Kバレエカンパニーの『シンデレラ』を鑑賞しました。主演は日髙世菜さんと、今シーズンの幕開けに『シンデレラ』札幌公演でプリンシパルに任命された髙橋裕哉さん。
Kバレエ カンパニーの『シンデレラ』は初見でしたが、今まで観ていなかったのが、悔やまれる…。キラキラ輝く夢の世界を堪能しました。
公演概要
Autumn Tour 2021『シンデレラ』 Kバレエカンパニー
Bunkamura オーチャードホール
2021年10月19日(水) 17:30〜
芸術監督/演出/振付:熊川哲也
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
衣裳デザイン:ヨランダ・ソナベンド
舞台美術デザイン :レズリー・トラヴァース
指揮:井田勝大
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
【上演スケジュール】
第1幕 45分
休憩 25分
第2幕 45分・第3幕 40分
【キャスト】
シンデレラ:日髙世菜
王子:髙橋裕哉
仙女:戸田梨沙子
シンデレラの義姉:高橋怜衣、辻久美子
継母:ルーク・ヘイドン
バレエ教師:ニコライ・ヴィュウジャーニン
美容師:栗原柊
靴職人:金瑛揮
仕立屋:三浦 響基
宝石商:武井隼人
4人の妖精 バラ:吉田早織、トンボ:岩井優花、キャンドル:小林美奈、ティーカップ:飯島望未
4頭の雄鹿:石橋奨也、杉野慧、栗山廉、吉田周平
4人の王子の友人:石橋奨也、杉野慧、栗山廉、吉田周平
2人の道化師:関野海斗、本田祥平
大きい騎士:グレゴワール・ランシエ
小さい騎士:酒匂麗
式典長:ニコライ・ヴィュウジャーニン
2人のオレンジガール:新居田ゆり、清水理那
オレンジマン:堀内 將平
Kバレエカンパニー『シンデレラ』の初演は2012年、熊川哲也さんのBunkamuraオーチャードホール芸術監督就任記念公演です。熊川哲也さん自身が出演しない前提で制作した初の幕物バレエということで、特別な思入れのある作品のようです。
熊川版の『シンデレラ』は展開がスピーディーでドラマチック、ときにコミカル、踊りの見せ場が多くて見応えあり。シンデレラの変身シーン、かぼちゃの馬車、魔法が解けてシンデレラが元の姿に戻るシーンなど、この物語に必要なさまざまな仕掛けも、オーソドックスな手法を使いながらもファンタジックで、とても楽しめました。
輝いていた日髙世菜さんのシンデレラ
日髙世菜さんを劇場で観るのは『ドン・キホーテ』に続いて2回目。
脚ももちろんなのですが、手と上半身が表情豊かで本当に美しい。もともと長い手脚が伸びやかに動いて、舞台上で誰よりも大きく見えます。温かみのある優しい雰囲気もシンデレラそのものでした。
2幕でお城に到着したシンデレラがゴールドのガウンを脱いで、白いチュチュになるシーンでは、シンデレラのあまりの輝きに胸を打たれました。
髙橋裕哉さんは明るいオーラがあり、登場すると舞台が華やぎます。白鳥や眠りに比べて憂いがない感じの『シンデレラ』の王子が似合っていました。そして、いつ観ても脚が美しい!
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飯島望未さんのティーカップの妖精が可愛い!
1幕では、一般的には春夏秋冬の四季の妖精が登場しますが、熊川版ではシンデレラが愛情を注ぐバラ、庭のトンボ、キャンドル、ティーカップの妖精という設定になっています。この日の妖精は、シンデレラにもキャスティングされている小林美奈さんがキャンドル、飯島望未さんがティーカップという豪華キャスト。
このパートはすごく楽しかった!4つのアイテムの特徴が表現された、テンポの速いスリリングな振り付けがとても面白く、ダンサーたちのキレのある踊りが素晴らしかったです。
なかでも飯島望未さんのティーカップは可愛かった!振り付けと衣裳が彼女の雰囲気にぴったり。
白地に青の模様のティーカップ風のチュチュとブルーのタイツ、頭にはポットの蓋?
う〜ん、可愛い…
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吉田早織さんのバラの精も印象に残りました。バラの精のピンクとグリーンの衣裳も素敵でした。
4頭の雄鹿と4人の友人の踊りで目の保養
お城に向かうシンデレラを乗せた馬車は4頭の雄鹿に引かれています。被り物で全く顔の見えない鹿たちですが、2幕では王子の友人として登場。この友人たちの踊りがかっこいい。男性ダンサーの見せ場が多いのもKバレエの魅力ですね。
同じ日のマチネでは王子を踊っている栗山廉さんをはじめとして、この鹿&友人のキャストも豪華。杉野慧さんのイケメンぶり、ファースト・ソリストに昇格したばかりの吉田周平さんの大きな踊りが目を引きました。
熊川版の2幕には、4人の友人以外にも、1幕にも登場した4人の妖精たち、2人の道化師、大きい騎士&小さい騎士、オレンジガール&オレンジマン、と様々なキャラクターが登場。
白鳥や眠りの3幕のディベルティスマンのような雰囲気があります。
2人の道化師はシンデレラの義姉たちとのコミカルなやり取りも楽しい。関野海斗さんの切れ味は相変わらず素晴らしい。
オレンジマンのエキゾチックな踊りを披露してくれたのは、王子にもキャスティングされている堀内將平さん。オレンジマンは普段のノーブルなイメージとは異なる役でしたが、南国のムードあって素敵でした。
かぼちゃの馬車はやっぱりすごかった
Kバレエカンパニーの公演をるときの楽しみのひとつは、衣裳と美術。
1幕のシンデレラの暮らす家のセットひとつとっても、暖炉が大きく歪んでいて、夢の世界、不思議な世界に引き込まれます。
以前読んだ熊川哲也さんの著書『完璧という領域』には、「かぼちゃの馬車には、高級車が買えるぐらいお金がかかっている」とありました。その言葉通りの豪華さ!
さらに豪華なだけでなく、スムーズな動きにびっくり。馬車を引く4頭の雄鹿役のダンサーが、途中からターボがかかったように走りだすと、すごいスピードが出ていました。人力だけで引いているんでしょうか?
衣裳も現代的なかっこよさがありながら、初演から10年経っても、陳腐化していないのはさすが。熊川さんのセンスを感じます。
おわりに
ちょうど一年前、中村祥子さん×遅沢祐介さんのプリンシパルとしての最後の公演『海賊』を観に行きました。あの時はまだ、世代交代後のKバレエが想像できませんでした。
この一年で多くのダンサーが加入し大きく変化したKバレエカンパニー。今シーズンも、どんどん変化していきそうな予感…目が離せません。
2012年『シンデレラ』初演時のDVD
日髙世菜さん×髙橋裕哉さんの『ドン・キホーテ』の感想はこちら
★最後までお読みいただきありがとうございました。