NBAバレエ団の『ドラキュラ』(DRACULA)を鑑賞しました。英国ロイヤルバレエ団の平野亮一さんがドラキュラ、英国バーミンガムロイヤルバレエ団の平田桃子さんがミーナを演じた注目の公演、怖く、妖しく、面白かったです。
NBAバレエ団の『ドラキュラ』公式ページはこちら→ドラキュラ
*ミーナは当初 英国ロイヤルバレエ団の高田茜さんの予定でしたが、怪我で降板。代役で平田桃子さんの出演になりました。
公演概要
8月7日(土)14:00〜
『ドラキュラ』全3幕 NBAバレエ団
新国立劇場・中劇場
芸術監督:久保紘一
振付:マイケル・ピンク
音楽:フィリップ・フィーニー
照明デザイン:デビット・グリル
舞台装置・衣裳:レズ・ブラザーストン
【キャスト】
ドラキュラ:平野亮一(英国ロイヤルバレエ団 プリンシパル)
ジョナサン・ハーカー:宮内浩之
ルーシー:峯岸千晶
ミーナ・ハーカー:平田桃子(英国バーミンガムロイヤルバレエ団 プリンシパル)
ヴァン・ヘルシング:三船元維
レンフィールド:河野崇仁
クインシー:高橋真之
アーサー:刑部星矢
【上演スケジュール】
第1幕:14:00〜14:35
休憩 15分
第2幕:14:50〜15:30
休憩 15分
第3幕:15:45〜16:25
『ドラキュラ』はミルウォーキー・バレエ団の芸術監督で人気振付家マイケル・ピンクの1996年初演の作品。原作はブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』です。
マイケル・ピンクが芸術監督を務めるミルウォーキー・バレエ団の『ドラキュラ』
NBAバレエ団が『ドラキュラ』を日本で初めて上演したのは2014年。7年ぶりの再演となります。舞台装置や衣裳はすべて新制作とのこと。
芸術監督の久保紘一さんはコロラド・バレエ団のプリンシパルだった時代にこの作品のハーカー役をなんども踊り、この作品に魅了されて、上演権獲得に尽力されたようです。2014年の初演時には久保さん自身もハーカーを踊っています。ちなみにこの時のドラキュラは大貫勇輔さん。
平野亮一さんの圧倒的な存在感
原作によると、ドラキュラは長身痩躯、怪力、赤い目らしい。平野亮一さんはまさに適役(目は赤くないけど)。
赤いベルベットのロングコート、シルバーのロングヘアで登場した瞬間から、もう目が離せませんでした。すごい吸引力と存在感。
全3幕の『ドラキュラ』ですが、幕ごとに主人公が異なり、ドラキュラは3人とそれぞれパ・ド・ドゥを踊ります。
1幕 ドラキュラとジョナサン・ハーカー
2幕 ドラキュラとルーシー
3幕 ドラキュラとミーナ
1幕はドラキュラ伯爵のもとに、土地の契約の手続きのために訪れた弁護士ジョナサン・ハーカーとの妖しい男性同士のパ・ド・ドゥ。
2幕はハーカー夫妻の友人、美しく享楽的な女性ルーシーとのパ・ド・ドゥ。
3幕はジョナサン・ハーカーの妻ミーナーをドラキュラの花嫁として迎える儀式でのパ・ド・ドゥ。
特に3幕の平田桃子さんとのパ・ド・ドゥは圧巻でした。高いリフト、完璧にコントロールされたふたりの精巧でクリアな動き…。
妖しく冷徹なドラキュラを大胆に演じながらも、決してキワモノにはならず、端正さも失わない平野亮一さん。素晴らしかったです。
NBAバレエ団の公式インスタグラムより。
立ってるだけでドラキュラ、の平野亮一さん。カーテンコールで、この赤いコートをなんどもひるがえしてました。
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村人の踊りなど、力強いコールドバレエや、クインシー役の高橋真之さんのキレのある踊りも印象に残りました。
ちなみに、もうひと組のキャストでドラキュラを演じたのは、振付家としても注目を集める宝満直也さん。こちらのキャストも 観てみたかった。
バランスのとれた見事なエンターテイメント作品
『ドラキュラ』の装置・衣裳は、マシュー・ボーンとともに代表作『SWAN LAKE』をはじめ、多くの作品を手がけるレズ・ブラザーストン。
洗練されたデザインと色、スピーディーな展開に合わせて変化する装置が見事でした。舞台上にベッドが置かれているシーンでは、一瞬『SWAN LAKE』を思い出す演出も。
原作の舞台である19世紀末のイメージと思われる、クラシカルな重さのある衣裳なのですが、女性のドレスは踊ると軽やかに動き、美しかったです。
通常のバレエではあまり使われないような効果音(悲鳴や銃声、ドラキュラの心臓の音など)、映像を使った演出など、ちょっとミュージカル的な要素もあり、バレエを観たことがない人でも楽しめそう。それでいて、踊りは十分な見応えがありバレエファンも満足させられる、そんな作品でした。
またこの作品には、新国立劇場中劇場という会場がとてもあっていたような気がします。演劇的要素が強いので、表情がよく見えるスケールの会場の方が楽しめそう。
おわりに
もっと頻繁に上演されて欲しい、魅力的な作品でした。
大好きな平野亮一さんの踊りが久しぶりに生で観られたのも嬉しかった。海外バレエ団の引越し公演は当面難しそうな今、貴重な機会でした。
終演後、「客席に高田茜さんがいる」と観客がざわめいていました。(私自身は残念ながら確認できず…)さらに会場で英国バーミンガムロイヤルバレエ団のプリンシパル、厚地康雄さんらしき方をお見かけしました。(マスクはしていても隠せない王子オーラ 笑)ご本人だったら、イギリスで活躍する4人のプリンシパルが集結ですね!
平野亮一さん、厚地康雄さんは仲が良さそう。過去のトークイベントの記事はこちら
舞台を観たら、原作が読みたくなりました。ちょっと怖そうですが…
中古ですが…
NBAバレエ団芸術監督、久保紘一さんの著書
★最後までお読みいただきありがとうございました。