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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

Kバレエカンパニー 日髙世菜×栗山廉『くるみ割り人形』【バレエ鑑賞メモ】

年は明けてしまいましたが、昨年12月に観たKバレエカンパニーの『くるみ割り人形』の感想メモです。主演は日髙世菜さん×栗山廉さん。

公演概要

『くるみ割り人形』全2幕 Kバレエカンパニー

 2022年12月16日(金) 14:00開演

Bunkamura オーチャードホール

芸術監督/演出/振付:熊川哲也

原振付:レフ・イワーノフ

オリジナル台本:マリウス・プティパ

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 

指揮:井田勝大 管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー

舞台美術・衣装デザイン:ヨランダ・ソナベンド/レズリー・トラヴァース

照明デザイン:足立恒

【キャスト】

ドロッセルマイヤー:杉野慧

マリー姫:日髙世菜
くるみ割り人形/王子:栗山廉

クララ:塚田真夕(←吉田早織さん降板により変更)

人形王国の王様 / Dr.シュタールバウム:ニコライ・ヴィユウジャーニン

人形王国の王妃 / シュタールバウム夫人:山田蘭

ねずみの王様:ビャンバ・バットボルト

フリッツ:関野海斗

雪の女王:小林美奈

雪の王:堀内將平

粉雪:山田夏生、辻梨花、島村彩、世利万葉

花のワルツ ソリスト:高橋怜衣、長尾美音、奥田祥智、吉田周平

アラビア人形:小林美奈、グレゴワール・ランシェ、中井皓己

スペイン人形:佐伯美帆、吉岡眞友子、田中大智、武井隼人 

中国人形:辻梨花、関野海斗

ロシア人形:栗原柊、本田祥平

フランス人形:山田夏生、島村彩、世利万葉、

兵隊:金瑛揮、岡庭伊吹、山田博貴

 【上演スケジュール】

第1幕 50分

休憩 25分

第2幕 50分

熊川哲也さん芸術監督/演出/振付の『くるみ割り人形』は2005年の初演以来、毎年12月に再演を重ねています。今回は岩井優花さんが怪我で降板し、戸田梨紗子さんがマリー姫デビューされました。

熊川版の『くるみ割り人形』は、クララとマリー姫(=金平糖の精)は別のダンサーが踊るバージョンです。

感想メモ

バランスが良かった日髙世菜さん×栗山廉さん

日髙世菜さんのマリー姫は2021年に引き続き2回目の鑑賞。2021年の王子は髙橋裕哉さん(退団されてしまいましたね…)でした。今回の王子は栗山廉さん。

日髙世菜さんと栗山廉さんは、以前『カルメン』でカルメンとエスカミーリョとして踊っているのを観たとき、「このふたり、結構相性がいいかも」という印象が残っていました。

今回の公演を観て、改めて相性の良さを確信しました。まず身長や手脚の長さなどのバランスがいい。日髙さんの長身と細くて長い手脚に、栗山さんのスタイルの良さがつりあっている。グラン・パ・ド・ドゥのアダージョでマリー姫と王子が、歩いて歩いてアラベスクを繰り返すところなどは、ふたりのラインの調和がとれていてとても美しかった。

そして日髙さん自身もインスタグラムでコメントされていましたが、2021年のマリー姫は高貴な感じ、2022年のマリー姫は可憐だった。日髙さん自身がそう意識したからなのでしょうが、栗山王子に引き出された部分もあるのではと思いました。栗山王子は舞台でのパートナーの扱いに、優しさを感じるんですよね。(栗山さん以外の相手役が冷たいってわけではないですけど 笑)

そして日髙さんのテクニックの強靭さは、いつ観ても感動を覚えます。今回も不安定なところが一切ない、クリアな踊りを堪能しました。

くるみ割り人形が仮面を外して王子の顔に戻るシーン。栗山王子は仮面を外した瞬間、まさに「王子登場!」って感じで納得感がすごいなと思ってたら、私は2020年に小林美奈さんと栗山廉さんの『くるみ割り人形』をライブ配信で観た感想の記事で全く同じことを書いていました。それくらい栗山王子のあの瞬間は印象に残るってことですね。

 

2020年の小林美奈×栗山廉『くるみ割り人形』の感想はこちら↓

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猛吹雪と雪の女王&王が圧巻の雪の国!

