 

この番組を観たら観たくなりますよね、米沢唯さん×速水渉悟さんの『ドン・キホーテ』。

1月15日(金)まで「チコちゃんと一緒に課外授業」で有料配信中です!

公演映像以外の特典映像付きで2,500円(税込)

chicoissyo.com

 

 

吉田都さんにとってプロフェッショナルとは

「情熱と誇りを持って、同じことをコツコツと続けられること」

そして最後の言葉は

「こだわって、諦めないで、いきます。しつこく」

世界のレベルを目指すという吉田都さん。パリ・オペラ座の伝説的エトワール、マニュエル・ルグリが芸術監督に就任していた10年間で、ウィーン国立バレエ団の評価が飛躍的に高まったように、これからの新国立劇場バレエ団に期待!

 

と書いたところで、1月9日からの『ニューイヤー・バレエ』中止のお知らせが!

【重要】1月バレエ公演「ニューイヤー・バレエ」公演関係者の新型コロナウイルス感染/公演中止について | 新国立劇場

関係者から感染者が出てしまったようです。これだけ多くの人が関わる公演で、今の感染状況を考えたら仕方がないことではありますが、本当に残念。さあこれからという時に、吉田都さん、ダンサー、公演関係者のみなさんの気持ちを考えると…(涙)

でもは観客は楽しみに待っています。 素晴らしい舞台を再び劇場で観られる日がくることを。どうか持ちこたえてほしい。

2021.1.8追記

中止になった公演は1月11日(月・祝)14:00より無観客ライブ配信が決まりました!

「ニューイヤー・バレエ」無観客ライブ配信(無料) 実施のお知らせ(2021年1月11日(月・祝)14:00~) | 新国立劇場 バレエ

 おわりに

 最後に番組を見て、自分の大人バレエについての反省も、忘れないように記録しておきます。

(こんな超プロフェッショナルの話を、趣味で楽しくレッスンしているだけの自分の身に置き換えて考えるのも、非常におこがましいとは思いつつ…)

大人からはじめたバレエだから上手くならないとか、考えない。上手くならないのは、必要なことをやってないから。

上達の早道とか抜け道とか秘策みたいなものを求めない。上達に早道はなし。必要なことをコツコツやるだけ。

 新春早々背筋が伸びる思いでした。

まずはお正月太りを解消して(←そこから 笑)レッスン頑張ろう。

 

このDVDの書籍版は持っているのですが、3日坊主…笑。再度読み直そう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

バレエ DVD Miyakoレッスン 吉田都のエッセンス・バレエ・クラス
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これ、ほしいな…。吉田都×スティーヴン・マックレイの『くるみ割り人形』収録。

★最後までお読みいただきありがとうございました。

「バレエの王子になる!」気になるその後のその後 2021

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2019年9月にNHKBS1スペシャルで放送されたドキュメンタリー「バレエの王子になる!〜“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春〜」。ワガノワ・バレエ・アカデミーの美しいバレエ男子たちの卒業までの90日間を追ったドキュメンタリーはアメリカ国際フィルム・ビデオ祭銀賞、ニューヨーク・フェスティバル銅賞も受賞。たびたび再放送されています。

 2021年1月3日(日)もBS1で再放送があり、番組表には「本編終了後、彼らのその後を追ったミニ番組も放送」とあったので、もしかして新情報が?と思って見ていたのですが、ミニ番組の放送はなかった…(涙)

 

2020年5月の再放送の時には「その後」を追った10分ほどのミニ番組の放送があり、コロナ感染拡大で劇場が閉鎖される中での彼らの様子をうかがい知ることができました。

5月の再放送の時の記事はこちら。再放送のたびにPVが伸びます(笑)↓

www.balletaddict.com

 現在の彼らの状況も知りたい!というわけで、マリンスキー・バレエ、ボリショイ・バレエに入団したミーシャ、アロン、マルコ、キリルの4人のバレエ王子たちが現在どうしているか?彼らのインスタグラムなどの情報からチェックしてみました。

現在のロシアの劇場の状況は?

