今回のコロナ禍で、大きな打撃を受けた舞台芸術。緊急事態宣言は解除になりましたが、劇場の定員の制限などもあり、劇場公演が元に戻るにはまだ時間がかかりそう…。
そんな中、ヒューストン・バレエのプリンシパル 加治屋百合子さんを中心に舞台関係者やアーテイストを支援する〈Hearts for Artists〉(ハート・フォー・アーティスト)プロジェクトが始動しました。
〈Hearts for Artists〉は有志のダンサーがオンライン・レッスンやオンライン・トークイベントを開催し、その参加料を舞台関係者やアーティストの活動資金を支援するための公益基金《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》に全額寄付するという画期的なプロジェクト。参加ダンサーはそうそうたる顔ぶれ。少しあげるだけでも、シルヴィア・アッツォーニ 、 アレクサンドル・リアブコ 、フリオ・ボッカ 、ロベルト・ボッレ、崔由姫 、マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ 、平野亮一 、岩田守弘 、小林十市 、清水健太 、ダニール・シムキン 、高田茜 、山本康介…
ダンサーと楽しい時間を過ごしながら舞台芸術を支援できる、願ってもないチャンス。早速、5月27日(水)に開催された「チャットナイトwith百合子&亮一」に参加してみました。
平野亮一さん&加治屋百合子さんのチャットナイト 参加レポート
「チャットナイトwith百合子&亮一」は、 仲の良い友人同士であるヒューストン・バレエ プリンシパルの加治屋百合子さんと英国ロイヤル・バレエ プリンシパルの平野亮一さん、2人のオンライン・トークを視聴できるイベントです。参加費用は1,000円。
今回のイベントではZoomウェビナーというシステムを利用。オンラインレッスンで使用されているZoomとは若干使い方が違うものの、参加のしかたは簡単です。申し込みとクレジットカードによる支払いをオンラインで済ませたら、あとはイベント当日主催者からトークルームに入室するのためのウェビナーIDが送られて来るのを待つだけ。
Zoomウェビナーはゲストトークのお2人だけが画面に映し出され、参加者が画面に映ったり、参加者の声がゲストに聞こえたりはしません。画面下の「Q&A」から2人への質問を入力できるようになっていて、トーク中に多くの質問に答えてくれました。(質問は匿名でも可能です。)
当日は日本時間で21:30からのスタート。時差を計算すると加治屋さんがいるヒューストンは7:30、平野さんがいるロンドンは13:30。加治屋さんは 、同じく〈Hearts for Artists〉のイベントであるオンラインレッスン(←残念ながら参加できず)を19:30〜21:00まで開催された後の参加でした。(オンラインレッスンは現地時間5:30からだったのか…頭が下がりますね。)
加治屋さんはオンラインレッスンの疲れも全く見えず、黒のレースのブラウス?ワンピース?でエレガント。そして お肌がツヤツヤ。一方平野さんは侍のように髪を束ね、白地に赤い文字で「NASA」と書かれたTシャツ姿。NASA?と思っていたら、平野さんはどうやら「宇宙オタク」らしい 笑。トークでも、明日?ヒューストンでロケットの打ち上げがあると話されていました。
以下は印象に残ったQ&Aの内容。ごく一部です。
*言葉遣いなどは正確ではありません。およその意味としてご覧ください。
(敬称略)
Q:好きな役、演っていて楽しい役は?
平野:人間的でドラマチックな作品が好き。オネーギン、ドラキュラ、ロミオ…
ロミオとジュリエットでは、ロミオの他にパリスやティボルトもやるが、ひとつの作品で、複数の役をやるのは面白い。役への理解も深くなる。
加治屋:それはわかる。私ならガムザッティとニキヤとか。
Q:平野さんが自分より男らしいと思うダンサーは?
平野:意外だと思うけど、ある種の役をしている時のジョナサン・コープ。男前だけど重みがある。
Q:トウシューズやバレエシューズは何を履いていますか?
