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オペラとバレエの違いって?【指揮者 篠崎靖男さんのコラムより】

最近読んで、面白かった記事をご紹介します。

「Business Journal」というWEB媒体に掲載されている、指揮者の篠崎靖男さんの連載記事です。オペラとバレエの違いについて書かれています。

biz-journal.jp

オペラファンとバレエファン、日本ではどれくらいかぶっているんでしょうね?ちなみに私自身はオペラは過去一度観に行っただけ。全くの門外漢です。

指揮者の篠崎靖男さんは、なんと姉、義兄、姪がバレリーナ、とのこと。(親子3人でバレエダンサーということですよね。どなただろう?気になる!)篠崎さんご自身はバレエの指揮は経験がないそうです。

バレエにおける指揮者の役割

記事の中でなるほどと思ったのは、オペラとバレエの指揮は全く別物という話。オペラであれば、演奏者は指揮者のもとで歌手の歌に合わせて演奏します。たとえ公演中に指揮者が倒れても、なんとか演奏は続けられる。

バレエの場合は、演奏者と舞台上のダンサーをつなぐのは指揮者のみ。指揮者に全てが委ねられているわけですね。

素晴らしいダンサーは素晴らしい音楽を生む

さらに印象的だった箇所は、

(前略)…不思議なことに素晴らしいダンサーが踊っている時には、演奏も良くなることが多いのです。

これを読んで思い出したのは、ちょうど今読んでいる「バレエ音楽がわかる本」

この本には、新国立劇場バレエ団公演の指揮などでおなじみの冨田実里さんのインタビューが掲載されています。インタビューの中で、「ダンサーとのタイミングはどのように合わせているのでしょう?」という質問に対して、冨田さんは以下のように語っています。

音楽もダンスも人間が生み出すものだから、お互いのタイミングを合わせることは「呼吸のふれあい」なんですよ。素晴らしいダンサーほど、こちらが投げたものをうまく受け止めて返してくれる。

素晴らしいダンサーほどコミュニケーション能力が高く、指揮者ときめ細かくコミュニケーションがとれる。そしてそれが素晴らしい演奏を生むのでしょうね。

『ジゼル』や『白鳥の湖』がオペラだったら…

記事の後半、バレエとオペラの題材の違いや特徴について書かれている部分も面白い。『ジゼル』や『白鳥の湖』がオペラだったら…というくだりにはちょっと笑いました。確かに、オデットが歌詞にのせて自分の身の上を朗々と歌い上げたりしたら、あの切ない美しさは表現できない気がします。

おとぎ話などを素材にしながらも、深く観客の感情に訴えかけ、イマジネーションをかきたてるような作品を創ることができるのが、言葉を発しないバレエという芸術のひとつの特徴。一方オペラは歌詞によって物語を進められるので、生身の人間の愛憎や歴史や社会問題にも鋭く切り込めるのが特徴とのこと。なるほど。

特に古典作品では「ストーリーとしてはどうなんだろう??」と思うバレエはたくさんありますが、それで感動が損なわれることはない。

さらに付け加えるなら、バレエでは言葉を使わずに、人間の葛藤、歴史や社会問題を描くこともできる。『オネーギン』『椿姫』『うたかたの恋』…数々の素晴らしい作品が証明していると思います。

こうして改めて考えると、「バレエという表現には無限の可能性がある!」と思ってしまうのは、バレエファンの身びいきでしょうか?

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。