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【鑑賞レポート】「ロミオとジュリエット」ボリショイ・バレエ in シネマ 2019-2020

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ボリショイ・バレエin シネマ2019-2020 の「ロミオとジュリエット」を鑑賞してきました。シネマ2017-2018上演時には見逃していて、ラトマンスキー版ははじめて観ましたが、見慣れたマクミラン版とはかなり違い、色々驚きのある舞台でした。 

作品概要

上映日2月19日(水) 19:00〜 

 【スケジュール】

イントロダクション 

第一幕 50分

休憩&インタビュー

第二幕 30分

休憩&インタビュー

第三幕 40分

エンドロール

(上演時間:2時間50分)

 

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:アレクセイ・ラトマンスキー
台本:セルゲイ・プロコフィエフ、セルゲイ・ラードロフ、エイドリアン・ピョートロフスキー(原作:ウィリアム・シェイクスピア)

監督:ヴァンサン・バタイヨ
出演

ジュリエット:エカテリーナ・クリサノワ

ロミオ:ウラディスラフ・ラントラートフ

マキューシオ:イーゴリ・ツヴィルコ
ベンヴォーリオ:ドミトリー・ドロコフ

ティボルト:ヴィタリ―・ビクティミロフ

収録:2018年1月21日 ボリショイ劇場

 

ボリショイ・バレエ in シネマ 2017-2018で新作として上映された作品です。ボリショイでは、グリゴローヴィチ版「ロミオとジュリエット」をレパートリーにしてきましたが、2017年からラトマンスキー版が加わりました。今回のシネマのキャストは初演のキャストと同じだそうです。ちなみにラトマンスキー版の初演は2011年カナダ国立バレエ。

芸術監督マハール・ワジーエフはラトマンスキーがお好きのようで、5月に上演予定の新作「ジゼル」(←スミルノワ&ベリャコフ出演決定!)もラトマンスキー版です。

ラントラートフのインタビュー中のハプニング!

今回も解説&インタビューを行うMCはご存知カテリーナ・ノヴィコワ様。今回は鮮やかなブルーのドレスで登場。上演時に配られるチラシににも今回は「露・仏・英の3ヶ国語で、同じ内容を通訳しながら話す、劇場名物広報。」と記載されていました 笑。

1幕の終わりにはマキューシオ役ドミトリー・ドロコフ、2幕の終わりにはロミオ役ウラディスラフ・ラントラートフのインタビューがありました。ライブで出演している人に幕間でインタビューしちゃうのはすごいですよね。

私は幕間に必ずトイレに行くので、いつもこのインタビューを全部観られなくて残念なのですが、ラントラートフのインタビューのときにちょっとしたハプニングがあったのは運よく見ることができました。ラントラートフがノヴィコワのインタビューに答えている最中にマリーヤ・アレクサンドロワが突如登場し、ラントラートフの頰にキス!そのまま去って行きました。ほんの一瞬の出来事でしたが、さすがのノヴィコワも唖然。「ラントラートフは私のロミオよ!」ってことでしょうか 笑。ラントラートフファンにはショックだったかな。私はもともとアレクサンドロワのファンだったので、彼女の登場は嬉しかったです。

ラトマンスキー版はロミオが主役

マクミラン版を観ると、幼いジュリエットが恋をして自我のある女性へ変貌していくというテーマが感じられますが、ラトマンスキー版ではむしろロミオが主役。幕開けも内面を表現するようなロミオのソロの踊りで始まります。バルコニーのシーンでも、はじめに登場するのはロミオ。ジュリエットがいるであろう窓辺(バルコニーっぽくなかった)をうっとり見つめます。恋に恋する夢見るロミオ…