「熊川版の"くるみ"で一番楽しみなのは雪の国」という人、けっこう多いのでは。それくらい毎回見応えがあります。

今回も雪の女王&雪の王、コール・ド・バレエ ともに素晴らしかった。途中で何度も拍手がおきていました。

雪の女王と雪の王はホリミナコンビ、小林美奈さんと堀内將平さん。相当な回数この役を踊っているであろうおふたり。女王と王にふさわしいゴージャスで威厳溢れる佇まいが素晴らしい。踊りが身体に染み込んでる感じで、決めるべきところでビシッと決めてくれるのが観ていて気持ちがいい。

以前小林さんと堀内さんのトークで、堀内さんが雪の王のメイクに力を入れていると話してたので、今回はメイクにも注目。遠目でもクオリティの高さが伝わってきました。

小林美奈さんのインスタグラムより。

ふたりともあまりに美し過ぎて、なぜかちょっと笑える 笑。今回のメイクのポイントはラインストーン使いだそうです。

 
 
 
 
 
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いつもながら後半に降る雪の量が半端なく、完全に吹雪。どれくらいすごいかというと雪の精たちのチュチュの丸い跡が、あっという間に床にできてしまうほど(チュチュの下だけ、雪が積もりにくいから)。滑りにくい素材の雪なんでしょうか?いつ観てもちょっと不安になる…

その後の休憩時間には、掃除機?バキューム?の大きな音が客席にも聞こえてきます。片付けも大変ですよね!

キレキレのねずみたちの正体は?

今回はじめて気がついたのですが、クララのもとにはじめに登場してくる2匹のねずみの踊りのキレがすごい!

配役表にはねずみの王様しか名前が載っていないし、ねずみのかぶりものと衣裳で顔も体型もわからない。誰が踊ってるんだろうと思っていたら、こんな投稿を見つけました。

吉田周平さんのインスタグラムより。この動画、最高。そして思った以上にリアルなねずみの衣裳が可愛いです。

 
 
 
 
 
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いつの公演にねずみで出演しているとは書いてありませんが、私が観に行った回は吉田周平さんは花のワルツのソリストで出演。きっとあの2匹のねずみのうちの1匹は吉田さんだったのではないかと。

吉田さんの別の投稿では、吉田さんと関野海斗さんとのねずみツーショットも。もう1匹は関野海斗さん?

関野海斗さんはこの日はクララの弟、フリッツと中国人形で出演していました。同じ1幕でもねずみとフリッツの出番は被っていないから、なんとか掛け持ちできそうだけど…。

吉田さんはねずみの視野を再現した写真も投稿。こんな視野(全然見えない)で、あんな着ぐるみ衣裳で、あのキレの良さと高いジャンプ!

でもあの2匹が吉田周平さん&関野海斗さんだとすると、それも納得です。

 

いつもながら、山田蘭さん演じるシュタールバウム夫人の華やかな佇まいが印象的。ブルーのストライプのドレス姿が素敵でした。

雪の女王を演じた小林美奈さんはアラビア人形にも登場。とても艶っぽかった。男性はグレゴワール・ランシェと中井皓己さん。いままで気がつかなかったのですが、中井皓己さんの肉体美に驚いた。

ロシア人形は本田祥平さん、栗原柊さん。ふたりともジャンプの滞空時間がすごかった。特に栗原柊さんは、着実にKバレエのなかで存在感を増してきていますね。

 

飯島望未さん&山本雅也さんのスペシャルトーク

この公演の後、クリスマススペシャル・トークイベントがあり、プリンシパルの飯島望未さんと山本雅也さんが登壇。くるみ割り人形について語ってくれました。

どちらかといえば、建前トークの山本雅也さんに対して、飯島望未さんがけっこうぶっちゃけていたのが面白かった。

印象的だったのは、熊川版『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥの振付がとにかく難しいという話。飯島さん曰く、「(どれくらい難しいかというと)はじめて踊った時は”ちょっと意味がわからない”レベル」。少し前に観たばかりのグラン・パ・ド・ドゥを思い浮かべながら、納得。

おわりに

クリスマスシーズンで、ホワイエはいつも以上に華やか。

3月の『白鳥の湖』の衣裳も展示されていました。

こんどは日髙世菜さんは山本雅也さんと組むんですね。楽しみです!

