Kバレエ カンパニーのSpring 2021『白鳥の湖』のオンラインライブ配信を鑑賞しました。配信されたのは3月28日(日)の公演、主演は日髙世菜さん、髙橋裕哉さん。
Kバレエカンパニー初のプリンシパル入団で話題の日髙世菜さんの美しいオデット&オディールを堪能しました。
劇場で鑑賞した3月25日(木)の成田紗弥さんと堀内將平さん主演の公演の記事はこちら↓
公演・配信概要
『白鳥の湖』全4幕 Kバレエカンパニー
2021年3月28日(日) 13:00〜
Bunkamura オーチャードホール
芸術監督/演出/再振付:熊川哲也
原振付:マリウス・プティパ / レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
指揮:井田勝大 管弦楽:シアター オーケストラ トウキョウ
衣裳・舞台美術:ヨランダ・ソナベンド / レズリー・トラヴァース
【キャスト】
オデット / オディール:日髙世菜
ジークフリード:髙橋裕哉
ロットバルト:杉野 慧
王妃:山田蘭
ベンノ(王子の友人):関野海斗
家庭教師:伊坂文月
パ・ド・トロワ:高橋怜衣、吉田周平、毛利実沙子
4羽の白鳥:河合有里子、吉田早織、塚田真夕、辻梨花
2羽の白鳥:成田紗弥、新居田ゆり
ナポリ:吉田早織、辻梨花、佐野朋太郎、本田祥平
チャルダッシュ:高橋怜衣、石橋奨也
徳光小麦、丸山さくら、由井里奈、吉光美緒、牧野悟士、三浦響基、五十嵐脩、上野風我
マズルカ:澤美葵、朴智願、望月恭花、清水理那、吉田周平、奥田祥智、栗原柊、金瑛揮
スペイン:平野佐代子、新居田ゆり、桐山結衣、栗山結衣、栗山廉、西口 直弥、グレゴワール・ランシェ、中井 皓己
プロローグ・第1幕・2幕 70分
休憩 20分
第3幕・4幕 65分
世界19の国と地域にライブ配信された、この公演。ライブ配信が終了した後は、翌日いっぱいまでアーカイブ配信され、繰り返し観ることができました。
実際の公演は休憩を入れて約2時間半ですが、配信の映像は幕が上がる前の劇場の様子から、最後のカーテンコールまでトータル3時間ほど。
冒頭では幕の上がる前の舞台から、芸術監督の熊川哲也さんが全世界に向けて英語で挨拶。カーテンコールの最後にも再び熊川哲也さんが登場し、幕が閉まる直前に白鳥の羽ばたきのように手を動かして、会場を大いに沸かしていました。
「バレエチャンネル」に主演ダンサーたちのインタビューやリハーサル映像が掲載されています。記事のトップの動画の中盤に、日髙世菜さん、髙橋裕哉さんのインタビューとリハーサル映像が出てきます。
ライブ配信とは思えない映像の完成度
私自身はライブの時間帯は用事で観られず、その後のアーカイブ配信を鑑賞しました。アーカイブ配信はライブ配信後それほど時間をおかずに始まっているので、ライブ配信画像もアーカイブも同じ映像だったと思うのですが、この映像の完成度が素晴らしかった。長年Kバレエカンパニーの公演の映像化を担当してきたTBSならではクオリティー。
舞台全体の引きの画像と、ダンサーの表情をとらえる寄りの画像の切り替えやバランスなど、ストレスなく鑑賞できました。
また物語の進行上重要な脇役の動き、表情などがとても細かく押えられていて物語がわかりやすい。熊川版『白鳥の湖』では家庭教師が狂言回し的役割を担っていますが、伊坂文月さん演じる家庭教師の王子ジークフリードへの心配りや、とぼけた魅力などをじっくり楽しめました。
公演内容とは関係ありませんが…映像では開幕前や幕間にはオーケストラピット内が映し出されます。管楽器の方達が外したマスクが楽譜台の端にぶら下がっている光景がなんだかリアル…。(管楽器以外の方達はもちろんマスク着用です。)感染防止対策を行いながらの公演開催に改めて感謝したい気持ちに…。
関野海斗さんのベンノに魅せられる
少女が白鳥に変えられてしまうプロローグの後、第1幕が始まると目に飛び込んでくるのは、関野海斗さんが演じるベンノ(王子の友人)の弾けるような踊り。
