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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

バレエ・アステラス2021【鑑賞レポート】

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「バレエ・アステラス2021」を鑑賞しました。

初日の8月28日(土)に鑑賞したのですが、当日午前中に新国立劇場バレエ研修所の研修生1名が発熱し、新国立劇場バレエ研修所の出演の3演目は全て取りやめに!

残念ではありましたが、withコロナ時代ではこういう事態は常にあり得ると思っておいたほうがいいかもしれないですね。

*その後、発熱者は陰性であることがわかり、29日は予定通り出演したとのこと。よかったです!

公演概要

8月28日(土)14:00〜

新国立劇場オペラパレス

指揮:井田勝大
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【プログラム】

第1部

『コッペリア』第2幕よりパ・ド・ドゥ

橋本有紗(カザフ国立オペラバレエ劇場)
鷲尾佳凛(京都バレエ団/元ジョージア国立バレエ団)

 

『海賊』第2幕よりパ・ド・ドゥ

上中佑樹(元スロバキア国立劇場バレエ団

with 塩谷綾菜 (スターダンサーズバレエ団)

 

『ドン・キホーテ』第3幕よりパ・ド・ドゥ

福田侑香(ロシア カレリア共和国音楽劇場)

荒木元也(ロシア カレリア共和国音楽劇場)

 

第2部

『薔薇の精』

水井駿介(牧阿佐美バレヱ団/元ポーランド国立バレエ団)
with 青山季可 (牧阿佐美バレヱ団)

 

『タリスマン』よりパ・ド・ドゥ

大久保沙耶(元オランダ国立バレエ団)
森本亮介(ハンガリー国立バレエ団)

 

『ライモンダ』パ・ド・ドゥ

柴山紗帆 (新国立劇場バレエ団)

渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団)

 

2009年から開催されている「バレエ・アステラス」。「アステラス」とはラテン語とギリシャ語の造語で「星たち」という意味。海外で活躍する若手ダンサーたちのガラ公演です。

コロナ禍の影響で「バレエ・アステラス2020」は中止。今年は現在の状況を考慮し、帰国してから3年以内のダンサーまで参加資格を拡大して開催されました。

本来なら新国立劇場バレエ研修所の研修生が、新国立劇場バレエ団や研修所修了生のゲストとともに3演目『シンフォニエッタ』『人形の精』『Conrazoncorazon』を踊る予定でしたが、発熱者が出たために中止に。演目数としてはちょっと寂しい公演になりました。

そんな中でも印象に残ったダンサーたちについて書きたいと思います。

上中佑樹(元スロバキア国立劇場バレエ団)

上中佑樹さんといえば、バレエYouTuberとしても有名。「あほ〜い」のあいさつでもおなじみですね。スロバキアから帰国して、新シーズンからは新国立劇場バレエ団に入団が決まっています。

ご自身のYouTubeチャンネル「YUKI's ROOM」では『バレエ・アステラス』のリハーサルの様子もアップされています。

www.youtube.com

この日の『海賊』では大技を次々に繰り出していました。手足が長くスレンダーで体型にも恵まれているので、これから新国立劇場でどんなダンサーになっていくのかが楽しみです。

福田侑香(ロシア カレリア共和国音楽劇場)

『ドン・キホーテ』ではキレのあるテクニックが際立っていた福田侑香さん。

ご自身のYouTubeチャンネルでもキトリの動画がアップされています。

www.youtube.com

翌日の公演の「黒鳥」の踊りが素晴らしかったという評をあちこちで見かけました。演技力もありそうで、全幕を観てみたいダンサーです。

水井駿介(牧阿佐美バレヱ団/元ポーランド国立バレエ団)

水井駿介さんは、牧阿佐美バレヱ団ですでに主役にも配役されるダンサー。あまり若手というイメージがなかったのですが、帰国して3年以内という特別枠での参加です。

M.フォーキン振り付けの『薔薇の精』は、なかなか観る機会の少ない演目なので楽しみにしていました。水井駿介さんの薔薇の精は、上半身の動きやプリエの着地の柔らかさが妖精にふさわしく、美しかったです。

一緒に踊った青山季可 さんの華やかな存在感も印象に残りました。

水井さんのインスタグラムには、『薔薇の精』の指導を行ったイルギス・ガリムーリンさんとの写真が投稿されています。

 
 
 
 
 
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森本亮介(ハンガリー国立バレエ団)

この日一番心をつかまれたのは『タリスマン』の森本亮介さん。特に男性バリエーションの端正でありながら躍動感に溢れた踊りが素晴らしかった!