コロナの勢いはいまだ衰えない中、そもそも彼らがいる現在のロシアの劇場はどんな状況なのか?が気になります。

ロシアでのコロナによる死亡者は推定18万人超といわれており、世界第3位。昨年10月ぐらいから新規感染者が激増し、大きな第2波が到来しているとみられています。一部では飲食店、教育施設、劇場などに規制措置が取られているようようですが、厳しいロックダウン措置は今のところ実施しない方針のようです。

 

マリンスキー劇場があるサンプトペテルブク(人口約500万人)は新規感染者が一日3000人を超え、ボリショイ劇場があるモスクワ(人口約1200万人)は一日の新規感染者が5000人を超える状況です。

マリンスキー・バレエで踊っている日本人ダンサー石井久美子さんのYouTubeチャンネルの情報もなかなかショッキング。マリンスキーのまわりの仲間はコロナにかかっていない人の方が少ない、新規感染者が3000人を超えても劇場は満席…と動画内で語っています。(石井久美子さんご自身も現在コロナにかかっていてそれも心配…)

*2021.1.6追記

YouTubeがしばらく更新されないと思っていたら、石井久美子さんは年末に入院されたようです。1日も早い回復をお祈りいたします。

*2021.1.9追記

1月8日に無事退院されたようです。動画ではまだおつらそうですが、ひとまず安心しました。

石井久美子 - YouTube

マリンスキー・バレエのホームページをみると、1月7日から多くの公演予定が…

昨年秋の公演アーカイブを見ても、いくつかの公演は延期やリスケジュールになっていますが、連日のように公演が開催されています。

https://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/

ボリショイ・バレエも新年1月3日から、連日の公演予定がぎっしり並び、しかもチケットはほとんど”sold out" …↓

https://www.bolshoi.ru/en/timetable/?Y=2021&M=01

 

というわけで、こんな状況下でも今のところバレエの公演は行われているようです。

日本では不要不急と見なされがちな舞台芸術ですが、多くのロシア人にとっては日々の生活に欠かせないものと考えられているのでしょうね。

  

ミハエル・バルキジャ(ミーシャ)

Mikhail Barkidzhidzha

米国シカゴ生まれ。2018年ワガノワ・プリではグランプリを受賞。校長ニコライ・ツィスカリーゼから10年に一度の逸材と言われる。 

ワガノワ卒業後はマリンスキー・バレエ入団。入団後まもない2019年9月「白鳥の湖」のトロワに抜擢されデビュー↓ 

www.youtube.com

ところが5月に放送された彼の近況は、練習中に腰を傷めたことから椎間板ヘルニアを患い、コロナ禍もあってシカゴの実家で復帰の準備をしているというものでした。

その後ケガは完治したのでしょうか?

現在の様子をインスタグラムなどでチェックしてみると2020年秋には無事マリンスキー劇場に戻れたようです。「I'm back」というタイトルのストーリーズのハイライトでは、すでに舞台にも復帰し、色々な役柄を演じていることがわかります。

バレエ団のホームページにも、コールドバレエの一員としてプロフィールページがありました。

Mikhail Barkidzhidzha

プロフィールページに掲載されているレパトリーは『白鳥の湖』の王子の友人のみ(←入団直後に踊った役)ですが、更新されていないのでしょう。

インスタグラムの2021年年頭の投稿は、ニコライ・ツィスカリーゼ校長の誕生日を祝うもの。4人の中で一番の校長のお気に入りだったと思われる彼。強い絆で結ばれているようです。

 

インスタグラム

https://www.instagram.com/mishabark/

YouTube公式チャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCJuCPBlWyORF4sWfMDzun_A/featured

 ツィスカリーゼ校長についての記事はこちら!

www.balletaddict.com

 

大澤ホロウィッツ有論(アロン)

Aaron Osawa-Horowitz
父親は米国人、母親は日本人で、アメリカ生まれの英国育ち。英国ロイヤルバレエスクール卒業後、ワガノワ・バレエ・アカデミーに編入。身長175cmでロシアの男性ダンサーとしては小柄ですが、抜群の跳躍力を誇り、努力家で聡明な好青年です。

