「下衆の愛」「全裸監督」の内田英治監督作品、映画『ミッドナイトスワン』が2020年9月25日に公開されます。草なぎ剛さんがトランスジェンダーの役を演じることが話題ですが、この作品のもう一つの重要なモチーフになっているのはバレエ。そう『ミッドナイトスワン』の「スワン」は「白鳥の湖」の「スワン」でもあるのです。草なぎ剛さんの相手役は本格的なバレエ経験をもつ13歳の服部樹咲(はっとりみさき)さん。演技未経験ながら、バレエ経験を前提にしたオーディションで数百人の中からヒロインに選ばれました。
バレエファンとしても気になるこの映画、公開を前にどんな作品なのかを予習してみました。
公式サイト↓
『ミッドナイトスワン』ストーリー&キャスト
内田英治監督のオリジナル脚本の『ミッドナイトスワン』。草なぎ剛さんが演じるトランスジェンダーとして生きる凪沙と、親に育児放棄された少女、一果を描いた物語。新宿のニューハーフ・ショークラブで働く凪沙の元に、故郷広島から親戚の娘一果が預けられることになります。凪沙と暮らすうちに、バレエと出会い才能を開花させていく一果、いつしか一果の母になりたいと願うようになる凪沙…
【キャスト】
凪沙:草なぎ剛
桜田一果:服部樹咲(新人)
桜田早織(一果の母親):水川あさみ
洋子ママ(凪沙の勤める店のママ):田口トモロヲ
片平実花(バレエ教師):真飛聖
桑田りん(一果の親友):上野鈴華
桑田真祐美(りんの母親):佐藤江梨子
桑田正二(りんの父親):平山祐介
一果役はバレエ経験前提のオーディションで選ばれた新人の服部樹咲さん。バレエ教師の片平実花役も宝塚出身のバレエ経験者である真飛聖さん。予告編を見ると、こんなバレエの先生いるな〜という感じでリアル。
一果の親友・ライバルであるりん役の上野鈴華さんも(ブランクが長かったようですが)バレエ経験者です。
内田英治監督はインタビューで実花役のキャスティングについて質問されると、こんな風に語っています。
こういう映画で難しいのは、よくあるパターンとして、手と足だけ違う人を使うっていう吹替だけは絶対に嫌だったので、先生役の真飛さんは宝塚出身でバレエ経験者ということで、やっぱりぜんぜん違いますよね。
やっぱりバレエっていうのは、経験してる人間としてない人間の差がすごいので。真飛さんにお願いしてほんとに良かったなって思います。
NB Press Online より
【完全レポート】映画『ミッドナイトスワン』世界初‼世界最長925秒予告編お披露目イベント | NB Press Online
その通り!バレエを踊れる人かどうかは佇まいだけでわかってしまいますよね。たとえ演技が素晴らしくても、バレエを踊る人に見えなければそれだけで、物語にリアリティーがなくなってしまいます。
世界最長925秒の予告編
9月25日からのロードショーに合わせて、なんと世界最長925秒の予告編が公開されています。
全編に流れる、ピアノ曲が美しい。音楽は渋谷慶一郎さん。
バレエ的に気になるのは
6:42 バレエ教室に体験に行く一果(バレエ初体験、お辞儀の仕方もわからない)
↓
7:28 アパートの狭い廊下で踊る一果(回転や高いジャンプを楽々とこなす)
一果のいきなりの上達に、ちょっとツッコミを入れたくなります(笑)。
あくまでも予告編なので、実際の作品ではどれくらいの時間で上達する設定なのかわからないですが。
あまりに長い予告編で、お腹いっぱいにならないかと思いましたが、本格的な踊りのシーンや、一果の親友・ライバルのりんはほとんど登場しません。
やはり本編が見たくなりますね。
コンクール入賞経験もある服部樹咲さん
演技未経験から大抜擢され、ヒロインを演じた服部樹咲さんは撮影当時は中学1年生という若さ。