個人的に、『タリスマン』の男性バリエーションは、ダンサーがカッコよく見えるバリエーションベスト5に入ると思うのですが(後の4つはなんだろう 笑)、森本亮介さん素敵でした。

森本さんはハンガリー国立バレエ団ではグランスジェという階級で2020年にはカンパニー内のベストダンサーにも選ばれているそうです。(公演パンフレットより)アステラスは2回目の出演ですが、今後も観てみたいと思わせるダンサーです。

相手役の大久保沙耶さんの柔らかな表現も素敵でした。

森本亮介さんのインスタグラムにはタリスマンの練習動画が投稿されています。

 
 
 
 
 
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森本亮介さんは以前記事にした若手ダンサーのプロジェクト「SPOTLIGHT」に参加していた森本晃介さんのお兄さん。平野啓一・亮一の一々兄弟に続いて、森本亮介・晃介の介々兄弟(なんだそれ)も、ビッグになってほしい。

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柴山紗帆 &渡邊峻郁の輝く『ライモンダ』

最後は新国立劇場バレエ団からのゲスト、柴山紗帆 さんと渡邊峻郁さんの『ライモンダ』のパ・ド・ドゥ。

6月の新国立劇場バレエ団の全幕の『ライモンダ』も、このおふたりの公演を観ました。この記事で予想した通り、柴山紗帆 さんはファースト・ソリストに昇格しましたね!↓

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踊られたパ・ド・ドゥは全幕では踊られなかったガラの特別バージョン。すでに全幕の詳細な記憶がないのですが(汗)、公演パンフレットによると、

「牧阿佐美振り付けによる壮大なアダージョを織り込んだパ・ド・ドゥに仕上がっている」とのこと。

ふたりが登場しただけで後光が差すような、このキラキラ感はなんだろう…。

凛とした気品溢れる、ふたりの踊りを再び観ることができて満足です。

おわりに

今回の出演ダンサーたち。柴山紗帆 さんのインスタグラムより。

 
 
 
 
 
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今回のコロナ禍は若いダンサーたちの進路にもかなり影響を与えていますよね。帰国して日本に拠点を移す人も多いようですが、日本にそこまでの受け皿があるのかが気がかりです…。(新国立劇場バレエ団などは、今シーズンかなりの人数の新加入ダンサーを迎えていますが)

★最後までお読みいただきありがとうございます。

発表会の写真を見ながら反省会【大人バレエつれづれ】

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発表会が終わってから、はや一ヶ月。

発表会疲れが抜けないうちに夏バテになり、いまだにダルダルの毎日を過ごしていたところ、先生からこんなお知らせが。

「写真が出来てきましたので、期日までに申し込んでください」

写真…ですか…。

おそろしいですよね、発表会の写真。動画とはまた違ったおそろしさ。

見たいけど、見たくないな…とグズグズしつつ、写真データのアップされているサイトにアクセス。ちなみにうちのお教室では、オンラインで写真のサンプルデータを見て、ほしい写真を申し込む方式です。

 

まずは自分の出ている演目をクリック。

写っている自分の姿を見ながら、一喜一憂。いや、正確にいうと一喜十憂?一喜百憂?ほぼ予想よりひどいことになっている自分の姿を見ながら頭を抱え、これ多少マシでは?と思われる写真を発見すると内心ニンマリ。

ごくごくまれに(←決して毎回あるわけではない)「奇跡の一枚」といえる写真があったりします。そんなときは、コンマ何秒レベルだったであろう瞬間芸を捉えてくれたカメラマンさんに感謝しつつ、心の中でガッツポーズ。

この時点では一緒に踊っている仲間の姿はほとんど目に入っておりません。

ひとしきり自分チェックを済ますと、やっと自分以外の仲間の姿や、みんなの踊りが揃っているかどうか、立ち位置はどうか、などを見る余裕が出てきます。

自分の演目のチェックを終えると、自分が出ていない演目をクリックし、先生やゲスト方々の美しい写真を見てうっとりしつつも、自分との落差に愕然とする。

 