ワガノワ卒業後はマリンスキー・バレエに入団。入団後の2019-2020シーズンは数々の公演に出演していました。

2020年5月の近況では、ロンドンの実家でご家族と過ごしていましたが、その後バレエ団に戻り2020-2021の新シーズンも多くの舞台に出演しているようです。

マリンスキー・バレエのサイトにはアロンのプロフィールページも掲載されていました↓

Aaron Osawa-Horowitz

プロフィールページに書かれている主なレパートリーは

バフチサライの泉(ヌラリ)
くるみ割り人形(中国、スペイン、コサック、ペトルーシュカなど)
オペラ「マゼッパ」(ヤング・コサック)

 

アロンのインスタグラムに投稿されている2020-2021seasonというタイトルのストーリーズのハイライトではいろんな役の衣裳・メイク姿が見られますが、そろいもそろって非常にエキゾチックというか、濃い役柄というか…ロシアではダンサーが演じる役の住み分けがはっきりしているので、これが普通なんでしょうね。

ストーリーズには同じ英国ロイヤルスクール出身でマリンスキー・バレエのプリンシパル、ザンダー・パリッシュとの2ショットも。

昨年12月9日のインスタグラムの投稿は、12月5日上演『バフチサライの泉』の出演動画。ますます磨きがかかったように思える素晴らしい跳躍力で会場をわかしています。

コメント欄をみると、ボリショイ・バレエに入団したキリルがコメントしている!そして、キリルの次にコメントしているのはニコライ・ツィスカリーゼ校長! 

 
 
 
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インスタグラム

https://www.instagram.com/aaron__oh/

マルコ・ユーセラ(マルコ)

Marko Juusela

フィンランド出身。14歳からロシアに渡り、ワガノワ・バレエ・アカデミーに入学。

大きな瞳と笑顔が印象的なマルコ。クラスではミーシャについでナンバー2の成績で、卒業後はマリンスキー・バレエに入団しました。

5月の近況ではフィンランドに戻っていた彼も、バレエ団に戻ったようです。

バレエ団のマルコのプロフィールページは5月にチェックした時から変化なし。(なぜか3人のうちで彼だけ顔写真が掲載されています。)

Marko Juusela

プロフィールに書かれている主なレパートリー
ラシルフィード(若者)、放蕩息子(放浪者の友達)、くるみ割り人形(道化師)
バフチサライの泉(若者)、愛の伝説(フェルハドの友人)、くるみ割り人形(コサック、スペイン舞踊)、シンデレラ(夏)

マルコのインスタグラムの2020年10月15日の投稿では、7ヶ月ぶりに劇場に戻り、明日が最初の舞台(←『バフチサライの泉』と思われます)と書かれています。

写真ではちょっと痩せたようにも見えますね。

 
 
 
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インスタグラム

https://www.instagram.com/markojuusela/

 

キリル・ソコロフスキー(キリル)

kirill sokolovski

ベラルーシ出身。189cmの長身で抜群に美しい容姿をもつキリル。アカデミー在学中はモデルのアルバイトをしていました。努力家タイプではなく、アカデミーではニコライ・ツィスカリーゼ校長から叱られ続け、卒業公演にも出してもらえませんでした。4人の中で彼だけは卒業後、ボリショイ・バレエ団に入団。

昨年5月に放映された近況では、コロナ禍で劇場が閉鎖されても、4人の中で唯一自宅に戻らず、モスクワの親戚の家に身を寄せていたキリル。家族と離れてのモスクワ暮らしはちょっと寂しそうでした…

その後ボリショイ劇場も再開し、キリルも再び舞台に立っているようです。

個別のプロフィールページはありませんが、ボリショイのコールドバレエのページに名前と写真が掲載されています。それにしてもコールドバレエの人数がすごい…

モノクロのアーティスティックな写真を選ぶあたりがキリルらしいですね(笑)

https://www.bolshoi.ru/en/persons/ballet/chorus/

インスタグラムでみる彼は、髪を短くして精悍な印象になりました。

フォトグラファーに写真を撮ってもらったり、絵を書いたりのキリルらしい投稿も多いですが、真面目にレッスンもしているようです(笑)

脚のライン、かかとの高さ…(ため息)

 
 
 
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2020年最後の投稿は『くるみ割り人形』に出演中のジャンプの動画。

衣裳からすると2幕の「あし笛の踊り(フランス人形)」かな?と思って調べると、12月30日公演などで、キリルの名前がキャスト表に掲載されていました。グロゴローヴィッチ版『くるみ割り人形』の「あし笛(フランス人形)」は男女ペアの踊りですが、キリルの相手役はファースト・ソリストですし、結構な抜擢なのでは…?