Spring 2023『白鳥の湖』 | K-BALLET COMPANY / K-BALLET FRIENDS

 

この本に掲載されている日髙世菜さんのインタビューでは、マリー姫の振付の難しさや役作りについても語られています。

ダンサーや指揮者のへのインタビュー、チャイコフスキー3大バレエの名曲徹底解説など、読み応えあり!おすすめです。

★最後までお読みいただきありがとうございました。

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2023 注目のバレエシーンは?

明けましておめでとうございます!お正月といえば、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートの生中継。ウィーン・フィルの素晴らしい演奏とウィーン国立バレエ団によるバレエシーンが楽しみですよね。

今年は残念ながら2021年、2022年と出演していたウィーン国立バレエ団ファースト・ソリスト(最高位)木本全優さんの出演はなしでしたが、全3曲でバレエが観られました。

 

2022年のニューイヤーコンサートの感想はこちら↓

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ウェーン・フィル ニューイヤーコンサート2023

毎年1月1日ウィーン楽友協会大ホールで開催されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサート。

2023年の指揮者は地元オーストリア出身のフランツ・ウェルザー・メスト。ニューイヤーコンサートは3回目の登場です。

今年は全15曲中14曲がニューイヤーコンサート初登場の曲という、大胆な選曲が話題に。NHKの番組の解説によると、ニューイヤーコンサートで演奏されるシュトラウス・ファミリーと同時代の作曲家の作品は1000曲以上あり、ニューイヤーコンサートではまだ1/3程度しか演奏されていないとのこと!まだそんなに演奏されていない曲があるとは驚き。

全体に軽快で明るく、終盤は叙情的でドラマティックな曲が多かった印象。

またウィーン少年合唱団が7年ぶりに出演、2004年に設立されたウィーン少女合唱団が初めて出演。清らかな歌声を聞かせてくれました。

NHKの公式に曲目一覧が見当たらなかったので、日本ヨハン・シュトラウス協会のページを貼っておきます。曲のタイトルなどは番組の字幕表記とは異なっていました。

日本ヨハン・シュトラウス協会ホームページより 演奏曲目一覧

ニューイヤーコンサート

 

NHKの生中継は、3年ぶりに現地特設スタジオからの放送。

昨年も出演していたショパン国際ピアノコンクール入賞のピアニスト反田恭平さん(現在ウィーン在住)、ヒゲとキャラの濃さでお馴染みのウィーン・フィルのバイオリン奏者、ヘーデンボルク・和樹さんがゲストとして出演していました。

ちなみにヘーデンボルク・和樹さんは今年はコンサートへの出演はなし。弟のチェロ奏者ヘーデンボルク・直樹さんは出演。

1部と2部の間の休憩時間にはダニエル・フロシャウアー楽団長も特設スタジオを訪れてくれていました。

バレエ「エクセルシオール」?

個人的に注目したのは第2部8曲目。(この曲でバレエがくるんでは?と予想していたけど、外れました。)

「鐘のポルカとギャロップ」(バレエ「エクセルシオール」より):ヨーゼフ・ヘルメスベルガー

ピチカート奏法を取り入れた軽快な可愛らしい曲。いかにもバレエに合いそうで、ちょっと踊ってみたくなった 笑。

番組の字幕解説によると

イタリアの作曲家マレンコによる「エクセルシオール」

最新科学技術をテーマにした人気作で1885年ウィーン宮廷歌劇場でも上演された

上演に際しヘルメスベルガーが追加音楽として書いたのがこの作品である

 

最新科学技術をテーマにした人気作?と思って調べてみると、バレエショップのフェアリーでDVDの取り扱いがありました。

商品紹介にも”19世紀イタリアで最も成功したバレエ作品の一つ”と書いてある。

ミラノ・スカラ座バージョンにヘルメスベルガーの曲は入っていないのかもしれませんが、ちょっと観てみたい…。

フェアリーの商品ページ。DVDにはカルラ・フラッチが出演しています↓

ミラノ・スカラ座バレエ「エクセルシオール」全2幕1978(直輸入DVD)

 

こちらは中古。フェアリーのと違うDVDのように見えるけど詳細はわからず↓

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【中古】 エクセルシオール 全幕 [DVD]
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ウィーン国立バレエ団によるバレエシーンは全3曲

昨年はヨハン・シュトラウス作曲 ワルツ「千一夜物語」の1曲のみだったバレエシーン。今年はなんとアンコールも入れると全3曲!