私の場合は、いつもこんな流れになっております 笑。

***

発表会の写真を見るたびにしみじみ思いますが、先生方の踊りはどの瞬間を切り取ってもバレエ。舞台上でのすべての動きがバレエです。

一方、大人初心者の私の踊りは、ポーズとポーズをつなぐ間の動きは、ほぼバレエじゃない謎の動きになっている。(さらにそのポーズ自体も、正確なバレエのポーズになっていないことの方が多いですが。)

腕の通り道、脚の通り道、頭の動かし方…。バレエって本当に厳密なものなんですよね。

以前は「わかっているけど出来ない」ってよく思いましたが、最近は「実はあんまりわかってないんじゃないか」って思うようになりました。「わかっているけど出来ない」ことも確かに数多く存在しますが、「なんとな〜くこんな感じ」で漠然とやっている部分も多い。

子供の頃から訓練した人は、身体がバレエを理解している。大人からはじめた場合は、頭でもっと厳密に理解して、意識することが必要なんだろうなと感じています。最終的には体が動くようにならないとダメですが。

***

最後に写真を見ての反省点と多少改善が見られた点を記録しておきます。(誰も興味ないと思いますが、自分のための忘備録です 笑)

反省点(無限にあるけど特に気になった点)

  • アラベスクがとにかく低い。もはや何のポーズかわからないレベル。
  • 無表情。ほとんど笑ってない。
  • 後ろにタンデュした足のかかとが丸見え。
  • ポアントの上で休んでいる。体が落ちている。
  • アン・オーがひし形。特にポアントのとき。
  • クロワゼの角度が浅すぎる。
  • シュ・スーのとき、全くアン・ドゥオールしていない。

多少の改善が見られた点

  • 前肩と猫背。

今回の発表会はポアント1演目、バレエシューズ1演目だったのですが、意外にポアントの方が体が落ちている印象がありました。アン・オーも潰れてひし形っぽくなっていて。ポアントに気を取られていっぱいいっぱいということもありますが、ポアントを履くだけで視線も上がって、なんか上にいけている気がしてしまうのかな…。きっとポアントに頼って立ってるんですね。

前肩を直すという長年の課題にいては、ごくわずかではありますが改善されている気がしました。発表会後は「前より練習の成果が出なくなったな…年なのかな…」と落ち込んでいたので、ちょっと嬉しかった。

***

ちなみに発表会のDVDはまだ、手元に届いていません。

動画はまた別のおそろしさがありますが…届いたらまた反省会を行いたいと思います。

 

発表会直後のやや感傷的な(笑)ブログはこちら↓

www.balletaddict.com

 

このへんから見直すといいんじゃないか?と思っている今日この頃

ワガノワのプレ・バレエのDVD↓

★最後までお読みいただきありがとうございました。

世界バレエフェスティバル Bプログラム【鑑賞レポート】

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世界バレエ フェスティバル、終わってしまいましたね。

Bプログラム、初日の感想です。

Aプロの感想はこちら↓ 

www.balletaddict.com

 公演概要

8月19日(木)14:00〜

第16回世界バレエフェスティバル Bプログラム

東京文化会館 大ホール

指揮: ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

ピアノ: 菊池洋子(「3つのプレリュード」)

【上演スケジュール】

 第1部  14:00~15:00
休憩 15分
第2部  15:15~16:05
休憩 15分
第3部  16:20~16:50

休憩15分

第4部 17:05〜17:55

1994年第7回の世界バレエフェスティバルで、マリシア・ハイデとジョン・ノイマイヤーが踊ったベジャール作品「椅子」を、27年振りにアレッサンドラ・フェリとジル・ロマンが上演することが話題になっていたBプロ。Aプロは3部構成でしたが、Bプロは「椅子」が単独で第3部となり、全4部構成でした。

Aプロに比べて、コンテポラリー作品が増えて、いつもの世界バレエフェスティバルらしいバランスのプログラムでした。

第1部

「グラン・パ・クラシック」菅井円加、ダニール・シムキン

振付:ヴィクトル・グゾフスキー 
音楽:フランソワ・オーベール 

Aプロがとても良かった菅井円加さん。この演目も素晴らしかった!

