英国ロイヤル・バレエ団の『エリート・シンコペーションズ』の配信がスタートしました。
ロックダウン後、7ヶ月ぶりに上演された、2020年10月のガラ公演のフィナーレを飾った作品です。ガラ公演当時も約1ヶ月間配信されていましたが、今回は『エリート・シンコペーションズ』のみの再配信。昨年秋は見逃した方も、もう一度観たい方も、ぜひこの機会に。
配信は2021年4月11日まで。(現地時間)簡単なアカウント登録とクレジットカードによる支払いで視聴可能。日本円の視聴料は税込で413円です。
視聴はこちらから↓
予告編はこちら↓
この記事では配信概要や感想などをまとめてみました。
配信概要
『エリート・シンコペーションズ』英国ロイヤル・バレエ団
収録 2020年10月
収録場所 ロイヤルオペラハウス
配信時間:35分
振付:ケネス・マクミラン
音楽:スコット・ジョプリンほか
衣裳:イアン・スパーリング
指揮・ピアノ:ロバート・クラーク
演奏:ロイヤル・オペラハウス・オーケストラ
英国を代表する振付家であり、元英国ロイヤル・バレエ団の芸術監督のケネス・マクミランの振付作品です。あのドラマチックバレエの名作『マノン』と同じ1974年に創ったのが、この『エリート・シンコペーションズ』。この振り幅の広さは驚きです。
音楽はラグタイム王と言われるスコット・ジョプリン。ラグタイムとは19世紀後半から20世紀初頭にかけてアメリカで流行した音楽ジャンルです。
ラグタイム、シンコペーション(ラグタイムの特徴であるリズム)、スコット・ジョプリンについてまとめて解説されている動画がこちら↓
社交場に集まったが男女が11曲のラグタイムにのせて踊るこの作品。はっきりしたストーリーはありませんが、ユニークなキャラクターが次々に登場し、さまざまな人間模様を想像させます。
イアン・スパーリングによる色とりどりの衣裳(基本総タイツ)が可愛い。
ちなみに、演奏家たちも衣裳を着て舞台の奥のひな壇で演奏しています。
【曲目とキャスト】
*およそのタイムスケジュールも入れておきます。
00:30 Sunflower Slow Drag
03:03 Elite Syncopations
05:30 The Cascades
クレア・カルヴァート、ジーナ・ストーム=ジェンセン、ロマニー・パイダク
08:00 Hot-House Rag
ベンジャミン・エラ、テオ・ディブロー(Téo Dubreuil)、フェルナンド・モンターニョ、 デヴィッド・ユーズ(David Yudes)
10:10 Calliope Rag
クレア・カルヴァート
13:18 The Golden Hours
ミーガン・グレイス・ヒンキス、アクリ瑠嘉
16:20 Stop Time Rag
ヤスミン・ナグディ
19:42 The Alaskan Rag
メリッサ・ハミルトン、ポール・ケイ
23:40 Bethena (Concert Waltz)(ベセーナ・ワルツ)
ヤスミン・ナグディ、ニコル・エドモンズ
27:45 Friday Night
ジェームス・ヘイ
29:32 Cataract Rag
若手を中心としたキャスティングが新鮮
今回のキャストで、プリンシパルはヤスミン・ナグディだけ。若手中心のフレッシュな配役でした。この演目、ダンサーのリズムの取り方のセンスのようなものが踊りに現れやすく、なかなか興味深い…
Sunflower Slow DragとElite Syncopationsの華やかな群舞で幕開け。
色とりどりの衣裳を着た群舞の中には、日本人ダンサー、中尾太亮さん、佐々木万璃子さん、佐々木須弥奈さん、前田紗江さん、五十嵐大地さんの姿も。中尾太亮さんはスカーフを巻いた衣裳で目立つ位置で踊っています。
五十嵐大地くんは紫の衣裳。自身のインスタで2020年を振り返る投稿の一枚にバックステージの写真があります。一緒に写っているのは、ローザンヌ国際コンクール2020第1位のマルコ・マシャーリ!彼も出演しています。
この投稿をInstagramで見る
佐々木万璃子さんのインスタより↓
この投稿をInstagramで見る
続くThe Cascadesは3人の女性のキュートな踊り。
クレア・カルヴァートが役にはまっていて艶っぽい。華があります。
The Cascadesといえば、2017のこのリハーサル。崔 由姫さんのリズム感と滑らかさが素晴らしい…このリハーサル動画に出ているメリッサ・ハミルトンは今回の公演にも出演しています。
Hot-House Ragは男性4人の踊り。この踊りはYouTubeにアップされています。
音にのった4人の疾走感のある踊りは観ているだけで気持ちがいい!
The Golden Hoursは恋する2人の踊り。
ミーガン・グレイス・ヒンキスとアクリ瑠嘉のペアがフレッシュで微笑ましい。ミーガン・グレイス・ヒンキスはとにかくキュート!そしてアクリ瑠嘉さんの明るいエネルギーに溢れた踊りが印象に残りました。
Stop Time Ragでソロ、Bethena (ベセーナ・ワルツ)でニコル・エドモンズと2人で踊るヤスミン・ナグディ。何も隠すことができない白い総タイツの衣裳ですが、素晴らしいコントロールと安定感。
来日ガラ公演「ロイヤルエレガンスの夕べ 2018」で、ヤスミン・ナグディと平野亮一さんのベセーナ・ワルツを観たことがありますが、その時より艶っぽさが増した感じです。
ニコル・エドモンズは堂々とした佇まいと、大柄なのにキレのある踊りが素敵でした。平野亮一さんのようなアクの強さやワイルドさ(個人的に大好き 笑)はないのですが、ニヒルでダンディな感じ。
踊り始めた時は一瞬誰だかわからなかったのはFriday Nightのジェームス・ヘイ。個人的には線の細い好青年っぽいイメージを持っていたのですが、ヒゲをはやし、ふてぶてしいイメージの役柄に合わせた演技が意外に似合っていました。
おわりに
長引くコロナ禍で疲れた心を癒してくれる楽しい作品!
7ヶ月ぶりの公演だけあって、ダンサーと観客の歓びが画面から伝わってきて、胸が熱くなりました。
『エリート・シンコペーションズ』が収録されているパ・ド・ドゥ集。詳細が書かれていませんが、収録されているのはベセーナ・ワルツでしょうか。2021年3月21日までの大特価。安い…
★最後までお読みいただきありがとうございました。