 

バレエシーンの振付と衣裳のクレジットは、生中継の時点では3曲とも「振付:マーティン・シュレップァー 衣装:アーサー・アルベッセ」となっていて、去年と同じだと思っていたら…見逃し配信では3曲とも振付・衣装のクレジットに訂正が入っていました。

正しくは

振付:アシュリー・ページ

衣装:エマ・ライオット

生中継でも「美しく青きドナウ」の終わり近くに突然このクレジットが入ったので、何かのミスかなと思っていたのですが、最後に入ったクレジットのほうが正しかったよう。

アシュリー・ページは、英国ロイヤルバレエ団出身。スコティッシュ・バレエの芸術監督も務めていた振付家。

エマ・ライオットは2020年のジョゼ・マルティネス振付のバレエシーンでも衣裳を担当していました。

マーティン・シュレップァーがウィーン国立バレエ団の芸術監督に就任してはじめて采配を振るった2022年のバレエシーンは、ダンサー、振付、衣裳なども含めて”多様性”を意識しているように思われました。

今年は昨年に比べると一見クラシカル…でも振付はしっかりコンテンポラリーだった。

あの「美しく青きドナウ」にのせた超アクティブな踊り。優雅には見えますが、音のひとつひとつに高速のパが詰め込まれ、絶え間なく体を思いきり使う、かなり激しい振付でした。アシュリー・ページによって解釈された現代のワルツって感じでしょうか?

バレエに適しているとは言えない床での収録、しかも女性は全員ポアント。それでも、この振付を美しく踊りこなすウィーン国立バレエ団のダンサーたちが素晴らしいです。

 

第2部2曲目 演奏会用ワルツ「愛の真珠」:ヨーゼフ・シュトラウス

撮影場所:ラクセンブルク宮殿

ラクセンブルク宮殿はハプスブルク家の離宮。あの「マイヤーリンク」の皇太子ルドルフが生まれた場所らしい!

広大な庭園と宮殿で4組の男女が踊ります。女性も男性も19世紀の貴族のようなクラシックな衣裳。女性4人のドレスのピンク、ブルー、イエロー、グリーンというブライトカラーの色合いが、背景の豊かな自然に映えていました。

4組の男女のうち目を引いたのは、イエローのドレスとシルバーグレーの燕尾服のカップル。ハードそうな振付をものともせず、とてもエレガントで美しかった。

調べてみるとダンサーは共にファースト・ソリスト(最高位)の、KETEVAN PAPAVAとMARCOS MENHAでした。

第2部4曲目 ポルカシェネル「さあ、行くぞ!」:エドゥアルト・シュトラウス

撮影場所:メルク修道院ガーデンパビリオン

軽快なポルカシェネルに合わせた、ひと組の男女の小粋でちょっとユーモラスな踊り。この振付、好きです。

女性はコルセットのようなボディーと短い青いチュチュ、黒い透けるタイツ(網タイツ?)とブルーのポアント、頭には小さなシルクハット、全体のイメージはちょっと蝶を思わせる感じ。男性は黒いシルクハット、パープルと黒の組み合わせの燕尾服にブーツ。今回の3曲中では最もモードな衣裳。

はじめは虫取り網で女性をつかまえようとした男性が、最後には逆に女性に捕獲されてしまうというベタなオチが、ニューイヤーコンサートのバレエシーンらしい。

ダンサーはMARIA YOKOVLEVAとDAVIDE DATO。DAVIDE DATOから発せられるエネルギーと瞳の輝きに惹きつけられました。

DAVIDE DATOのインスタグラムより。

 
 
 
 
 
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アンコール2曲目 美しく青きドナウ:ヨハン・シュトラウス2世

撮影場所:メルク修道院

18世紀に建てられたオーストリアのバロック建築の傑作、メルク修道院。この建物のインテリアはすごかった。バレエに似合いすぎる。

印象的だったのは、中程に出てくるライブラリーのような部屋。壁一面に並ぶ蔵書も含めて、すべてが重厚な光を放っていて現実離れして見えました。

この壮麗な空間で踊る、5組の男女。ちょっとした恋の駆け引き的な小芝居を挟みつつ、ひと組ずつ異なる部屋で踊り、最後は全員で華やかに踊って終わる。

ここでもMARCOS MENHAのラインの美しさが目を引きました。

 

女性は抑えた色合いの、レース使いが美しいドレス。男性はオールブラックの衣裳がとても素敵でした。体にフィットする素材でできている燕尾服っぽいフォルムのタイトな衣裳。

