元新国立劇場バレエ団の大和雅美さんと、新国立劇場バレエ団の福田圭吾さんの振付・演出の公演『DAIFUKU à la carte』を観に行きました。
初『DAIFUKU』でしたが、予想以上に面白かった!
公演概要
『DAIFUKU à la carte』Derected by MASAMI YAMATO×KEIGO FUKUDA
2022年11月3日(木)19:00
演出・振付:大和雅美、福田圭吾
板橋区立文化会館小ホール
【キャスト】
大和雅美、福田圭吾*
小野絢子*、近藤美緒、菅野英男*、清水裕三郎*、原健太*、小柴富久修*、宇賀大将*、石山蓮*、雪吉晴敬(橘バレエ学校)
*印:新国立劇場バレエ団ダンサー
【上演スケジュール】
第一部 19:00〜19:30
休憩20分
第二部 19:50〜20:45
元新国立劇場バレエ団の大和雅美さんと、新国立劇場バレエ団の福田圭吾さん振付・演出の新感覚ライブ バレエ エンターテイメント『DAIFUKU』。
2016年のDAIFUKU vol.1『360°Nutcracker』からスタートし、数々の新コンセプトのバレエを上演。出演者は毎回異なりますが、今回は新国立劇場バレエ団のダンサーたちが中心でした。
「But Not for Me」
振付:大和雅美
キャスト:近藤美緒、原健太
しっとりした雰囲気のおとなの男女のパ・ド・ドゥ。原健太さんにとても似合っていました。原健太さん、新国の公演のときも、つい目がいってしまうダンサーです。なぜなのかは、まだ自分でもわからない…不思議な魅力。
作品とは関係ないですが、冒頭で地震があって結構長く揺れてたけど、おふたりとも微塵も動揺を見せることなく。さすがです。
「a day」
振付:福田圭吾
キャスト:福田圭吾、石山蓮
グレーのスーツに白いTシャツ。おそろいの衣裳の福田さんと石山さん。
ひとりが傍観者だったり、ふたりで争ったり、相手を操ったり。途中から、ひとりの人間のなかのふたつの自分のようにも見えてきました。
石山蓮さんは新国立劇場バレエ団研修所第16期生で、2022/23シーズンから新国立劇場バレエ団の契約ダンサーになった若手。しなやかでフレッシュで素敵でした。今までノーチェックでしたが、新国の公演でも注目してみよう。
「LOVE おっさんず」
振付:福田圭吾
キャスト:菅野英男、清水裕三郎、原健太、小柴富久修、宇賀大将
どこかで聞いたタイトル…笑。
サラリーマンの姿で登場する新国立劇場バレエ団の5人のダンサー。みんな意外に似合ってた。
私の勝手なイメージでは↓
菅野英夫 部長
原健太 課長
小柴富久修 係長代理
清水裕三郎 プロジェクトリーダー
宇賀大将 若手社員
意表をついた登場シーン、宇賀大将さんをめぐる4人の男たちの恋のバトル、恋に破れた男たちの悲しみと癒しの踊り、そして希望のあるラストのオチ…。
あえてここでは詳細は書きません。
めちゃくちゃ面白く、そして味わい深かった。ぜひもう一度観たい。
「HOME」
振付:福田圭吾・大和雅美
キャスト:
*役名は私の勝手なイメージです。
サ○エ:小野絢子
マ○オ:宇賀大将
カ○オ:福田圭吾
ワ○メ:近藤美緒
○ラ: 雪吉晴敬
ナミ○イ:菅野英男
フ○:大和雅美
タ○:小柴富久修
2019年のDAIFUKUvol.5で上演された作品の再演。オリジナルキャストは、大和雅美さん、福田圭吾さん、小柴富久修さん。あとは新キャストです。
日本一有名な家族、サ○エさん一家(伏字にする必要があるのかどうかもわかりませんが…)をモデルにしたと思われる、涙あり笑いありのホームコメディー。
幕開けのセットは、丸いちゃぶ台と上に吊るされた四角い笠のついた電灯(垂れている紐でつけたり消したりできるやつ)。昭和生まれなら、それだけで子どもの頃を思い出す人も多いはず。
この公演の数日前に観たばかりの新国立劇場バレエ団の『ジゼル』でジゼルを踊った小野絢子さんが、サ○エさんになって登場!どちらも似合うのがすごい。(ジゼルだけじゃない。ヒラリオンはカ○オだし、アルブレヒトの親友ウィルフリードはタ○。)
しかもその『ジゼル 』をネタにするという!
猫じゃらし?を手にした小野絢子さん演じるサ○エさんから、踊り(じゃれ)続けることを命ぜられる猫のタ○。(このときの容赦ない感じの小野さん、好き。)ふらふらになって踊り続けるタ○。
そう、バレエファンなら誰しも知っている名場面です。
新国立劇場バレエ団の『ジゼル』はつい数日前に閉幕したばかり。この日の観客の大半はあの公演に足を運んでいたはずです。
当然、客席はすごい盛り上り!
初演のときも、このくだりはあったのでしょうか?新国『ジゼル 』の公演をうけて、新たに加えられたものなのか。初演のときからあって、『ジゼル 』公演の直後の上演になったのは偶然なのか?どちらにしてもすごいですね。
そして哀愁漂うタ○役の小柴富久修さん、最高!
小柴富久修さんって涼しげな見た目と裏はらに、『くるみ割り人形』のネズミの王様とか、『シンデレラ』の義理の姉とか、個性的なキャラクターに配役されることが多い。今回はタ○。
なんでもできるな〜。しかも味がある。
宇賀大将さん演じるマ○オもよかった。気まじめなサラリーマン感がリアル。『不思議の国のアリス』でセクシーなイモ虫を演じてた人と同一人物とは思えない。
しかもこの作品は笑いだけじゃない。
カ○オとワ○メの兄弟喧嘩、仕事に疲れたマ○オを癒すサ○エの愛(ふたりの愛のパ・ド・ドゥが美しい)、戦争が影を落とすフ○とナミ○イの若き日の記憶…。
忘れていたいろんな感情や思い出を呼び起こされるような作品でした。
ちなみに当日配られたチラシのこの作品のキャストには清水裕三郎さんの名前はなかったのですが、「LOVE おっさんず」と同じ衣裳で登場し、マ○オさんの宇賀大将さんとからむ場面がありました。ここで2つの作品の世界が交差してるのも面白い。
DAIFUKUのインスタグラムより。
家族写真(菅野さんのズラが…)+おっさんず2人組+「a day」の石山さん
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小さなホールの味わい
今回の公演、新国立劇場オペラパレスとは全く異なるスケール感の会場で観るダンサーたちが新鮮でした。
発表会のゲストダンサーが小さなホールでグラン・パ・ド・ドゥなど踊っているのを観ると「窮屈そう」と思ってしまうことが多いですが、今回の公演に関しては、会場のスケールが作品に合っていた感じ。(作品のスケールが小さいってことじゃないですよ!)
このホールだからこそ醸し出される「HOME」の茶の間感、そこで踊るダンサーの生身の存在感を味わうことができました。
おわりに
ずっと気になってた『DAIFUKU』。
楽しかった!そして何よりもダンサーたちが楽しんでるのが伝わってくる公演でした。
バレエ を観てこんなに笑ったのは初めてかも。また観たい。
福田圭吾さんプロデュース『ROCK BALLET with QUEEN 』の鑑賞メモはこちら↓
★最後までお読みいただきありがとうございました。