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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』2月5日まで【バレエファンの感想】

アーティゾン美術館で開催中の『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』。3ヶ月間も会期があると油断していたら、あっという間に終了間近!あわてて観に行きました。

パリ・オペラ座の魅力をさまざまな角度から知ることができる、見応えのある展示でした。250点という展示作品はじっくり観たら丸一日かかりそう。

そんなかでも、やはり注目してしまうのはバレエ関連の展示。というわけでかなり偏ってますが、簡単な感想です。

 

マリー・タリオーニのトゥ・シューズと手紙

 

「第Ⅱ幕:19世紀[1]」ゾーンの「ロマンティック・バレエ」のコーナーは見覚えのある『パ・ド・カトル』のリトグラフや、マリー・タリオーニの肖像画などが並びます。

 

なかでも驚くのはマリー・タリオーニのポアント(推定1840年ごろのものらしい)の展示。まずシューズの長さに対して幅がやたら細い。この時代の人はこんなに足の幅が狭かったんでしょうか?

そしてシューズの先端、プラットフォームの部分が平らになっていない。スクエアトゥの普通の靴みたい。リボンも細くて、現在使われているリボンの1/2ぐらいの幅です。全体に華奢で繊細な作りでした。

 

こんなトゥ・シューズで本当に立てるのか??

今とはバレエのテクニックもかなり違っていたのでしょうが、それでもすごい脚力です。

 

そして、面白かったのがマリー・タリオーニがオペラ座関係者に宛てたと思われる自筆の手紙。1832年2月8日の日付があります。

オペラ座の衣装部から支給されたバレエ・シューズを使わず、自分で作らせたものを使うことになった釈明の手紙のようで、支給のシューズが必要な時に間に合わず、質も悪かったと文句をつけています 。

 

エドガー・ドガのアラベスク・パンシェのブロンズ像

「第Ⅲ幕:19世紀[2]」にはエドガー・ドガのコーナーが。有名な「バレエの授業」も展示されています。

このなかで興味深かったのは、「右足で立ち、右手を地面にのばしたアラベスク」というタイトルの小さなブロンズ像。絵画作品のための習作でしょうか?

タイトル通りアラベスク・パンシェのポーズの彫像なのですが、どうもフォルムが微妙。軸足はのびていますが、後ろに上げた脚の膝はちょっと曲がっている。上半身やフロアにのばした手からもバレエ的な美しさはあんまり感じられない…。よく先生から「頭から突っ込まないで!」と叱られている自分のパンシェみたいで、なんだか親近感が 笑。

ドガが描くバレエの世界では、バレエの美よりもむしろ、踊り子たちの生き生きとした(ときに生々しい)存在感に惹きつけられます。このブロンズ像もそう。

 

これです。(『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』は作品によっては撮影OKです)

 

セルゲイ・デアギレフの洗練された私物

バレエ・リュスの展示はボリュームがあり、「第Ⅳ幕:20世紀と21世紀」の1/3ぐらいをしめていました。

ここに展示されていた、バレエ・リュスのプロデューサーであるセルゲイ・ディアギレフの私物が印象的でした。シルクハット、片眼鏡、懐中時計、劇場用の双眼鏡、ハート型のケースに入ったカフスボタン。シンプルで洒落ていて、持ち主を想像させるような愛用品。

 

バレエ・リュスの『狐』と『蜜蜂』

バレエ・リュスの公演パンフレット、ポスター、衣裳・舞台装置デザインについても、多くの展示があり、ロマンチック・バレエからの大きな変化に目を奪われます。

エキゾチックな公演パンフレットのデザインが美しかった。

『シェエラザード』『ペトルーシュカ』あたりは今でもお馴染みですが、よく知らない作品も多数。なかでも気になったのは『狐』と『蜜蜂』。どちらも舞台美術のデザイン画が展示されていました。

『狐』は冬と思われる風景の中に狐と犬(猫?)が描かれている絵本の1ページのようなデザイン画。タイトルぐらいはうっすらと記憶にある作品でしたが、調べてみると音楽はイーゴリ・ストラヴィンスキー、初演時の振付はニジンスキーの妹、ニジンスカでした。

 

「きつね」が収録されていますね↓

 

『蜜蜂』は蜂の巣のような六角形パターンの描かれた装置が何層にも重なる抽象的なデザイン。これもどんなバレエだったか気になります。

 

クリチャン・ラクロワ、高田賢三、森英恵、マーク・ジェイコブズ、カール・ラガーフェルド

「第Ⅳ幕:20世紀と21世紀」の後半では、バレエやオペラの衣裳に関連する展示が。衣裳好きとしては嬉しい。

実物のバレエの衣裳が展示されていたのは、森英恵さんデザインの『シンデレラ』の靴、毛利臣男さんデザインの『白鳥の湖』の女王の金色の衣裳、クリチャン・ラクロワデザインの『シェエラザード』の赤と黒の衣裳。

