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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

踊りより大変?バレエの演技【大人バレエつれづれ・発表会編】

 

早いもので今年ももう4月。お教室では、夏の発表会のリハーサルが着々と進行しております。踊りの振り移しは終了し、あとはひたすら練習するのみ。

踊りも課題山積ではあるのですが、今回それ以上に頭を抱えているのは演技です!

 

今年の発表会、演目は『ドン・キホーテ』。

私たち大人に与えられてる役柄は、”バルセロナの街の人々”なので、1幕は出ずっぱり。

ソリストたちの踊りやドラマに対するリアクションや、小芝居もこなさいといけない。

昨年の発表会でも少し演技があって苦労したのですが、今回はさらに舞台にいる時間が長く、ミッションも多い。

 

いや〜難しいですね。

なによりもまず、佇まいが”バレエの人”になってない。

先生から送られてくるリハーサル動画を見ても、そこにいるのはただの”おばちゃん”。

もちろん踊ってるときだって”バレエの人”になれてるか、おおいに怪しいですけど、踊りの場合は振付という”型”に助けられる部分がある。踊っていないときは自由に動ける分、姿勢とか仕草とかにすごく素が出やすい。やはり、バレエの基本姿勢が身についていないということなんでしょうね。

 

庶民の役なので気取ってるわけにもいかないし、先生に「もっと動いてください」と言われて動きを多くすると、動画の中の私は”ちょこまか動く庶民的なおばちゃん”って感じで、バレエ感もスペイン感もゼロ

スペイン感はハードル高いとしても、せめてバレエの劇中の人に見えるようになりたいなぁ。

 

さらに本番の舞台のことを考えると、別の心配もあって。

思い出すのは、以前別のお教室の発表会で『ドン・キホーテ』をやったときのこと。私自身は出演のパートがなかったので、1幕を袖で見学していました。

バジルを踊ったゲストダンサーの方が、途中で袖に引っ込んできた時に

「みんな(街の人々)もうちょっと前にでてきてくれないかな。遠巻きに見ててさ〜(苦笑)」

と小声で嘆いてたのが、聞こえたんですよね。

舞台の広さに対して、出演者の人数が少なかったということも大きいと思うのですが、確かにみんな広い舞台の端っこギリギリに立っていました。

かっこよく踊るバジルを、ぎこちなく遠巻きに見守る街の人々…。

バジルは本当に街の人気者なのか?って感じです 笑。

これは演じにくいですよね。ゲストダンサーの方が思わずつぶやいちゃったのもわかる。

でも同時に、舞台にいた人たちの気持ちも痛いほどわかる。

ゲストはもちろん、ソリストさんたちの踊りの邪魔をしちゃいけないというのが、一番にありますからね。「そんなとこにいたら邪魔だろ」って思われることは、絶対に避けないと。

プロならソリストとの適切な距離が読めて、状況に応じて臨機応変に動くってことができるんでしょうが。

 

さりげな〜く舞台にいるように見える群舞のダンサーたち。

実際には、ソリストたちの踊りやドラマを盛り上げ、場面の雰囲気を表現し、舞台の空間を適切に埋めつつ、自分の出番になったら自然に決められた位置についてしっかり踊り…うーん大変だ…。

 

まずはイメトレと思い、YouTubeでいろんなバレエ団の『ドン・キホーテ』を見て演技の勉強をしてます。

とりあえずわかったのは、ダンサーたちは日常の動作よりゆっくり動いてることが多いということ。ゆっくり動かないと観客には伝わらないということでしょうか。リハーサルのときに気をつけてみよう。

 

果たして本番で私は、”バルセロナの街の人々”になれるでしょうか?

ただの”ゆっくり動くおばちゃん”になっていないことを祈ります。

 

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参考にしている動画をいくつか。

 

いいタイミングで、ウクライナ国立バレエの『ドン・キホーテ』全編が公開されました!

www.youtube.com

 

牧阿佐美バレヱ団の公式チャンネルより。

全体のストーリーとハイライトシーンが15分にまとめられています。

www.youtube.com

 

英国ロイヤル・オペラ・ハウスの公式チャンネルより。

キトリはマリエラネラ・ヌニュエス、カルロス・アコスタ自身がバジルを演じているアコスタ版の1幕。

ほかに比べて群衆のお決まりの動きやポーズが少ないですね。

かなりナチュラルな感じ。ある意味演劇的なのかな?

www.youtube.com

 

上の動画と同じアコスタ版。高田茜さんがキトリ、金子扶生さんがドリアードの女王、崔由姫さん(上の動画にも登場してます)がキトリの友人で出演!

★最後までお読みいただきありがとうございました。

『ダンス・ダンス・ダンスール』25巻発売!【おすすめバレエ漫画】

『ダンス・ダンス・ダンスール』の最新刊25巻が発売になりました!

