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【バレエ鑑賞レポート】アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト Bプロ

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「アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト」(Bプロ)をBunkamura オーチャードホールで鑑賞してきました。コジョカルのケガや出演者や演目の変更で、ちょっとハラハラさせられた公演をレポートします!

公演日程・出演者・演目・会場・料金/アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト2020/NBS公演一覧/NBS日本舞台芸術振興会

公演概要

「アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト」Bプロ

公演日:2020年2月9日(日)14:00〜

会場:Bunkamura オーチャードホール

演目&キャスト:

【第1部 】

「伝説」

振付:ジョン・クランコ 音楽:ヘンリク・ヴィエニャフスキ

エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

 

「ヴァスラフ」より 

振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ

菅井円加

 

「ディアナとアクテオン」

振付:アグリッピーナ・ワガノワ 音楽:チェーザレ・プーニ

ナンシー・オスバルデストン、オシール・グネーオ

 

 「ABC」

振付:エリック・ゴーティエ、音楽:フィリップ・カニヒト

ヨハン・コボー

 

 「モノ・リサ」

振付:イツィク・ガリリ、音楽コンセプト・作曲:トーマス・ヘフス、イツィク・ガリリ

エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲル

 

「エディット」  新作世界初演 
振付:ナンシー・オスバルデストン 音楽:エディット・ピアフ

ナンシー・オスバルデストン

 

「海賊」
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ

菅井円加、キム・キミン

 

【第2部 】


「マルグリットとアルマン」
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:フランツ・リスト

マルグリット:アリーナ・コジョカル
アルマン:セルゲイ・ポルーニン
アルマンの父:ヨハン・コボー
公爵:木村和夫
東京バレエ団

コジョカルのケガ、演目の大幅変更

この公演は演目がなかなか発表にならず、詳細発表になったのは去年の12月末、公演の1ヶ月半前でした。その時点でコジョカルはBプロでは「マルグリットとアルマン」全編のほかに、「眠れる森の美女」のローズ・アダージオ、ヨハン・コボーと踊る新作、フリーデマン・フォーゲルと踊る「春の声」と4つの作品を踊る予定でした。

しかし公演直前の2月3日(公演初日の2日前)のNBSから長文のお知らせメールが!コジョカルのケガとアリーナ・ソーモアの出演中止が伝えられ、演目も変更に。この穴を埋めるためヤスミン・ナグディ(英国ロイヤル・バレエ団)、菅井円加(ハンブルク・バレエ団)、エリサ・バデネス(シュツットガルト・バレエ団)という3人のプリンシパルが投入されました。(ヤスミンはAプロのみ、エリサはBプロのみ出演)

ヤスミンは1月31日、2月1日の「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」に出演していましたが、日本に残っていたのでしょうか?イギリスに戻った途端トンボ返り?

 

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アリーナ・ソーモアは元々出演予定はなく、1月6日に追加出演が決まったばかり。出演中止は「個人的な急な事情」と書かれていましたが、何なんでしょう…(新型ウィルスにびびった?笑)

その時点ではBプロのコジョカル出演は2作品になっていましたが、最終的に「マルグリットとアルマン」のみに。(Aプロでも当初予定がなかったフォーゲルとの「マノン」のみに変更。)

バレエ公演のケガによる降板はよくあるものの、ここまでの直前大幅変更は珍しいかも。

個性的なプログラムが並んだ第1部

当初はコジョカルの「レパートリーハイライト」とされていましたが、最終的には全く原型をとどめておらず…。でも、思いがけずエリサ・バデネスとフリーデマン・フォーゲルの息のあったペアや菅井円加ちゃんの出演で、充実したプログラムを楽しめました。

ジョン・クランコ振付の「伝説」はロシアの伝説のバレリーナ、ガリーナ・ウラーノワへのオマージュ。とても難しそうなリフトの連続でしたが、エリサ・バデネスとフリーデマン・フォーゲルのペアは危なげないパートナーリング。