クリーンでキレのあるテクニックはもちろんのこと、明るく生き生きした佇まいに魅せられました。ジクーフリード王子から盃を渡されるシーンで、王子を見上げる、忠誠と憧れが満ちたベンノの目にやられた(笑)。
1幕パ・ド・トロワでは日髙世菜さんと共にタルサバレエから移籍した吉田周平さん、前日のマチネではオデット/オディールを演じていた毛利実沙子さんが登場。毛利実沙子さんは小柄ですが、腕がとても長く表情豊か。華やかな踊りでした。
日髙世菜さんの繊細なオデットと妖艶なオディール
Kバレエカンパニー初のプリンシパル入団が話題になった日髙世菜さん。
【日髙世菜さんのプロフィール】
兵庫県生まれ。4歳よりバレエを始める。
2008年 バレエコンペティションin奈良シニアの部で一位を受賞。同年ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーに留学
2011年 ルーマニアのブカレスト国立歌劇場バレエ団に入団
2014年 プリンシパルに昇格
2016年 アメリカのタルサバレエに移籍
2019年 プリンシパルに昇格
2021年 Kバレエカンパニーにプリシンパルとして入団
個人的に、オデット&オディールは長身で痩身のダンサーで観たいと思っているのですが、日髙世菜さんはまさにそのタイプ。全てのパーツが細く長く、頭は小さく…
その細く長い腕の繊細な動きが本当に美しかった。
しなやかで妖艶なオディールとの演じ分けも見事。ロットバルトがオディールのお尻のあたりから、羽根を一本抜いてジークフリード王子に渡すシーンなどの、ちょっと色っぽい仕草が印象的でした。
ジークフリードの髙橋裕哉さんはやはり脚が美しい…。日髙世菜さんとのバランスも良く、今後が楽しみなペアになりそう。5月の『ドン・キホーテ』でもこの2人が組んでいます。
日髙世菜さんのインスタグラムより。終演後のホッとした表情が 可愛い…舞台上とは雰囲気が変わりますね。
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目力がすごい杉野 慧さんのロットバルト
当初はグレゴワール・ランシェが演じる予定だったこの日のロットバルトは、杉野 慧さんに変更になりました。
長身にロットバルトのゴージャスな衣裳が映える杉野 慧さん。ダイナミックな踊りとらんらんと輝く目力がすごい。このギラギラ感…ポスト宮尾俊太郎さんはこの方でしょうか?
杉野 慧さんのインスタグラムには、ロットバルト役への思いが投稿されています。
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画面越しでも伝わる白鳥たちの一体感
劇場での鑑賞の記事でも書きましたが、やはり白鳥の群舞が素晴らしかった。劇場とは違う角度から、改めてその完成度を堪能しました。最後にロットバルトを追い詰める白鳥の群の一体感とパワーは画面越しでも伝わりました。
劇場で観た公演ではオデットを踊った成田紗弥さんは新居田ゆりさんと共に、2羽の白鳥(大きな白鳥)で出演。
おわりに
日髙世菜さんのKバレエカンパニーデビューは期待を裏切らないものでした。5月の『ドン・キホーテ』公演も楽しみです。
そして3月29日(月)からはKバレエカンパニー『カルミナ・ブラーナ』の配信もスタートしています。熊川哲也さんが特別出演、素晴らしいベンノを観せてくれた関野海斗さんがアドルフを演じています。
熊川哲也 『カルミナ・ブラーナ』 2021 特別収録版 | Bunkamura
バレエチャンネルに掲載された『カルミナ・ブラーナ』についての熊川哲也さんのインタビュー。面白いです!
ジークフリード:熊川哲也さん、オデット:ヴィヴィアナ・デュランテ、オディール:モニカ・ペレーゴ
★最後までお読みいただきありがとうございました。