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キエフ・バレエ 支援チャリティー BALLET GALA in TOKYO【配信 鑑賞メモ】

2022年7月5日(火)に上演されたキエフ・バレエへの支援チャリティー公演『キエフ・バレエ 支援チャリティー BALLET GALA in TOKYO』。キエフ・バレエのプリンシパル、アンナ・ムロムツェワ、ニキータ・スハルコフと、国内外で活躍する日本人ダンサーたちによるガラ公演です。

残念ながら抽選に外れてしまい、劇場では見られませんでしたが、配信で鑑賞しました。

アーカイブ配信もあり、視聴チケット販売は7月11日(日)20:00まで、配信は同日23:59まで。視聴料2,000円はキエフ・バレエ に寄付されます。(視聴料の他に購入手数料275円が必要です。)

配信視聴チケット購入はこちら

l-tike.com

公演の概要と簡単な鑑賞メモです。

*ライブ配信は、用事があり最後のほうしか観られなかったため、アーカイブ配信を観た内容や感想でとなります。(ライブ配信とアーカイブ配信が同じ内容なのかはわかりません。)

*公式ページなどでは、演目と出演者が別々に記載されていて、私が調べた範囲では誰が何を踊ったかの公式の情報が見つけられませんでした(バレエチャンネルのレポートなどに一部は掲載されています)。万が一間違いがございましたら、ご指摘いただければ幸いです。

公式ページはこちら↓

キエフ・バレエ支援チャリティーBALLET GALA in TOKYO – RENAISSANCE CLASSICS

公演・配信概要

『キエフ・バレエ 支援チャリティー BALLET GALA in TOKYO』

収録:7月5日(火)18:30〜 昭和女子大学人見記念講堂

芸術監督:草刈民代
指揮:井田勝大
管弦楽:シアターオーケストラトーキョー
振付指導:折原美樹、小林十市、中村恩恵、田中祐子、山本康介
【出演者】

アンナ・ムロムツェワ(キエフ・バレエ)

佐久間奈緒(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ)

加治屋百合子(ヒューストン・バレエ)

青山季可(牧阿佐美バレヱ団)

佐々晴香(スウェーデン王立バレエ)

藤井彩嘉(チェコ国立バレエ)

佐藤碧(マーサ・グラハム・ダンス・カンパニー)

芝本 梨花子(デンマーク王立バレエ)

大谷遥陽(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

中野伶美(シビウ劇場バレエ)

ニキータ・スハルコフ(キエフ・バレエ)

平野亮一(ロイヤル・バレエ)

厚地康雄(元バーミンガム・ロイヤル・バレエ)

菊地研(牧阿佐美バレヱ団)

松井学郎(ノルウェー国立バレエ)

江部直哉(カナダ国立バレエ)

猿橋賢(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

福田昂平(元ノヴォシビルスク・バレエ)

髙橋裕哉

水井駿介(牧阿佐美バレヱ団)

二山治雄

【配信スケジュール】

第1部 約1時間

休憩20分

第2部 約1時間

配信映像は3時間ですが、初めの約30分は待機映像。カテーンコールも含めて正味約2時間30分の映像です。休憩中も映像はスキップせず、会場内の映像が流されます。

映像は固定カメラではなく、適度に寄りの映像も交えたものです。バランスがよくストレスなく鑑賞できました。

 

バレエチャンネルの動画レポート。全ての演目ではありませんが、ハイライトが観られます。↓

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こちらは公式ページに載っているリハーサル映像。

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第1部

『デューク・エリントン・バレエ』より The Opener(振付:ローラン・プティ):水井駿介

ローラン・プティ振付の『デューク・エリントン・バレエ』の幕開けを飾る、粋で華やかな「The Opener」。ガラ公演のオープニングにぴったりですね。

水井駿介さんのクリアで生き生きとした踊りは、いつ観ても惹きつけられます。

昨年牧阿佐美バレヱ団の公演で観た菊池研さんのジャズのグルーヴを感じさせる踊りとはまた違った魅力の、チャーミングで溌剌とした「The Opener」でした。

『薔薇の精』:中野伶美(シビウ劇場バレエ)、二山治雄

両性具有のイメージがある二山治雄さんには、薔薇の精がよく似合う!あの着る人を選ぶ、ピンクの薔薇まみれの衣裳も違和感がなかったです。ジャンプの着地や足運びの柔らかさも素晴らしかった。

『海賊』より グラン・パ・ド・ドゥ:芝本梨花子、猿橋賢、福田昂平

コンラッド、メドーラ、アリが登場するグラン・パ・ド・ドゥ。やはりこの演目は上がりますね。

メドーラは華やかなオーラのある芝本梨花子さん、コンラッドはスタイルがよく爽やかな猿橋賢さん、アリはエネルギッシュな福田昂平さんでした。それぞれの魅力が生きるバリエーションがよかったです。

個人的にはコンラッドの衣裳がツボ。上下ともきれいなブルーグレーで、ウエストに渋い色のサッシュベルト。エレガントでカッコよく、猿橋賢さんにとても似合っていました。

『グラン・パ・クラシック』:佐々晴香、髙橋裕哉

当初発表された出演者には入っていなかったと思うのですが、6月末にKバレエカンパニー退団が発表されたばかりの髙橋裕哉さんが出演!今後はフリーとして踊られるのでしょうか??