ウィーン国立バレエ団の公式インスタグラムより↓

 
 
 
 
 
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この曲の出演者はMARIA YAKOVLEVA、LOURENCO FERREIRA、HYO-JUNG KANG、CALOGERO FAILLA、OLGA ESINA、MARCOS MENHA、SONIA DVORAK、DAVIDE DATO、ALEKSANDRA LIASHENKO、MARIAN FURNICA。

 

*ブログではいつも「衣裳」という漢字を使っていますが、NHKのクレジット表記は実際のクレジットに合わせて「衣装」にしました。

おわりに

華やかで明るく、新年にふさわしいコンサート。心が洗われます。

見逃した方は再放送や、NHKプラスの1週間の見逃し配信があります。ぜひチェックしてみてください。

【ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2023 再放送予定】

2023年1月7日(土)14:00~17:00 NHK Eテレ1・東京

www.nhk.jp


★最後までお読みいただきありがとうございました。

本年もバレエレッスン、バレエ鑑賞についてマイペースで綴っていきます。本年もよろしくお願い致します。

パリ・オペラ座バレエ シネマ『白鳥の湖』【バレエ 鑑賞メモ】

パリ・オペラ座バレエ シネマ『白鳥の湖』を鑑賞しました。パリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルの2作目です。

今回の上演、前代未聞の事態がおきていたようです。なんと予告されていた2016年収録(アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ)の映像ではなく、2019年収録(レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ)の映像が上映されてしまったという!

マチュー・ガニオとジェルマン・ルーヴェの見分けがつかなかったとか?笑。

映像取り違えは初日に判明したのでしょうが、すぐに2016年の映像が用意できなかったのか、結局1週間の上演期間の前半は2019年の映像、後半は2016年の映像が上演されたようです。

ことの顛末はこちら↓

白鳥の湖2016:重要なお知らせ | culture-ville

このお知らせによると、1回分の料金で2016年と2019年の両方が観られたラッキーな人がいたってことですね。うらやましい。マチュー・ガニオとジェルマン・ルーヴェの王子を比較して観るなんて、すごく面白そうなんですけど。

私は最終日に2016年版を鑑賞しました。

 公演・上演概要

『白鳥の湖』全4幕 パリ・オペラ座バレエ

公演収録日:2016年 12月

場所:パリ・オペラ座 バスティーユ 

上映時間:2時間47分

振付:ルドルフ・ヌレエフ (マウルス・プティパ、レイ・イワノフ版に基づく)

音楽:ピョートル・チャイコフスキー

指揮者:ヴェロ・パーン 

衣裳:フランカ・スカルシャピノ

舞台美術:エツィオ・フリジェリオ

照明:ヴィニシオ・シェリ

演奏:パリ・オペラ座管弦楽団

芸術監督:オーレリ・デュポン

映像監督:フランソワ・ルシヨン

キャスト:

オデット&オディール/アマンディーヌ・アルビッソン

ジークフリート王子/マチュー・ガニオ

ロットバルト/フランソワ・アリュ

王妃/ステファニー・ロンベール

パ・ド・トロワ/レオノール・ボラック、オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ

 

ヌレエフ版の『白鳥の湖』は1984年初演。ジークフリート王子の内面にスポットを当てた演出が特徴です。

今回の上演は、オンラインでも配信され、2017年に劇場公開もされていた2016年12月収録の映像。

上演前と幕間には、当時の芸術監督オーレリ・デュポンによる主要キャストへのインタビューがありました。

上演前はロットバルトのフランソワ・アリュ、オデット&オディールのアマンディーヌ・アルビッソン。幕間ではジークフリート王子のマチュー・ガニオ。

インタビューは実際の公演の時に収録しているようです。出演者たちも大変ですね。

余談ですが、インタビュアーとして登場する当時の芸術監督オーレリ・デュポンの出立ちはタイトな黒のスーツとメンズっぽい白シャツ、10cmぐらいありそうなハイヒール。う〜ん、かっこいい…。ただ回答者をさえぎるように矢継ぎ早に話すデュポン、インタビュアーには向いてないかも 笑。

鑑賞メモ

王子の深層心理にせまるヌレエフ版

ヌレエフ版では”「白鳥の湖」は家庭教師にふんした悪魔ロットバルトに操られたジークフリート王子が現実世界で抱える結婚という問題から逃げ込む夢の世界”(公式サイトより)ということらしい。