『白鳥の湖』は、ウエストから水平にスカートが張り出し、幅2mぐらいありそうな、あの強烈なデザインの衣裳です。絢爛豪華、そして重そう。

クリチャン・ラクロワ、高田賢三、マーク・ジェイコブズ、カール・ラガーフェルドの衣裳デザイン画が並ぶ展示には、さすがパリ・オペラ座と思わされました。

 

展示の最後には、パリ・オペラ座バレエの公演の映像が観られるコーナーも。

『ロミオとジュリエット』『白鳥の湖』『シンデレラ』『くるみ割り人形)などのハイライト映像のようでした。(この映像の音楽が、かすかに展示室にも聞こえてくる。)

時間がなかったのと、映像のコーナーが混んでいたのでほとんど観られず、残念。

 

おわりに

あまりにピンポイントな感想になってしまいましたが、実際は『響き合う芸術の殿堂」というタイトルににふさわしい、厚みのある構成・企画でした。

『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』は今週末、2023年2月5日(日)まで。日時指定予約制です。

 

このところ、バレエ関連の写真展などが多いですね。

1月30日(月)までreload下北で開催されていた井上ユミコさんの写真展「BALLET DANCERS」も美しかった。

 

 
 
 
 
 
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こちらも観に行きたいな↓

現在開催中のローザンヌ国際バレエコンクールの50周年を記念する展覧会。

「ローザンヌ国際バレエコンクールの50年」展

2023年2月3日 (金) 〜2月15日 (水)

bunkamura gallery

ローザンヌ国際バレエコンクールの50年 | Bunkamura

 

写真展「バレエダンサーの足展」

2023年1月23日 (月) 〜2月14日 (火)
新宿マルイ本館 B1F BEAUTY STAND PLUS

バレエダンサーの“足”に注目! 距離感ゼロの写真展「バレエダンサーの足展」 | CAPA CAMERA WEB

★最後までお読みいただきありがとうございました。

大人バレエ自宅トレーニング半年の成果と持病の話【大人バレエつれづれ】

自宅でバレエ上達のためのトレーニングをはじめてから、半年が経ちました。…なのですが、実は昨年12月は3週間ぐらいトレーニングをお休みしていました。

サボっていたわけではないんです。背中や肩、腕まわりのストレッチをちょっとやり過ぎてしまったためなのか、腕や脇に痺れが出てしまいました。

このとき、私の頭をよぎったのは「これはリンパ浮腫の始まりではないのか?」という恐怖でした。

 

リンパ浮腫とは

リンパ浮腫とはなんぞや?と思われたでしょうか。

 

リンパ浮腫とは、主にがんの手術や放射線治療のあとに、その部位の付近にリンパ液が溜まって異常にむくんでしまう状態のこと。

1度発症すると治りにくく、対処療法でひどくならないようにしていくしかない。治療後すぐに発症する場合も、治療後10年経ってから突然発症するケースもある。初期は、痺れ、重だるさなどからはじまることが多い。手術した側の手で重いもの持ったり、ケガからの感染が原因になることもある…。

 

今までこのブログで書いたことはなかったのですが、私は数年前に乳がんの手術を受けています。幸いごく初期で発見され、部分切除で済みました。

一般的に乳がん手術後は特に運動は禁じられておらず、むしろ適度に動かした方がいいと指導されます。

この「適度に」っていうのが難しいところですが、私にとってバレエレッスンは適度な運動だと感じています。(主治医にも問題ないといわれました。)

手術した側の脇などが動きによっては、少し引っかかる感じがするときがあるものの、普段のレッスンでは無理をしている感覚はありません。私の場合は手術後に腕の可動域に影響がでることもありませんでした。

 

ただ、胸を大きく張ったり、背中にポールを入れた姿勢で腕を広げたりする柔軟をやると、突っ張った感じや軽い痛みがあり、この手の柔軟やるときは気をつけてはいたのです。

ああ、それなのに…。ちょっと油断してやりすぎてしまいました。

 

タイミングよく病院の定期検診があったので、主治医にも診てもらったのですが、現状はむくんではおらず、この状態でリンパ浮腫のはじまりかどうかは判断がつかないとのことでした。「ストレッチをやりすぎたぐらいでは、可能性は低いのでは」といわれ、少しだけ安心したものの、不安は消えない…。

 

数日経っても痺れや重だるさがなくならず、荷物を持ったときの感覚もいつもとちょっと違う。レッスンでも手をア・ラ・スゴンドにしたときに、つっぱるような違和感を感じるようになりました。

 