ポアントが床に突き刺さっているかのように微動だにしない見事なバランスなど、キレのあるテクニックに加えて、堂々とした風格がありました。オープニングを飾るにふさわしい踊りでした。「グラン・パ・クラシック」で黒の衣裳って、ちょっと珍しい気もしましたが、このふたりには似合っていてとてもきれいでした。

 「スティル・オブ・キング」マルセロ・ゴメス

振付:ヨルマ・エロ 
音楽:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 

上半身は裸、黒タイツに素足というシンプルな姿で登場したゴメス。ゴメスのために振り付けられた作品で「若き王の青春、権力と敗北の旅」(パンフレットより)を表現しているらしい。王様ということはなんとなくわかるけど、そこまで細かいストーリーはわかりませんでした…。ちょっとコミカルな感じがする振り付け。
ゴメスが女性ダンサーと組むときは、相手を美しく見せることに専念しているせいなのか、意外に印象に残らないことがあるのですが、ソロを観ると改めてにその踊りに魅せられます。特に腕の動きに独特な美しさがあるなぁ…と。どこまでも伸びていきそうな表情豊かな腕、久しぶりに観られて嬉しかったです。

 「トゥー・ルームズ」マリーヤ・アレクサンドロワ、ヴラディスラフ・ ラントラートフ

振付:イリヤ・ジヴォイ 
音楽:マックス・リヒター 

マリンスキー出身の振付家イリヤ・ジヴォイによる、2020年7月パンデミックの最中に構想されたという新作。照明によってつくられた2つ部屋を思わせるスペースで、それぞれに踊るアレクサンドロワと ラントラートフ。

黒のシースルーの衣裳越しの鍛えられた身体の動きが美しかった。アレクサンドロワは3年前のバレエフェスの時より、身体を絞ってパワフルになった気がする…。

 「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ エリサ・バデネス、ワディム・ムンタギロフ  

振付:マリウス・プティパ  
音楽:ピョートル・チャイコフスキー


Aプロのフリーデマン・フォーゲルに続き、Bプログラムではエリサ・バデネスが、2演目に出演。シュツットガルトは働き者だな(笑)

黒鳥に簡単にだまされそうな王子がとても似合うムンタギロフ。踊りは伸びやか。エリサ・バデネスも歯切れのいい踊りで、黒鳥を楽しげに演じていました。

このふたりは12年前に英国ロイヤル・バレエスクールで一緒に学んでいるんですね。

黒鳥に愛を誓う、というよりは黒鳥にスリスリと甘えているように見える王子ムンタギロフ↓

 
 
 
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 第2部 

 追悼 カルラ・フラッチ、パトリック・デュポン(映像)

Aプロとは違う追悼映像が流れました。パトリック・デュポンは「サロメ」、カルラ・フラッチは「シェヘラザード」と「レ・シルフィード」。Aプロと同じく大きな拍手が。

ホワイエにはカルラ・フラッチのポアントの展示も。

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「ジュエルズ」より "ダイヤモンド" オリガ・スミルノワ、ウラジーミル・シクリャローフ

振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ピョートル・チャイコフスキー 

スミルノワの高貴な佇まいと踊りはまさにダイヤモンド。Aプロのパリオペ組の"ダイヤモンド"に比べると、よりクールな美しさ…かな。 

キラキラのスミルノワ、シクリャローフの後ろに影のように映り込むキム・キミン↓

 
 
 
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「3つのプレリュード」アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ

振付:ベン・スティーヴンソン 
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ

男女のダンサーのバーを挟んで繰り広げられるデュエットから始まり、伸びやかなパ・ド・ドゥへと展開していく作品。はじめのパートのバーを挟んでのリフトなどがとても印象的で、だんだんバーがふたりを隔てる境界のように見えてくる…

シンプルですが情感がある素敵な作品でした。菊池洋子さんのピアノがとても美しかった。

こういうレッスン着のような衣裳でさえ、パリ・オペラ座クオリティーを感じる…

 
 
 
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「海賊」オニール八菜、マチアス・エイマン

振付:マリウス・プティパ 
音楽:リッカルド・ドリゴ 

「ダイヤモンド」もそうでしたが、なぜか「フランスVSロシア」的なプログラムになっている今回のバレエフェス。Aプロでロシア組が会場を沸かせた「海賊」、Bプロではパリ・オペラ座チームが踊りました。