バレエ|パリ・オペラ座| Swan Lake | 白鳥の湖

下手に置かれた椅子に腰掛けて眠っている王子の後ろで、オデットが白鳥に変えられる場面が繰り広げられる幕開けから、白鳥の物語は王子が見ている夢ということがはっきり示されます。

2幕の湖のシーンの装置も1幕の宮殿の階段や列柱の一部がそのまま残され、奥に平面的な湖の風景が描かれているという特徴的なもの。整然とした背景をバックに踊られる白鳥のコール・ド・バレエからは、より現実離れした夢の中の光景のような印象を受けました。さらに1幕から4幕まで、王子はずっと同じところにいるようにも見え、この版にぴったりあっているなぁと。

 

あまりにも難し過ぎて、ときには物語が途切れてしまう感じがすることもあるヌレエフの振付。この『白鳥の湖』は、超絶難しそうではありましたが、比較的自然な流れの中で観ることができました。

一点気になったのは、コール・ド・バレエからメインキャストまで、手を繋ぐ振付が多いこと。2人とか3人で上にあげた手を繋いで踊りったり、3人で手を繋いで、ふたりが繋いだ手の下を、もうひとりがくぐるフォーメーションとかがやたらと出てくる。

これはヌレエフの好みなんでしょうか?

今回はじめて気がついたので、別の作品でもチェックしてみよう。

マチュー・ガニオのエレガンス

ヌレエフ版の孤独で繊細なジークフリート王子に、マチュー・ガニオがぴったりはまっていました。憂いのある表情、踊りから滲みでる王子の気品とエレガンスが見事。

マチュー・ガニオはもちろん美しいけど、意外に薄味というか、そこまで興味を引かれないなあと、生意気にも思っていた時期もあるのですが、ここ数年で考えを改めました。若くしてエトワールになり、こういうノーブルな役を踊り続けてきた人の凄みを感じる…。

インタビューでは「そろそろ白鳥は…」みたいな言葉もでていましたが、ジークフリート王子はぜひ踊り続けてほしい。

アマンディーヌ・アルビッソンのオデットは野性味がある白鳥というか、ちょっとした動きや仕草に鳥っぽさがあったのが印象的でした。一方、黒鳥オディールは強さと生命力に溢れて魅力的。

ただボリューム感がある立体的なボディのアマンディーヌ・アルビッソンと、マチュー・ガニオの見た目のバランスは今ひとつかも。マチュー・ガニオの王子には、もうちょっと線の細いタイプが似合いそう…。

ダーク・ヒーロー、ロットバルト

王子の家庭教師と悪魔ロットバルトは、公演当時はまだプルミエール・ダンスールだったフランソワ・アリュ。キレのあるパワフルな踊りが素晴らしかったです。

どちらかといえばエレガントなタイプが多いパリ・オペラ座の男性ダンサーの中で、フランソワ・アリュは目立つ存在ですよね。

今回間違って上演された2019年版の映像でもロットバルトはフランソワ・アリュ。きっと当たり役なんでしょう。

上演前のインタビューではアリュは、ロットバルトの役作りにマーベルのキャラクターを参考にしたと語っていましたが、この版のロットバルトの衣裳は、なんだか戦隊ヒーローっぽかった。ブラックのレザーっぽいボディスーツとか。繊細な色合いや刺繍が美しいオーソドックスな王子の衣裳とのコントラストが印象的でした。

豪華なパ・ド・トロワ

1幕のパ・ド・トロワはレオノール・ボラック、オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェのという豪華な顔ぶれ。レオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェはこのシーズンの『白鳥の湖』でエトワールに任命されているので、エトワール任命直前ですかね?3人とも華やかで美しかった。

オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェは3幕のスペインでも組んで踊っていました。3幕の各国の踊りは、振付も衣裳もキャラクターダンス感薄め。洗練されたパリ・オペ仕様という感じでした。

おわりに

パリ・オペラ座シネマフェスティバルの次回の作品は2023年1月6日(金)から公開の「マノン」。2015年オーレリ・デュポン引退公演の映像です。こちらも楽しみ。

 

このレッスンDVDにはマチュー・ガニオのヌレエフ版『白鳥の湖』の王子のソロが収録されているらしい!

 

パリ・オペラ座シネマフェスティバル『シンデレラ』の感想はこちら

www.balletaddict.com

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。