バレエに対してモチベーションが上がっている時期だったのでつらかったのですが、思い切ってトレーニングもレッスンもしばらく休もうと決めました。

ときには思い切って休むことも大事かも

レッスンやトレーニングを休んでから2週間すぎたあたりから、少しずつよくなってきていると感じるようになり、1ヶ月ぐらいでほぼもと通りになりました。

今は普通にレッスンできています。トレーニングでは、胸の筋肉や腕に負荷をかけすぎるストレッチはやめることにしました。

 

あの痺れの原因はなんだったのかはわかりませんし、これから先どうなるかもわからない。主治医には「リンパ浮腫は、前触れもなく始まる人がほとんどです」と言われ、それはそれで怖いんですけど。

 

というわけで、半年の成果の報告というよりは、病気の話になってしまいました。

でも休んでみて、気がついたこともあります。

トレーニングを3週間も休んだら、始める前に戻っちゃうかなと案じていたのですが、意外にそうでもなかった。

柔軟性に関しては、再開したてこそ硬かったですが、数日したら、むしろ休む前より向上したんじゃないかなと思うほど。身体を十分休めた効果でしょうか?

がむしゃらに頑張ればいいってもんでもないんだな…。腕以外の部分でも、知らないうちに無理して疲れが溜まっていたのかもしれません。

おわりに

乳がんを告知されたとき、バレエが続けられるかが何よりも気がかりでした。夜な夜なネットで情報を調べたのを覚えています。

このブログで病気のことを書くのは、ちょっと迷いもあったのですが、どこかのだれかの役に立てばと思い書いてみました。

手術後からレッスン復帰までのことも、機会があれば書いてみようかなと思います。

*あくまでも個人の体験です。同じ病気でも状態は多様だと思いますので、参考程度にお読みください。

 

トレーニングをはじめたきっかけはこちら↓

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★最後までお読みいただきありがとうございました。

東京バレエ団 金子仁美 ×池本祥真『くるみ割り人形』【バレエ鑑賞メモ】

遅ればせながら…昨年12月に鑑賞した東京バレエ団の『くるみ割り人形』の鑑賞メモです。主演は金子仁美さん、池本祥真さん。

Kバレエカンパニーの『くるみ割り人形』の翌日に観たので、その違いが興味深かったです。

*写真はホワイエのデコレーションですが、斎藤友佳理版のくるみ割り人形のデザインはインパクト大!頭と口と歯が大きく、口元はちょっと獅子舞っぽい。これなら確実にくるみ割れますね。困ったような瞳もなんだか気になる…。

公演概要

『くるみ割り人形』全2幕 東京バレエ団
2022年12月17日(土)17:00開演
東京文化会館大ホール

芸術監督/改訂演出/振付:斎藤友佳理(レフ・イワーノフ及びワシーリー・ワイノーネンに基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー

台本:マリウス・プティパ(E.T.A.ホフマンの童話に基づく)

舞台美術:アンドレイ・ボイテンコ

装置・衣裳コンセプト:ニコライ・フョードロフ
指揮:フィリップ・エリス

管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

児童合唱:NHK東京児童合唱団
協力:東京バレエ学校
【キャスト】

マーシャ:金子仁美

くるみ割り王子:池本祥真

ドロッセルマイヤー:柄本弾

ピエロ:後藤健太朗

コロンビーヌ:工桃子

ウッデンドール:海田一成
マーシャの父:ブラウリオ・アルバレス

マーシャの母:政本絵美

弟のフリッツ:上田実歩

ねずみの王様:岡﨑司
スペイン:三雲友里加、宮川新大

アラビア:榊優美枝、安村圭太

中国:中沢恵理子、加古貴也

ロシア:二瓶加奈子、玉川貴博、鳥海創

フランス:中川美雪、長岡佑奈、星野司佐

花のワルツ(ソリスト):平木菜子、中島映理子、上田実歩、中島理子、ブラウリオ・アルバレス、和田康佑、岡﨑司、南江祐生
【上演スケジュール】

第1幕 55分

休憩 25分

第2幕 50分
2019年に芸術監督斎藤友佳理さんの演出・振付で新制作された東京バレエ団の『くるみ割り人形』。ロシアと縁の深い斎藤友佳理さんの演出だけあって、主人公の少女の名前はクララではなくマーシャ、美術・衣裳はロシアで製作するなど、ロシア色の濃いバージョンになっています。