 
 
 
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インスタグラム

https://www.instagram.com/kirill_sokolovski/ 

 おわりに

とりあえず、ミーシャが舞台に戻れてよかった!

そしてキリルがボリショイをやめていなくてよかった!(笑)

4人のこれからの活躍が楽しみです。早くコロナが収束して、ドキュメンタリーの続編がみられる日が来ることを願っています。

 

2022年1月の最新の「その後」記事はこちら↓

www.balletaddict.com

 

ワガノワ・クラス 男子編!

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2021 バレエシーンに木本全優さん出演!

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元旦夜のお楽しみといえば、ウィーン楽友協会大ホールで演奏されるウィーン・フィル ニューイヤーコンサートの生中継。コロナ感染拡大防止のため、今年は無観客で開催されました。

毎年の恒例のウィーン国立バレエ団によるバレエシーンには日本人第1ソリスト(最高位)木本全優さんが出演!

無観客の黄金のホールの様子には心が痛みましたが、今年のニューイヤーコンサートはいつも以上に感動的なものでした。

見逃した方は再放送をぜひチェックしてみてください。

【ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2021 再放送予定】

2021年1月9日(土)14:00~17:00 Eテレ

クラシックファン必見の番組が盛りだくさん! |NHK_PR|NHKオンライン

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2021

指揮者はイタリアの巨匠、王様とも称される リッカルド・ムーティ。今年はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との共演50周年の記念の年、ニューイヤーコンサートは6回めの登場です。背筋の伸びた堂々とした姿が素敵なリッカルド・ムーティさん、今年80歳になるというから驚きです。

コロナ禍に苦しむ世界に向けて「希望とよろこび」がテーマという今回は、胸がすくような、晴れやかで明るい曲が多かった気がします。

演奏された曲目はこちら↓

NHK 番組表 | ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート 2021 | 新たな時代の幕開けをクラシック音楽と共に▽ウィーン楽友協会大ホールから生中継!イタリアの巨匠リッカルド・ムーティによる円熟のタクトに注目▽ゲスト別所哲也ほか

画期的なオンライン拍手システム

今回の無観客公演では、事前登録された7000人の拍手が世界から会場に届けられるオンライン拍手システムも導入されていました。第1部、第2部の終わりに、団員たちが立ち上がると、大きな拍手がわき起こります。終演後は拍手に混じってブラボーの掛け声も。会場ではどんな風に聞こえているのでしょう…皆さん嬉しそうな表情を浮かべていました。リアルタイムではないようですが、事前に寄せられた登録者の写真が画面を埋め尽くす演出もあり、感動的な瞬間でした。

(恒例の「ラデツキー行進曲」の観客の手拍子はなし。微妙な遅延もあり、手拍子は難しいのでしょうね…)

このオンライン拍手システム、無観客上演のリアルタイム配信ではぜひ普及してほしい。拍手のない公演は観ていて心が痛みます。

パリ・オペラ座の無観客公演の感想はこちら↓

www.balletaddict.com

心に響いた「美しき青きドナウ」

演奏前や休憩中のダニエル・フロシャウアー楽団長らへのインタビューも興味深いものでした。ウィーンフィルがいち早く演奏中の飛沫拡散の実験を行い、コロナ渦中での演奏会のあり方を模索したこと、いたずらに演奏者同士の距離を離すことは音の響きを変えてしまうこと…。

そして第2部演奏後、通常ならアンコールで演奏される「美しき青きドナウ」、「ラデツキー行進曲」の演奏前に、リッカルド・ムーティさんがマイクを握り短いスピーチをしました。「音楽家は職業ではなく使命」「音楽こそ心の健康を助けるもの」。力強いメッセーッジのあとに演奏された「美しき青きドナウ」は本当に美しかった

「美しき青きドナウ」は普墺戦争に敗戦し打ちひしがれていたオーストリアの人々を励ますために、作られたといいます。コロナ禍に苦しむ世界中の人に向けられた「希望とよろこび」が、私の元にも確かに届いた気がしました。

木本全優さんは「春の声」で登場!

