遅ればせながら、新国立劇場バレエ団のローラン・プティ版『コッペリア』のライブ配信の感想を。
GWに4日間、日替わりキャストで配信された全4公演。スワニルダとフランツは、
米沢 唯×井澤 駿、木村優里×福岡雄大、池田理沙子×奥村康祐、小野絢子×渡邊峻郁の4組。
私が鑑賞できたのは、池田理沙子さん×奥村康祐さんと、最終日の小野絢子さん×渡邊峻郁さんの2日間のみでした。できれば全キャスト観たかったな…GW中でしたし、コンプリートされた方も多いかもしれませんね。
劇場公演のチケットを買っていた小野絢子さんと渡邊峻郁さんの公演を中心に感想などを書きたいと思います。
この動画のスワニルダとフランツは、1日目の配信と同じ米沢唯さん×井澤駿さん。
公演概要
ローラン・プティ振付『コッペリア』新国立劇場バレエ団
5月8日(土)14:00〜
芸術監督:吉田都
会場:新国立劇場・オペラパレス(無観客公演)
*ライブ・ストリーミング配信(無料)
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
芸術アドヴァイザー/ステージング:ルイジ・ボニーノ
美術・衣裳:エツィオ・フリジェーリオ
照明:ジャン=ミッシェル・デジレ
指揮:冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
【キャスト】
スワニルダ:小野絢子
フランツ:渡邊峻郁
コッペリウス:山本隆之
スワニルダの友人:寺田亜沙子 、柴山紗帆 、細田千晶 、渡辺与布 、飯野萌子、広瀬 碧
【 上演スケジュール】
第1幕:14:00〜14:45
第2幕:15:10〜16:00
ローラン・プティ版の『コッペリア』の初演は1975年の国立マルセイユ・バレエ団。
プティ版はユーモア、ペーソス、毒、粋、ときにはエロティックな要素も感じさせる大人の『コッペリア』。ドラマの舞台はポーランドの田舎の村から、フランスのマルセイユになっています。
プティの『コッペリア』を新国立劇場バレエ団が上演するのは2006/2007シーズン、2008/2009シーズン、2016/2017シーズンに続き、今回が4回目。
新鮮だった小野絢子さん×渡邊峻郁さんのキャスティング
昨年から吉田都さんが芸術監督に就任したものの、コロナの影響もあってか、そこまでキャスティングは大きく変わらないんだなと思っていましたが、徐々に変化が出てきた感じ。
今回の『コッペリア』では小野絢子さん×福岡雄大さんという新国立劇場鉄板ペアの公演はなし!小野絢子さんは渡邊峻郁さん、福岡雄大さんは木村優里さんとの共演。
米沢 唯×井澤 駿、池田理沙子×奥村康祐の2組は2016/2017シーズンの『コッペリア』から引き続きのキャスティングです。
池田理沙子さん、奥村康祐さんの組は、可愛らしいスワニルダとプレーボーイのフランツ。小野絢子さん、渡邊峻郁さんの組は、しっかり者のスワニルダとハンサムだけどちょっと抜けているフランツという感じ。
渡邊峻郁さんはもっと気取った感じのフランツを想像していたのですが、 しっかりした 小野さんと組むとちょっとぼーっとした感じが強調されるのか、憎めない感じと伸びやかな踊りがマッチしていました。(逆に奥村康祐さんのフランツは、意外に2枚目路線だったのが面白かった。)
細かい脚さばきの随所にパラレルのポジションが散りばめられていたり、膝を曲げて足先フレックスのまま高く脚を振り上げたり…プティの難しそうな振付を軽々とこなす、小野絢子さんの安定感はすごかった…。コッペリウスとのやりとりの巧さも印象的でした。
終演後の小野絢子さん、渡邊峻郁さん、コッペリウスの山本隆之さん。
新国立劇場バレエ公式インスタグラムより
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哀愁のコッペリウス に涙
プティ版『コッペリア』の主役とも言えるコッペリウス、ローラン・プティ自身の名演が有名です。
今回の公演では、新国立劇場バレエ団の元プリンシパルで現在はオノラブル・ダンサーの山本隆之さん、ファースト・アーティストの中島駿野さんの2人がコッペリウスにキャスティングされたことも話題になりました。
バレエ チャンネルに山本隆之さん、中島駿野さんのインタビューが掲載されています。
すらりとした長身の紳士といった感じの中島駿野さんのコッペリウスも素敵でしたが、この役をやるには若さがハンデになる…
ベテラン山本隆之さんの演じるコッペリウスの孤独、倦怠は胸を打つものがありました。人形のスワニルダと「時の踊り」の曲でワルツを踊るシーンでは、愛情いっぱいに人形と踊っていたかと思うと、急に全てが虚しくなったと思われる瞬間が描かれていました。ラストシーンのコッペリウスの姿には思わず涙が…。
コッペリウスを演じた山本隆之さん、中島駿野さんのツーショット。おふたりの表情がとてもいいですね。
中島駿野さんのインスタグラムより
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モノトーン+ピンクの衣裳と装置がシック
洗練された衣裳と装置もプティ版『コッペリア』の魅力。抽象化されたシンプルな装置、モノトーン中心のくすんだ色合いの中にスワニルダと友人たちのピンクのチュチュが映えます。スワニルダが扮するコッペリアの黒い衣裳も素敵でした。
個人的にはフランツの薄いグレーのタイツとブーツに白シャツのスタイルがすごく好み 。ダンサーのかっこよさ2割増しな感じ 笑。
奥村康祐さん!新国立劇場バレエ公式インスタグラムより
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街の娘たちのドレスと編み上げブーツも可愛いのですが、この独特なおてもやん風(わかります?)メイクが気になる…YouTubeでいくつかのバレエ団のプティ版『コッペリア』の動画が観られますが、このメイクをしている動画見つからないのですが。衣裳や装置はだいたい一緒なのに。
今村美由紀さんのインスタグラムより
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おわりに
最終日のYouTube配信では1幕の幕切れで3.7万人、幕が降りた時には4.2万人の人が観ていました。4日間のトータルの視聴者数はなんと16万7000人とのこと。
GW中、のべ16万7000人(おそらく端末数だから、鑑賞していた人数はもっとですよね)以上の人をステイホームさせた新国立劇場バレエ団の4日間の配信。新型コロナ感染防止の意味でも素晴らしい…。
また、SNSでは同じ演目をキャストがわりで観る面白さを知ったという感想も多く見かけました。
公演配信は新型コロナが収束したのちも、ぜひ続けて欲しい。配信があったからといって劇場に通う人は減らないはず。
新国立劇場バレエ団、次の公演は6月のライモンダ。果たして劇場で見られるのか??
ライモンダの主役2人のキャスティングも新鮮です!
こんなものを見つけてしまった。2011年のSWAN MAGAZINEのローラン・プティ追悼特集。しかもレビューによるとこの号の有吉京子さんの「SWAN」はどうも衝撃の回らしい。ちょっと欲しくなっています…
★ 最後までお読みいただきありがとうございます。