脇のキャラクターも少し性格付けが違っています。ティボルトはマクミラン版よりちょっと「悪い」感じ。街の女性への態度など、少し悪役的な要素が強い気がしました。

そしてもっとも違うのはジュリエットの婚約者パリス。マクミラン版では貴族的な冷たいイケメンのイメージだったのですが、ラトマンスキー版では、さえない感じでちょっとしつこく、もしかしてマザコン?みたいな印象でした。舞踏会での豪奢な白い衣装はいいとしても、ジュリエットの部屋を訪れるときの、上下ベージュで膝丈のプリーツスカートみたいな衣装もなんだかもっさりしていて…。ジュリエットの母親に度々なぐさめられ、うなだれるパリス。ジュリエットが仮死状態になるときも発見時から立ち会っていて、大ショックを受けるパリス。さえないキャラながらも、マクミラン版より物語に参加していました。

ドラマのマクミラン版、踊りのラトマンスキー版

ラトマンスキー版の「ロミオとジュリエット」は踊りの量が多いのも特徴。余白なく踊りが埋め込まれている感じです。個人的にマクミラン版は観終わったあと、「ドラマを観た」という印象が残るのですが、マトマンスキー版はやはり「バレエを観た」。

通常はほぼ立ち役のティボルト、パリス、ジュリエットの両親、修道士も踊ります。修道士がロミオと一緒にジュリエットをリフトするのには驚いた。ジュリエットとお母さんが踊ったりも。ソード・ファイトも、踊りの一部に取り込まれています。

振付は、特に群舞はパラレルの動きも多く、ちょっとコンテンポラリーな印象も。男性同士のサポートやリフト、女性同士のサポートも多かったです。

見応えはあるのですが、もう少し余白というか余韻があっても…という気がしました。観なれていないせいもあるのでしょうが。

あと、個人的にあまり好きになれなかったのは舞台装置。街中の場面は中央奥にそびえ立つ巨大な城郭(貴族の屋敷?)と3〜4段のステップぐらいで、スカスカ。グリゴローヴィチ版の「くるみ割り人形」ぐらいスカスカ。そもそもリアルな街並みは目指しておらず、何か抽象化された夢の中の風景のようです。寓話的な世界にしたいんでしょうか?「ロミオとジュリエット」のように時代も舞台も決まっているような作品なら、やっぱりもう少し雰囲気のある装置が好み。巨大なボリショイ劇場なら相当迫力あるセットが造れそうなのに…。舞踏会のシーンはシンプルでも雰囲気がありよかったです。

まさかの幕切れ

物語面で一番びっくりしたのは、最後の場面。仮死状態のジュリエットを見て、自殺するために毒薬を飲んだロミオがまだ息があるうちに、ジュリエットが息を吹き返すこと!ロミオとの再開を喜んだと思ったら、ロミオはすぐに死んでしまう…

個人的には、ロミオが死んだ後、ジュリエットが目を覚ます方が、物語の切なさが感じられて好きかな…

また2人が死んだ後に両家の人々や修道士が登場し、2人の死を嘆き、両家の関係の修復を暗示させるようなエンディングになっています。 

クリサノワ、ラントラートフの鉄板ペア

ラントラートフは夢見るロミオという感じを、初々しく巧みに演じていました。

クリサノワは、柔らかい背中と長い手足がジュリエットの踊りにあっていて素晴らしかった。踊りのボリュームもかなりありますが、最後まで疲れを感じさせませんでした。あまりに身体能力が高くて、ちょっと動きすぎというか、過剰な感じもあるのですが、おそらく振付のせいだと思います。

イーゴリ・ツヴィルコのマキューシオもよかった。明るくお気楽な感じが踊りと演技に表現されていました。

3人とも2020年11月〜12月のボリショイ・バレエ来日公演にも出演予定。楽しみです!

www.japanarts.co.jp

 

おわりに

私は頭が固いのか、はじめて観る版はどうしても観なれた版と比べてしまって「こうじゃない!」と思いがちなのですが、慣れるとまた違ってくるはず。ラトマンスキー版もまた挑戦したいと思います。

次回のボリショイ・バレエ in シネマ2019−2020は、3月18日(水)19:00〜「ライモンダ」です!

bolshoi-cinema.jp

3月からは英国ロイヤルバレエの映画、マクミラン版「ロミオとジュリエット」 も公開になりますね!

 

www.balletaddict.com

 

こちらはラトマンスキー版シンデレラ。

ヴィシニョーワ&シクリャローフ主演。

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。