ウィーン国立バレエ団のバレエは第2部の3曲目「マルゲリータ・ポルカ」と5曲目「春の声」で登場。木本全優さんは「春の声」に出演しました。

出演に先駆けて、第1部と第2部の間の休憩では、木本全優さん、橋本清香さんご夫婦が登場し、インタビューに答えていました。2019年に夫婦揃ってニューイヤーコンサートのバレエに登場した時の映像や、ちらっとですが今年のバレエシーン撮影のメイキングも流れていました。今回のバレエシーンは8月に収録されたものだそうです。半年前には収録しているのですね。

木本全優さん、橋本清香さんは共に兵庫県出身。10代のときに留学先のフランス・カンヌ・ロゼラハイタワーで出会い、木本全優さんはその後、コンセルヴァトゥール(パリ国立音楽院)に編入。それぞれ学校を卒業すると、ドレスデン国立歌劇場バレエ団に入団、2008年には2人でウィーン国立バレエ団に移籍。橋本清香さんは2016年、木本全優さんは2017年、最高位である第1ソリストに昇格しています。

10代で出会って、海外のメジャーなバレエ団で夫婦そろって最高位に昇りつめるのは、奇跡のような確率ではないでしょうか。

こちらは木本全優さんのプロフィール動画。脚のラインが美しい!シャイなお人柄を感じさせる最後のシーンもいいですね↓

www.youtube.com

こちらは橋本清香さん。強いテクニックと華やかなオーラ!↓

www.youtube.com

ウィーン国立バレエ団は昨年、芸術監督がマニュエル・ルグリからマーティン・シュレップァーに交代していますが、振り付けは昨年のニューイヤーコンサートに引き続き、元パリ・オペラ座エトワールのジョゼ・マルティネス。ネオクラシック的な振り付け、男女のちょっとしたストーリーあり、微妙な小芝居あり(笑)という感じ。2曲ともクリスチャン・ラクロワの衣裳がとても美しかったです。

「マルゲリータ・ポルカ」作曲:ヨーゼフ・シュトラウス

オーストリアの建築家アドルフ・ロースが設計したロースハウスがバレエの舞台。ロースハウスはオーストリアのモダニズム様式を代表する建築といわれています。装飾を抑えた20世紀初頭のスタイルは、ニューイヤーコンサートのバレエの舞台としてはちょっと新鮮。

1人の男性をめぐる、3人の女性の恋の駆け引きみたいな感じ?のストーリー。背景の建築が美しく、印象的なアングルの映像が多かったです。ミニドレスの3人の女性ダンサーの足元はハイヒールでした。

「ワルツ「春の声」」作曲:ヨハン・シュトラウス

ヨハン・シュトラウスのおなじみの名曲「春の声」。バレエの舞台はリヒテンシュタイン庭園宮殿です。

美しい宮殿内からスタートして庭園へ展開する4組の男女ペアの踊りで、木本全優さんは3組目に登場し、庭園の木立の中での踊りました。相手役はアリーチェ・フィレンツェ、だったと思う(すみません、不確かです)。女性ダンサーの紫など深い色の衣裳が、木々の緑に生えてとてもきれい。男性は燕尾服で、木本全優さんの美しい脚のラインが見えにくいのはちょっと残念でしたが、ウィーンの宮殿にふさわしい気品ある踊りでした。

優雅な踊りの足元を見ると芝生の上だったり、砂利道だったりの過酷な状況。さらに女性たちはポアント。撮影は大変そう…

おわりに

終演後の日本に向けてのインタビューに応えて「世界中にポジティブなメッセージを届けられたと思う」と語ったダニエル・フロシャウアー楽団長。

ポジティブなメッセージ、確かに受け取りました!

★最後までお読みいただきありがとうございました。