中村恩恵×新国立劇場バレエ団の公演「ベートーヴェン・ソナタ」を観てきました。
2017年に上演され、好評を博した作品の2年半ぶりの再演。今回もチケットソールドアウトの人気でした。
コンテポラリーの作品はガラ公演などで観ることはあっても、単独の公演はめったに観に行かないのですが、今回は主演の首藤康之さんと福岡雄大さんのこの記事をみて。
美しい写真・動画と読み応えのあるインタービュー。 Alexandre Magazinはどの記事もクオリティーが高い。
公演概要
11月30日(土)14:00〜
新国立劇場中ホール
演出・振付:中村恩恵
ベートーヴェン:福岡雄大
ルードヴィヒ:首藤康之
ジュリエッタ:米沢唯
アントニエ:小野絢子
ヨハンナ:本島美和
カスパル・カール:井澤駿
ゲーテ / シラー:渡邊峻郁
イリ・キリアンが率いるネザーランド・ダンス・シアター出身で、2007年からは日本を拠点にダンサー・振付家として活動、数多くの振付を手がける中村恩恵さん。主演の首藤康之さんとのコラボレーションも数多く、30作品にも及ぶそうです。
新国立劇場バレ団プリンシパル、ファーストソリスト総出演に近い豪華キャスト。福岡雄大さんが、1つの作品で女性プリンシパル全員、小野絢子さん、米沢唯さん、本島美和さんとそれぞれ踊るのもすごい。
作品はルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの生涯を、彼の音楽にのせてたどるもの。主役のベートーヴェンは、「ルードヴィヒ」を首藤康之さん、「ベートーヴェン」を福岡雄大さんが踊ります。ベートーヴェンを2人のダンサーが踊るという構成は、ベートーヴェンが日記の中で、自身のことを「お前」と読んでいたことから着想を得たといいます。
作品冒頭から緊迫感のある演出
ホールに入ると、幕の空いた舞台の上に椅子が一脚。後方中央から前方下手へ斜めにかけられた大きな白い幕。定時になっても客席のライトが落ちないなと思っていると、静寂の中客席の4つの通路から、白い衣装をつけた4人のダンサーが舞台へと歩いていく。中ホールはすり鉢状の劇場なので、すり鉢の底に降りていくイメージ。
張り詰めた静寂の中で始まったプロローグはベートヴェンの葬儀。そこから1幕は6曲、2幕は5曲のベートーヴェンの曲に乗せて、ベートーヴェンの生涯がたどられます。
福岡雄大さんの魅力がよくわかる作品
公演を見て感じたのは、福岡雄大さんの魅力。11月にロミオとジュリエットが初見でしたが、あの公演より、個性がよくみえた気がしました。豊かな音楽性や表現力、たくさんのダンサーたちの中で、やはりベートーヴェンは彼の役だと思わせる踊りでした。
首藤康之さんはそこまでたくさん踊らないのですが、舞台の上で椅子に座っているだけでも、さすがの存在感。
小野絢子さん、米沢唯さん、本島美和さんは、それぞれのイメージにぴったりの役柄。踊りの個性を見比べることができて興味深かったです。
メインキャストの踊り以外に印象的だったのは、ベートーヴェンの両親、兄弟が囲む食卓のシーン。4人の動きが面白かった。
ベートーヴェンのお父さん役で出演していた貝川鐵夫さんが、目を引きました。白い衣装とちょっと病的(笑)なメイクが似合っていました。
ロミオとジュリエットのティボルトに続き、どうも目が引きつけられます。
新国立劇場バレエ団はコンテンポラリーの公演も力を入れていますね。
次の演目は「DANCE to the Future 2020」。バレエ団の中から振付家を育てる企画公演です。先日プリシンパルに昇格し渡邊峻郁さんをはじめとした6人のダンサーが振り付けた作品が観られる公演です。面白そう!
★最後までお読みいただき、ありがとうございました。