ダイナミックというよりは繊細で緻密な表現が似合う気がするマチアス・エイマン。できればほかの演目で観たい気もしましたが(Aプロの「ゼンツァーノの花祭り」がよ過ぎたせいもあり…)、それでも十分に素晴らしい「海賊」でした。最後の超高速アラスゴンドターンはすごかった。

オニール八菜さんはメドーラがとてもお似合いでした。ふたりのブルーグリーンのシンプルな衣裳も美しかった。

第3部 

「椅子」 アレッサンドラ・フェリ、ジル・ロマン

振付:モーリス・ベジャール(ウージェーヌ・イヨネスコに基づく) 
音楽:リヒャルト・ワーグナー
原作は不条理演劇、ベジャール振り付け、上演時間は30分ときいて、ついていけるだろうか…と不安でしたが、舞台から目が離せず、あっという間の30分でした。理解したのかと問われれば、「うーん」なのですが、2人の創り出した世界に引き込まれました。

幕が開くと、舞台の上にはおびただしい数の椅子。天井からも沢山の椅子が吊り下げられています。ジル・ロマンは95歳の老人、フェリは94歳の老婆という設定です。白いスリップドレスを着たフェリは、老婆のようにも幼女ように見える…。

あらかじめ作品の解説ページを設けてくれたり、セリフの翻訳を配ってくれたり、さすがNBS。

www.nbs.or.jp

第4部

「ロミオとジュリエット」より 第3幕のパ・ド・ドゥ ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン

振付:ルドルフ・ヌレエフ 
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
入国が遅れ、Aプロでは観られなかった待望のユーゴ・マルシャン!ドロテ・ジルベールとの「ロミオとジュリエット」は一瞬で作品世界に引き込まれる感じ。激しく、切なく、とても素敵でした。

ユーゴ・マルシャンファンとしてはもう少し彼の踊りが観たかったですが〜。

2021年のロミオ。撮影はシムキン。

 
 
 
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 「シャル・ウィ・ダンス?」より "アイ・ガット・リズム" 菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

振付:ジョン・ノイマイヤー 
音楽:ジョージ・ガーシュウィン

ガーシュウィンの曲にのせたショーダンスのような雰囲気の作品。「グラン・パ・クラシック」から一転、燕尾服にポアントで踊る菅井円加さんがチャーミング。 アレクサンドル・トルーシュの粋なムードも素敵でした。

今回のバレエフェスでは、菅井円加さんのいろんな魅力を観せてもらった感じ。世界のスターダンサーたちの中でも強い輝きを放っていました。

 「悪夢」 エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

振付:マルコ・ゲッケ 
音楽:キース・ジャレット、レディー・ガガ


フリーデマン・フォーゲルのコンテンポラリーはいつも期待を裏切らない!作品自体も新鮮で面白いし、彼の踊りもいい。クラシックも素晴らしいですが、コンテンポラリーを踊っている時はよりのびのびしている気がします。ふたりの研ぎ澄まされた身体能力が十分に生かされた演目でした。

「ドン・キホーテ」エカテリーナ・クリサノワ、キム・キミン

振付:マリウス・プティパ 
音楽:レオン・ミンクス 
エカテリーナ・クリサノワの独楽のような回転、キム・キミンの滞空時間が長く美しいジャンプを堪能しました。ふたりのクリアな踊りを観て、清々しい気持ちに。やっぱり最後は「ドン・キホーテ」ですね。

フィナーレ 「眠れる森の美女」よりアポテオーズ

アポテオーズにのせて、ダンサーたちが登場。Aプロと同じく見事な花火のプロジェクションマッピングが映し出されて、フィナーレ。

最終日には、ハッピを着てのアトラクションもあったようですね。観たかったな…

 

 
 
 
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おわりに

バレエ鑑賞の際は、自分なりに最大限の注意をしているつもりではありますが、観に行っていいかなという迷いは常にあります。バレエフェスティバルのような、大規模な公演ならなおのこと…

誰もが複雑な思いを抱きながら、足を運んだと思われる今回の世界バレエフェスティバル。主催者や関係者、ダンサーたちに感謝しつつ、早く安心して、劇場に行ける日が来ることを心から祈ります。

 

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。

「SWAN」2021夏号は世界バレエフェスティバル特集