昨年はあまりバレエ公演の鑑賞メモが投稿できませんでした。
とにかく忘れっぽい自分のために鑑賞記録だけは残しておきたいと思い立ち、2023年に観たバレエ公演やバレエシネマをまとめて記録しておこうと思います。
2023年1月
パリ・オペラ座バレエ団シネマ オーレリ・デュポン×ロベルト・ボッレ『マノン』
収録:2015年5月18日 パリ・オペラ座 ガルニエ宮
指揮・編曲:マーティン・イェーツ
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団
美術:ニコラス・ジョージアディス
振付:ケネス・マクミラン
【出演】
マノン・レスコー:オーレリ・デュポン
デ・グリュー:ロベルト・ボッレ
レスコー:ステファン・ビュリョン
レスコーの愛人:アリス・ルナヴァン
ムッシューG.M.:バンジャマン・ペッシュ
看守:カール・パケット
恵比寿ガーデンシネマ、パリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルの3作目。オーレリ・デュポンの引退公演の映像。デ・グリュー役のエルヴェ・モローが怪我で降板し、ロベルト・ボッレが代役をつとめた舞台です。
来日公演で観たオーレリ・デュポン×エルヴェ・モローの『椿姫』が素晴らしかったので、本当はモローが観たかったけど…。モローとは全くタイプが違うボッレを、なぜわざわざパリ・オペラ座外から?と思ってましたが、『マノン』でのふたりの相性は、予想より良かった。分かり合えないけど、それでも愛し合う2人というムードがありました。
デュポンは素晴らしかった。繊細な表現や表情豊かな腕の動きに魅了されました。心身ともに今が頂点と感じさせるような踊り。パリ・オペラ座の引退年齢、見直した方がいいのでは?と思わせます。(それとも、頂点で引退させるという設定なんだろうか?)
作品とは関係ないのですが、カーテンコールで印象的なシーンがありました。ひとり舞台に残されたデュポンの上に降り注ぐシルバーの星型の紙吹雪。その一枚を手に取って、自分の胸元に張り付け、はにかんだように微笑んだデュポン。「ああ、この人は生まれながらのエトワール(星)なんだな」と思わせる瞬間でした。
デュポンの引退公演だけあって、脇を固めるダンサーたちも豪華。白タイツの脚が美しいステファン・ビュリオンのレスコー、バンジャマン・ペッシュの存在感のあるムッシューG.M、カール・パケットの冷酷な看守、どれも見事でした。そして当時入団4年目のユーゴ・マルシャンが群舞のなかでも輝きすぎてた!
新国立劇場バレエ団『ニューイヤー・バレエ』
2023年1月13日(金)19:00開演
新国立劇場オペラパレス
芸術監督:吉田都
指揮:ポール・マーフィー
管弦楽:東京交響楽団
ピアノ(A Million Kisses to my Skin ):高橋優介
【上演スケジュール】
第1幕 30分
休憩 25分
第2幕 70分
新国立劇場バレエ団による『A Million Kisses to my Skin』、『シンフォニー・イン・C』と、海外からのゲスト2組による『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥ、『ドン・ジュアン』という、バラエティに富んだプログラム。「ゲストが英国ロイヤル・バレエ団(2023年6月来日)とハンブルク・バレエ団(2023年3月来日)って、もしかすると?」と思ってましたが、当日招聘元のNBSのチラシが配られていていて、まさかのタイアップ(的なもの?)だったことが判明 笑。
A Million Kisses to my Skin <新制作>
【振付】デヴィッド・ドウソン
【音楽】ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
【美術】デヴィッド・ドウソン
【衣裳】竹島由美子
【照明】バート・ダルハイゼン
【出演】米沢 唯、柴山紗帆、小野絢子、五月女 遥、中島春菜、根岸祐衣、渡邊峻郁、速水渉悟、中島瑞生
体を極限まで使うような振付がスリリング!ダンサーから発散される強いエネルギーを感じました。衣裳デザインはレオタードブランドYUMIKOでもお馴染みの竹島由美子さん。繊細なブルーの色合いが美しかった。