映画に寄せられた宮藤官九郎さんのコメントに「雄弁な無表情」という言葉がありましたが、強い眼差しと面構えがいい。
そして手足が長く、体のバランスがとてもきれい。バレエの才能を見出されるヒロインにはぴったりです。
4歳からバレエを始め、YAGPの日本ファイナル、NBAジュニアバレエコンクールなどコンクール入賞経験もある服部さん。映画の中では「白鳥の湖」の第2幕のオデットのバリエーションが踊られるようなので、ぜひ観てみたい。
【服部樹咲さんプロフィール】
2006年7月4日生まれ、愛知県出身。4歳からバレエを始め、第76回NAMUEバレエコンクール名古屋 第1位、平成29年・30年ユースアメリカグランプリ日本ファイナル進出、NBAジュニアバレエコンクール東京2018 第1位などの成績をおさめる。
NAMUEクラシックバレエコンクール名古屋2016 低学年1位
こちらに入賞時の写真が掲載されていますが、10歳前後とは思えない長くてきれいな脚のライン!↓
第76回 NAMUE クラシックバレエコンクール 名古屋|クラシックバレエコンクール|バレエコンクール NAMUE ナミュー
バレエ監修は千歳美香子さん、レッスン曲提供は蛭崎あゆみさん
今回の映画のバレエ監修は千歳美香子さん。新国立劇場バレエ団などで踊られ、現在はチャコットスタジオなどの講師としてもお馴染みの千歳美香子さんは、数多くの映画のバレエシーンの監修を手がけられています。
映画中のレッスン曲は新国立劇場バレエ団のバレエピアニスト蛭崎あゆみさんが提供。
その千歳美香子さんと蛭崎あゆみさんへのインタビューがこちら↓
インタビュー - Mediaphorie [メディアフォリ]
このインタビューで千歳美香子さんが語るバレエ監修というお仕事の内容がとても興味深い!初心者から海外留学するようなダンサーに成長していく一果を演じる服部さんへの指導や体づくりの話から、「一果のシニヨンはバレエを始めた当時は「ドアノブ団子」、徐々に頭にフィットするシニヨンに洗練させていった」など、細部に至るまで徹底したこだわりを感じます。
単にバレエ経験者をキャスティングするだけではなく、バレエ監修というお仕事によって映画の中のバレエがリアルに見えるようになるのですね。
映画を通してはじめてバレエ に触れる人にも、なるべく良質のバレエ を観てもらいたいという千歳美香子さんの心いきを感じました。
今回はご本人も、お教室のシーンにチラッと登場しているそうです。
劇場公開翌日の9月26日(土)21:00からは、このお二人によるトークライブも予定されています!
バレエ界からのコメントの数々
各界からのコメントを掲載したページには、バレエダンサー、バレエ関係者からのコメントもたくさん!
上野水香さん、Altneu(酒井はな×島地保武)、小野絢子さん、米沢唯さん、山本康介さん、宮尾俊太郎さん、本島美和さん、草刈民代さん、首藤康之さん、飯島望未さん、福岡雄大さん。みなさん様々な角度からコメントを寄せていて興味深い…。
バレエ漫画「アラベスク」や「舞姫テレプシコーラ」でお馴染みの山岸涼子さんのコメントも。
各界から絶賛&感動のコメント続々!!|映画『ミッドナイトスワン』2020年9月25日(金)ROADSHOW
おわりに
バレエシーンが出てくる映画やドラマなどには興味がある反面、見るとちょっとがっかりしてしまうことがあるのも事実。バレエってこんなじゃない…と思うこともあります。
でも今回千歳美香子さんのインタビューを読んで、『ミッドナイトスワン』はぜひ観てみよう!と思いました。劇場公開が楽しみです。
★最後までお読みいただきありがとうございました。
「スワン」映画といえば
『ブラック・スワン』
ナタリー・ポートマンのダンスシーンの吹き替えについては論争にもなりました…
『ボリショイ・バレエ 2人のスワン』