平野:兄(平野啓一さん)から送ってもらっているカナダの「プリンシパル」というバレエシューズ。
加治屋:トウシューズはトラブルがあって、今これというトウシューズがないけど、「カペジオ」と「ブロック」を交互に。1回の公演で「カペジオ」と「ブロック」を混ぜて履いて、まわりからは信じられないと言われている。
↑注:幕によっては、右と左違うものを履いていたとおっしゃっていたと思うのですが…そんなことあるんでしょうか??
Q:公演前に食べるものは?
平野:特に決めていないけど、カツ丼を食べたいと思うときはある。ロイヤルは主役の日は朝のクラスの後、公演までリハーサルがないので、昼にコベントガーデンのそばの日本食屋でカツ丼を食べることがある。
加治屋:白いご飯は絶対食べる。公演の途中でお腹がすかないか、いつも心配(笑)。
Q:配役から本番までの期間は?
平野:主な役なら5〜6か月前にはわかっている。
加治屋:アメリカは発表が遅い。1か月前とか…
Q:急な代役の経験は?
平野:たくさんある。アンダースタディにも入っていなくて、30分でリハして演ったり。ツアー中に『冬物語』の全幕を3日で覚えたことがある。
加治屋:黒鳥のパ・ド・ドゥの時に、パートナーが男性バリエーション中に舞台上でけがをして引っ込み、音楽だけが流れている中、黒鳥として出ていって踊ったことがある。
Q:来シーズンの予定は?
平野:ロイヤルは9月からクラスがスタートする予定。舞台の予定は決まっていない。
Q:パ・ド・ドゥで気をつけていることは?
平野:女性を一番美しくみせること。
加治屋:コネクションかな。
Q:引退後のことを考えていますか?
平野:考えていない。もうそこまで長くないからこそ、先のことは考えないで思い切りやる。
加治屋:今しかない!
バレエの話題中心にピックアップしましたが、平野さんが得意な料理の話や、加治屋さんがお風呂でアイスを食べる話など、私生活の話も色々聞けました。
和やかなトークは予定時間の1時間を20分近くオーバーして終了。おふたりのリラックスした雰囲気に癒された、楽しい時間でした。
今後の〈Hearts for Artists〉のイベント
現時点で発表になっているこれから開催されるイベントは、バーミンガム・ロイヤル・バレエの王子こと、厚地康雄さんのオンラインレッスン「英国スタイル・バレエクラス」。
5月31日(日)11:00〜12:30 参加費2,000円
〈Hearts for Artists〉5/31厚地康雄のオンラインレッスン 英国スタイル・バレエクラス | Peatix
また27日のチャットナイトでは、シルヴィア・アッツォーニ によるオンラインレッスンとフリオ・ボッカのトークイベントが一足早く告知されていました。
今後も週1〜2回はイベントが開催される予定とのこと、楽しみです!
今後の開催情報は〈Hearts for Artists〉のメディアパートナーであるバレエ・チャンネルでチェック。
バレエチャンネル | 公演、ダンサー、レッスン、イベント、悩みや疑問―初心者からプロまで楽しめるバレエ総合メディア
《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》について
〈Hearts for Artists〉が寄付を行う《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は、コロナ禍で大きな影響を受けた舞台芸術に携わるアーティスト・クリエーター・スタッフ(個人・団体・企業問わず)の今後の活動に向けた金銭的支援を目的として設立された基金です。
2020年8月25日までクラウドファンディングで寄付を募っています。一口3,000円から寄付が可能です。
《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》https://www.butainomirai.org/
おわりに
連日のように世界のバレエ団などから配信される動画をありがたく感じながらも、やっぱり生の舞台が恋しい…
加治屋百合子さんの提案は、またあの感動を味わうために今できることは何だろうと考えるきっかけになりました。
これから開催されるイベントも楽しみです。
★最後までお読みいただきありがとうございました。