『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ド
【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【衣裳】ルイザ・スピナテッリ
【出演】ヤスミン・ナグディ、マシュー・ボール(英国ロイヤル・バレエ団)
ヤスミン・ナグディ&マシュー・ボールは安定の美しさと華やかさ。ただマシュー・ボールはちょっと不調だったのかも?このところ感じていた「マシュー・ボールは王子より、アクの強い役の方がハマるのでは?」という思いを強くしました。
『ドン・ジュアン』(抜粋)
【振付】ジョン・ノイマイヤー
【音楽】クリストフ・ヴィリバルト・グルック、トマス・ルイス・デ・ビクトリア
【衣裳】フィリッポ・サンジュスト
【出演】アリーナ・コジョカル(ハンブルク・バレエ団 ゲストダンサー)、アレクサンドル・トルーシュ(ハンブルク・バレエ団 )
ガラ公演でやるには難しそうな演目ですが、コジョカルとトルーシュのドラマに引き込む力がすごかった。ナルティスティックなドン・ジュアンを演じるアレクサンドル・トルーシュも、意外性があって素敵。
シンフォニー・イン・C
【振付】ジョージ・バランシン
【音楽】ジョルジュ・ビゼー
【衣裳】大井昌子
【照明】磯野 睦
【出演】
〔第1楽章〕米沢 唯、福岡雄大
〔第2楽章〕小野絢子、井澤駿
〔第3楽章〕池田理沙子、木下嘉人
〔第4楽章〕吉田朱里、中家正博
まさにニューイヤー・オールスター・バレエ!新春にふさわしい華やかさで、フィナーレに向けてどんどん盛り上がっていく高揚感がたまらない。毎年恒例にしてほしいぐらい。
それぞれに異なる楽章の雰囲気が、ダンサーの個性に合っていました。プリンシパル、ファースト・ソリスト勢揃いの中に抜擢されていた吉田朱里さんがまわりに負けない輝きを放っていたのが印象的。
第3楽章の池田理沙子さんが途中で怪我をされたようで、フィナーレに出てこないというアクシデントも。翌日からは奥田花純さんが代役で出演されていました。(池田さんはその後、比較的早く復帰されていたので良かった。)
パリ・オペラ座バレエ団シネマ エレオノラ・アバニャート×ユーゴ・マルシャン『夏の夜の夢』
上映時間:1時間52分
収録:2017年3月 パリ・オペラ座オペラ・バスティーユ
振付:ジョージ・バランシン
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
衣装・舞台:クリスチャン・ラクロワ
出演:
タイターニア:エレオノラ・アバニャート
オベロン:ユーゴ・マルシャン
パック:エマニュエル・ティボー
ハーミア:レティシア・プジョル
ライサンダー:アレッシオ・カルボーネ
ヘレナ:ファニー・ゴルス
ディミトリウス:オドリック・ベザール
ヒッポリタ:アリス・ルナヴァン
テーセス:フロリアン・マニュネ
ボトム・フランチェスコ・ヴァンタッグロ
タイターニアの騎士:ステファン・ビュリヨン
パピヨン:ミュリエル・ズスペルギー
ディヴェルティスマン:パク・セウン、カール・パケット
パリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルの4作目。バランシン振付、ラクロワ美術・衣裳の、まさに夢のように美しい作品。以前配信で観て以来、ぜひもう一度観たいと思っていました。
まず配役が素晴らしい。エレオノラ・アバニャートの可憐で、なおかつ気が強うそうなタイターニアと、ユーゴ・マルシャンの圧倒的に高貴で美しいオベロン。エマニュエル・ティボーのパックも似合い過ぎです。
結婚行進曲ではじまるディヴェルティスマン中心の2幕は、別の作品かと思うほど1幕と雰囲気が異なるけど、踊りは見応えあり。伸びやかなアリス・ルナヴァン、端正なパク・セウンとカール・パケット。
タイターニアのピンクのドレス、大きなシェルのような寝台、パリ・オペラ座学校の生徒たちが演じる妖精たちの衣裳、内側だけピンクになった2幕のコールドバレエのシャンパン色のチュチュ…ラクロワの衣裳・美術は、何度観てもため息がでるような美しさでした。
おわりに
これが1月分。メモを見つつ振り返っていると、つい関連の動画を見てしまったりして予想外に時間がかかりました。はたして12月までたどり着けるのか?
★最後までお読みいただきありがとうございました。