ジョージ朝倉さんの人気バレエ漫画、いつものように発売日に購入して一気に読みました。

25巻の表紙は”生川ボーイズ”の海咲、寿、(帰ってきた)大和。表紙はバレエメイク姿、裏表紙には同じ構図の素顔のイラストが載っています。

 

*以下、ネタバレ含みます。

 

前巻の感想はこちら↓

www.balletaddict.com

あこがれの師匠ブランコのもと、ニューヨークでバレエを学ぶ潤平。スクール公演『コッペリア』でフランツを演じ、大きな喝采を受ける。しかし公演の終幕間近、ジャンプで転倒し、膝前十字靭帯を断裂。すぐに再建手術を行い、リハビリに励むことに。

5か月後、怪我で出演できなくなった生川はるかバレエ学校のガラ公演を観るため、日本に帰国した潤平は、かつてのボーイズクラスの仲間たちの活躍ぶりを目にして落ち込む。

…というのがおおざっぱな25巻のあらすじ。

予告を見ていたので怪我は予想はしていましたが、”泣き顔の潤平”がたくさん登場する巻でした。

 

前十字靭帯断裂といえば、復帰まで最低でも1年ぐらいはかかる大きな怪我。

熊川哲也さんもこの怪我を経験されていますよね。

なるほどと思ったのは、巻末の【協力】に東京バレエ団の井福俊太郎さんの名前があったこと。井福さんも東京バレエ団の海外公演中に前十字靭帯断裂の怪我をされています。

井福さんのインタビューを読むと、潤平の状況とかなり重なる部分があります。

readyfor.jp

潤平のような踊るために生まれてきたような人が、一時的でも踊れなくなるって、想像を絶するような辛さでしょうね…。読んでるだけでも、ちょっと辛かった。

 

でもそんな潤平を支える、お母さん、兵ちゃん、夏姫、中村先生たちのサポートが温かくて心癒される。とくに潤平自身より潤平を理解している兵ちゃんの献身ぶりは、泣けるなあ…。

 

そんな”涙”もありつつ、”笑い”もあるのがこの漫画のいいところ。

久々登場の(ちらちらとはでてきてたけどね)生川ボーイズクラスの、海咲、寿、大和たちも、濃いキャラクターでしっかり笑わせてくれます。

そしていつも思うのですが、手書き文字でちょこっと書かれている小ネタが面白い。

例えば、ガラ公演後に生川はるかバレエ団の芸術監督GINYA・ギンヤ(←誰がモデルかは、みなさんおわかりでしょう)さんが登場して、色めきたつ潤平、海咲、大和たちの横に書かれている”GINYA嫌いなバレエ男子いない説”という文字。わかる。

 

最後に、25巻では線のタッチが少し変わった?

いままでのあまり強弱をつけない繊細な線から、若干太く強弱をつけた線が多くなったような…

どちらかといえば前のタッチの方が好きだけど…。なにか意図的な変化なんですかね?

 

巻末の予告を見ると、潤平の試練はまだまだ続きそう…。

師匠ブランコとの関係も気になる。

25巻でも潤平が、踊れなくなった自分と踊れなくなったブランコを重ね合わせるようなところが出てきて、このあたりがふたりの関係に今後どう影響を与えていくのか…

そしてこの巻にはほとんど出てこない、潤平のライバル流鶯は今どうしているのか?

ローザンヌ出場はどうなるのか?

 

すでに次巻が待ち遠しいです!

 

一気に読みたい方はこちら!

★最後までお読みいただきありがとうございました。

バレエポップアップ絵本『いつか きっと バレリーナ』田村セツコ【バレエの本】

すでに終了してしまっていますが、文京区の弥生美術館で開催されていた「田村セツコ展 85歳、少女を描き続ける永遠の少女」を観に行きました。

たまたま近くで用事があり、何の気なしに立ち寄ってみたのですが…なつかしかった!

小学生の頃、サンリオが発行していた「いちご新聞」で連載されていた連載「HAPPY おばさん」。楽しみにしてたな〜。

同年代の方なら、わかっていただけるのではないでしょうか?

単に可愛らしい少女のイラストではなくて、バレエシューズにボーダーソックス、首には黒のリボンのチョーカーとか、独特のスタイルがあったんですよね。

 

田村セツコさんは現在85歳、イラストレーターとしてデビューしてから65年だそうです!

デビュー時から現在まで、さまざまなイラストやグッズが展示されていましたが、そんななかでふと目に留まったのが、趣味の俳句のコーナー。

短冊に書かれた田村さんの自作の俳句がいくつか展示されていたのですが、そのなかにこんな句が。

「年の暮れ 回転不足の バレリーナ」

説明などは一切書かれていなかったのですが、一体どういう状況なんだろう、これ 。

でもなんだかジワジワくる…笑。

田村セツコさんご自身が、バレエをやってるわけじゃないよね?と調べてみましたが、そういう情報はでてこなかった。

代わりにこんな絵本を見つけました。(やっと本題です)

 

ポップアップ絵本『いつか きっと バレリーナ』

文:石津ちひろ

絵:田村セツコ

ポップアップデザイン:吉川和正

 

なんだか気になって、思わず買ってしまいましたよ。

2014年の出版で、もう中古しか販売されていなかった。

ポップアップ絵本(昔は”とび出す絵本”っていってた)なので、どんな状態かわからなくて不安だったけど、ネットで一番状態のよさそうなやつを探して購入しました。

 

楽天ではもうこれぐらいしか出てこない。こちらの状態は「中古-可」…。

 

バレリーナを夢見る少女の物語。

全12ページで新刊なら定価(1,800円+税)って「随分高いな」と思ったのですが、届いてみて理由がわかった。ポップアップがめちゃくちゃ凝ってる。

 

「絵本ナビ」のYouTubeチャンネルに動画がアップされています。

動画からもわかるように、はじめのページのポップアップは「プリエ」。地味だけどバレエの基本中の基本であるプリエから始まるなんて、いいですよね。

後半のグランジュッテとかリフトとか、再現度がすごいです。

www.youtube.com

 

バレエのポーズもなかなかちゃんとしています。脚の向きとか、手の形とか。

このへんがきちんと描かれてないとガッカリしますよね。さすが田村セツコさん。

 

というわけで、私のバレエコレクションに可愛い一冊が加わりました。

こういう絵本、もっとあってもいいのに。

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。