一方、佐々晴香さんは来シーズンからデンマーク国立バレエにプリンシパルとして移籍することを発表しています。

強いテクニックに支えられた軽やかな踊りが素晴らしかったです。ふたりが組んだ時のバランスもよかった。

『And… Carolyn.』(振付:アラン・ルシアン・オイエン):大谷遥陽、松井学郎

ノルウェーの振付家アラン・ルシアン・オイエンの作品。つぶやくようなナレーションと雨音のようなピアノの音。観ていると苦しく、切なくなるような男女の踊り。

隅々までコントロールされた強い動きの大谷遥陽さんと、ときには外からの力で動かされているようにも見える松井学郎さんの踊りの質の対比が面白かった。

第2部

『Deep Song』(振付:マーサ・グラハム):佐藤碧

舞台中央に白いベンチに座る白と黒のストライプのドレスのダンサー。踊りだけでなく道具立てや、衣裳の視覚効果も面白かった作品。ベンチが終盤どうなるかは、観てのお楽しみ。

『ノートルダム・ド・パリ』より パ・ド・ドゥ(振付:ローラン・プティ):青山 季可、菊地研

ローラン・プティの代表作のひとつ『ノートルダム・ド・パリ』より、2幕のカジモドとエスメラルダのパ・ド・ドゥ。

6月に全幕を観た感動が新たなうちに、再び観られて幸せでした。異色のパ・ド・ドゥではありますが、観ていると温かい気持ちになる。振付が細部まで斬新で、繰り返し観たくなる魅力があります。

なぜか、青山季可さんのエスメラルダは全幕より艶っぽく見えました。

『ジゼル』より アダージョ:加治屋百合子、平野亮一

円熟期にあるおふたりの丁寧で心のこもった踊り。

ファンとしては平野亮一さんの踊りをもっと観たかったですが、相変わらずサポートが素晴らしく。パートナーを支える手の置きどころ、ひとつひとつに迷いがなく、「ここしかない」という感じが伝わってきました。

どうでもいい余談ですが、公式に載ってるリハーサル映像では、平野さんが濃い髭を生やしていて、どう見てもアルブレヒトというよりヒラリオン 。もちろん本番では髭は剃られてましたが、本番は本番で髪型がリーゼントっぽくて気になった 笑。

 

加治屋百合子さんのチャリティー企画でも対談していた仲の良い同世代のおふたり。

この同世代オンライトークに出ていた4人、今回のガラに全員出演しています。

www.balletaddict.com

 

『小さな死』より(振付:イリ・キリアン):藤井彩嘉、江部直哉

イリ・キリアンの『小さな死』より抜粋。性的ニュアンスの強い振付です。様々に形を変える男女のフォーメーションが印象的でした

『二羽の鳩』(振付:フレデリック・アシュトン)より:佐久間奈緒、厚地康雄

本物の白鳩を肩に載せて登場する厚地康雄さん、白鳩が似合いすぎます!

昨年のDDD@横浜2021『舞踏の情熱』で厚地康雄さんが島添亮子さんと踊った舞台もよかったですが、公私共にパートナーである佐久間奈緒さんと踊る『二羽の鳩』は、より情感と温かなムードがありました。

カーテンコールのとき、厚地康雄さんが舞台袖まで白鳩を向えに行き、一緒にレベランスしていたのが微笑ましく、会場からも笑いがおきていました。

『祈り』(アメリカン・バレエ・シアター版『コッペリア』より):加治屋百合子

『2羽の鳩』からの『祈り』。主催者や出演者の気持ちが伝わってくるプログラムです。

再び加治屋百合子さんが登場。厳かな踊りに引き込まれました。

『森の詩』より:アンナ・ムロムツェワ、ニキータ・スハルコフ

最後はキエフ・バレエのプリンシパル、アンナ・ムロムツェワ、ニキータ・スハルコフによる、人間と森の妖精の悲恋を描いた『森の詩』。ウクライナの振付家ワフタング・ウロンスキー(ボロンスキーと表記されている情報もあります)と作曲家ミハイル・スコルリスキーによる全3幕のグランド・バレエからの抜粋です。

叙情的にはじまり、最後は怒涛の回転や跳躍へと展開していきます。2人の心情が感じられる、哀しく激しい演目でした。

 

おわりに

ダンサーたちの「祈り」が聞こえてくるような熱のこもった公演でした。

 

キエフ・バレエのアンナ・ムロムツェワ、ニキータ・スハルコフは、『キエフ・バレエ・ガラ2022』にも出演します。

キエフ・バレエ・ガラ2022 | 光藍社(こうらんしゃ)–キエフ・バレエ

★最後までお読みいただきありがとうございました。