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新国立劇場バレエ団 米沢唯×井澤駿『シンデレラ』【バレエ鑑賞メモ】

新国立劇場バレエ団の『シンデレラ』を鑑賞しました。主演は米沢唯さん、井澤駿さん。5月4日(水)の公演です。

公演概要

『シンデレラ』全3幕 新国立劇場バレエ団

2022年5月4日(水・祝)14:00〜

新国立劇場 オペラパレス

【振付】フレデリック・アシュトン
【監修・演出】ウェンディ・エリス・サムス/マリン・ソワーズ
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【美術・衣裳】デヴィッド・ウォーカー
【照明】沢田祐二

【指揮】マーティン・イェーツ
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【キャスト】

シンデレラ:米沢唯
王子:井澤駿

義理の姉たち:清水裕三郎、福田圭吾

仙女:細田千晶

春の精:広瀬 碧

夏の精:渡辺与布

秋の精:奥田花純

冬の精:中島春菜

道化:佐野和輝(←山田悠貴さんが怪我により降板)

王子の友人:太田寛仁、中島端生、中村啓、渡邊拓朗

【上演スケジュール】 約2時間35分

第1幕45分

休憩25分

第2幕40分

休憩20分

第3幕25分

アシュトンの代表作のひとつとして知られる『シンデレラ』の初演は1948年。イギリス人振付家による初の全幕バレエです。

日本でアシュトン版をレパートリーにしているのは新国立劇場バレエ団のみ。1999年の初演以来、繰り返し上演されています。

今回の主演は小野絢子×福岡雄大、米沢唯×井澤駿、木村優里×渡邊峻郁、池田理沙子×奥村康祐の4組。おなじみの組み合わせと思いきや、木村優里さんと渡邊峻郁さんは『シンデレラ』で組むのははじめてなんですね。

 

おなじみの「3分でわかるシリーズ」。この日の公演と同じく米沢唯さんと井澤駿さんの映像。

www.youtube.com

 

『シンデレラ』の光と闇

はじめてバレエの『シンデレラ』を観た時、私の中の「シンデレラ」のイメージと、プロコフィエフの音楽がどうもしっくりこなかったのです。(はじめて観たのは、パリ・オペラ座バレエ団のヌレエフ版で、作品自体も相当変化球だったということもありますが。)

美しいけれど、ちょっと不安を掻き立てるような旋律。ディズニーの「シンデレラ」のイメージで、このバレエを観にきた小さなお子さんたちが、ちょっと怯えそうな曲もありますよね 笑。

でも何回か観るうちに、やはりこの音楽は『シンデレラ』にぴったりだと感じるようになりました。

『シンデレラ』は夜の物語。深い闇があってこその美しい星の輝き。そんなことを思わせるプロコフィエフの音楽を、今回も堪能しました。

ふたりの義理の姉たちはバランスが絶妙

アシュトン版といえば、男性ダンサーが意地悪な義理の姉たちを演じるのが特徴。初演ではアシュトン自身が演じたことでも知られています。

この日の義理の姉は、清水裕三郎さん、福田圭吾さん。2人とも初役(デビューは5月1日の公演)とは思えない弾けっぷりでした。日本の客席って笑いが起きにくいと思うのですが、もっとウケていいと思う!

大柄でドラァグクィーン的な雰囲気の清水裕三郎さんと、小柄でキュートな福田圭吾さん。おふたりのバランスも絶妙でした。

義理の姉たちに絡む、ダンス教師、仕立屋、洋服屋、靴屋、床屋、宝石屋も演技力が要求される役。なかでも気取ったダンス教師役の原健太さんがよかったです。

仙女、四季の精、星の精に見惚れる

シンデレラの家に仙女が現れたあと、四季の精がひとりずつ踊るシーン。舞台後ろの紗幕が1枚ずつ上がっていき、それぞれの四季に合わせた背景になるという美術が印象的でした。

上半身を柔らかく大きく動かし、下半身はスピーディーにステップを踏む。アシュトンの振付の特徴がよくあらわれている仙女や四季の精たちの踊り。

仙女の細田千晶さん、四季の精の広瀬 碧さん、渡辺与布さん、奥田花純さん、中島春菜さん。いろいろな公演での活躍を観てきているダンサーたちですが、上半身の表情の豊かさに磨きがかかった気がしました。長年アシュトンの振付を踊ってきた吉田都芸術監督の指導の賜物でしょうか。

シャープで鋭い動きが多い星の精たちの踊りも、キラキラと瞬く星のようで美しかった。新国立劇場バレエ団の群舞の素晴らしさを再認識しました。

米沢唯さんと井澤駿さんの安定感

米沢唯さんはいつもながら安定感がすごい。どんなポーズもどんなパも、決まるべきところにピタッと決まる感じが、観ていて気持ちがいい。

米沢さんのシンデレラはいじめられて可哀想という感じはあまりないんですよね。「いろいろあるけど、まあいいか」みたいな強くてドライなシンデレラ。好みは分かれるかもしれませんが、私は好きです。アシュトン版にもあっている気がします。

一方、井澤駿さんは情熱的な王子。シンデレラを見る視線や、12時になって帰ろうとするシンデレラを必死で探し回る姿にも熱いものを感じました。王子としての佇まいもさらに磨きがかかった印象。

最後に結ばれたふたりが着ている白に水色のサッシュをかけた衣裳がとても美しかった。

素敵すぎる王子の友人たち

舞踏会のシーンには王子の4人の友人が登場。この友人たちは四季の精のエスコート役も務めます。

高身長でノーブルなこの4人、素敵でした。この辺のダンサーの層の厚さは、さすが新国立劇場バレエ団という気がする。個人的に注目の中島瑞生さんを久しぶりに観られたのも嬉しかったです。別の日に王子を踊った渡邊峻郁さんの弟さん、渡邊拓朗さんも高貴な佇まいで、こういう役がとても似合いますね。

 

おわりに

『ロミオとジュリエット』からの『シンデレラ』。プロコフィエフの代表作を続けて観る機会なんてなかなかない。私の今年のGWはプロコフィエフ祭りでした。

 

東京バレエ団『ロミオとジュリエット』の感想はこちら↓

www.balletaddict.com

 

なんと、1969年の英国ロイヤル・バレエの公演を収録した貴重な映像!

主役にはアントワネット・シブリーとアンソニー・ダウエル。アシュトン自身がシンデレラの意地悪な義理の姉役を演じています。

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★最後までお読みいただきありがとうございました。