同じペアによる「モノ・リサ」もよかった。鼓動のようなリズムに合わせたシャープな振付がかっこいい作品ですが、2人のバランスの良さや身体能力の高さがいかされていました。フォーゲルはコンテ作品の方が生き生きしている気がします。フォーゲルももう40歳。ダンサーとしては円熟期に入っていると思いますが、いつも期待通りの踊りを観せてくれる。「モノ・リサ」は途中で男性が服を脱いで上半身裸になりますが、筋肉標本のような肉体も健在でした。

菅井円加ちゃんはノイマイヤー振付の「ヴァスラフ」よりとソーモアの替わりに踊った「海賊」の2演目出演。やはり「ヴァスラフ」が素晴らしかった。伸びやかな動きで、舞台の上で本当に大きく見える。(実際の身長は162cmらしいです。)「海賊」も伸びやかでしたが、ちょっと足が滑ったところがあって一瞬ヒヤッとしました。「海賊」相手役のキム・キミンも相変わらず素晴らしかった。ジャンプは高く軽く、しなやかで美しかったです。

ヨハン・コボーの「ABC」ははじめて観た演目です。AからZまでのバレエにまつわる言葉を次々に踊りで表現していくウイットに富んだバレエ。これ、「バレエ101」に似てるなと思ったら、振付家が同じでした。コボーの演技がうまくて楽しめました。

「バレエ101」はこちら。ダンサーはウラジミール・シクリャローフ。

バレエには101のポジションがある!

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ポルーニンの激しいアルマン

この公演の目玉でもあったセルゲイ・ポルーニン出演の第2部「マルグリットとアルマン」。

私も一度は生ポルーニンを観たいと思っていたので念願かないました。バレエ界の反逆児だけに、本当に踊ってくれるか最後まで心配でしたが。

舞台上の彼は濃密な存在感があり、色っぽかった。ドラマのはじめから、恋するアルマンというよりは、影のある激しく悲壮感溢れるアルマン。コジョカルは相変わらず少女のようで娼婦感が薄いので、「椿姫」とは別の物語のようでしたが、目が離せなかった。特にマルグリットの裏切りに対してアルマンが怒りをぶちまけるシーンは圧巻。札束を投げつけるところでは、マルグリットの悲しみが痛いほど感じられました。

ただ彼の踊りはそこまで際立っては感じられなかったかも。映画などで観ていた彼よりやや重い気もしました。テクニックを見せつけるような演目ではないのと、期待が大きすぎたせいかもしれませんが。むしろリフトやサポートが丁寧で、コジョカルを美しく見せていたのが印象に残りました。英国ロイヤルバレエ時代のポルーニンと組んでいた小林ひかるさんがインタビューで、彼は練習に来ないことも多くて大変だったが、いざ舞台に上がればパートナーをとても大事にしてくれて、それが伝わってくると話していたのを思い出しました。

「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」を初プロデュースする小林ひかるに聞く|チャコット

コジョカルも怪我を感じさせず、さすがの存在感。パ・ド・ブレひとつににも表情がありました。

余談ですが、ご存知の通り刺青だらけのポルーニン。アルマンのはだけたシャツの胸元のちょうど真ん中に、大きな人の顔の刺青(プーチン?)がのぞいていて結構気になった 笑。バレエダンサーは刺青をすべきではないとは思いませんが、古典的な作品では、鑑賞の妨げになるのも確か。あの顔は隠して欲しかったな。

おわりに

いろんな意味でハラハラした公演でしたが、結果的には楽しかった。最後のカーテンコールでコジョカルが深々と頭を下げ、なんども胸に手を当てていたのが印象的でした。彼女自身も辛かったでしょうね。

会場では5月のポルーニンの単独公演のチラシも配られていました。

以下の記事でもご紹介した大石裕香さん振付の「Paradox&Sacre〜パラドックス&サクレ」と、「Fraudulent Smile〜偽りの微笑み〜」の2演目のようです。

 

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「Fraudulent Smile〜偽りの微笑み〜」はYou Tubeに映像がありました。

YouTube

今回の公演とは全く違う演目で、どんなポルーニンを観せてくれるのでしょうか。

 

追記:ポルーニンと振付の大石裕香さんの今回の公演についてのインタビューです。

prtimes.jp

 

こちらは写真集

 

 ★最後までお読みいただきありがとうございました。