感想メモ

マーシャと王子=くるみ割り人形のラブストーリー

『くるみ割り人形』には数多くのバージョンがありますが、、クララ(マーシャ)と金平糖の精を同じダンサーが踊るかどうかで、大きく2分されますよね。
東京バレエ団は同じダンサーが踊るバージョン…というか、「金平糖の精」自体が配役表にありません。マーシャはお菓子の国で王子と踊るときも金平糖の精ではなくて、マーシャのままという設定(衣裳は金平糖の精のようなチュチュに変わりますが)。当然踊るダンサーも同じです。
今回はじめて観た斎藤版はマーシャと王子(=くるみ割り人形)のラブストーリーという印象がとても強かったです。
マーシャと王子がふたりで踊る1幕のアダージオでは愛情の高まりを感じさせ、3幕のグラン・パ・ド・ドゥでその愛が結実する。そんなイメージです。
可憐な金子仁美さん、一途さを感じさせる池本祥真さん。ふたりとも役柄に合っていました。
クラシカルな振付ですが、ダイナミックなリフトが組み込まれているのが印象的。グラン・パ・ド・ドゥには大技リフト3連発のような振付も。観ているだけでも心臓に悪い 笑。

マーシャ役の金子仁美さんのインスタグラムより。この日の主演のふたり。

 
 
 
 
 
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意外に出番の少ないドロッセルマイヤー

ドロッセルマイヤーは柄本弾さん。黄色と紫の衣裳、片方の眉だけを上げたメークで登場。やはり独特の存在感があります。
でもこのバージョンのドロッセルマイヤー、2幕には登場してない?気がついたら舞台にいませんでした。
1幕でもドロッセルマイヤーはわりと控えめ。他の版では、物語全体を動かす狂言回しの役割を担っていることも多いですが、斎藤版のドロッセルマイヤーはマーシャを遠くから見守っている感じ。

もうひとつ1幕で特徴的なのは、マーシャの弟のフリッツをはじめとする小さな男の子やおもちゃの兵隊を、女性ダンサーが踊っていること。
おもちゃの兵隊はなんとポアント。騎馬隊も登場するのですが、ポアントの踊りが馬の蹄っぽく見えてくるのが面白い。(ちょっと、パリ・オペラ座バレエの『PLAY』に出てくるポアントの鹿を思い出した。)

雪の国は美しく深い森の中

雪の国では雪の精たちのコール・ド・バレエとマーシャと王子が踊ります。

東京バレエ団のコール・ド・バレエの端正な美しさを堪能しました。
雪の精たちのチュチュは釣鐘型で径が大きく、踊り合わせて揺れるさまが印象的でした。でもあのチュチュで高速で回ったり跳んだりするのは大変そう…。
前日に観た熊川版が猛吹雪だったのに対して、雪はあまり降らなかった。最後の方で粉雪程度。
この雪の国の美術がとても美しかったです。モノトーンで描かれた深い森の背景が見事。
東京バレエ団YouTubeチャンネルの、衣裳や装置のメーキング映像に、この雪の国の背景を描く工程も映っていました。こんな大きなスクリーンも手描きなんですね!

【メイキング映像】舞台装置製作Ver. ――東京バレエ団「くるみ割り人形」 - YouTube

お菓子の国はクリスマスツリーの世界

マーシャ=クララが夢の国に向かう乗り物は、Kバレエカンパニーの熊川版はそり、新国立劇場バレエ団のイーグリング版は気球。斎藤版はなんと船でした!
ドロッセルマイヤーに導かれないかわりに、マーシャと王子と一緒に船に乗ってお菓子の国までついてくるのは、ピエロ、コロンビーヌ、ウッデンドールの人形3人組。1幕でドロッセルマイヤーが子供たちに披露する機械仕掛けの人形たちです。
コロンビーヌの工桃子さんが素晴らしかった!
いわゆる人形振りなのですが、腕や脚の先だけでなく、腰回りの動きまでリアルに人形ぽかった。

一行がたどり着くお菓子の国は、クリスマスツリーの世界という設定。クリスマスツリーの背景に窓が開いていて、各国の踊り手が顔を覗かせているという面白い美術でした。お子さんたちが喜びそう。

各国の踊りでは、スペインにプリンシパルの宮川新大さんが登場!このバージョンのスペインは衣裳も含めてドン・キホーテっぽくて、宮川さんのバジルを観たような得した気分に。

各国の踊りのあと、花のワルツでガラッと場面転換するのも新鮮。
お菓子の国までのカラフルではっきりした色使いから一転、ピンク、ラベンダーやペールグレーなどの淡いトーンになります。公演パンフレットによると「このデザインは、1892年のイワーノフによる初演版へのオマージュによるものだそう。」とのこと。

初演はこんなイメージだったのですね。

花のワルツのソリストでは中島映理子さんの大きな踊りが目を引きました。

ダイナミックな場面転換

斎藤版は全体を通してダイナミックな場面転換が多かった印象です。

例えば広間からマーシャの部屋、夢の国からマーシャの部屋への場面転換。新国立劇場バレエ団のイーグリング版ではマーシャの部屋は舞台前方に小さいコーナーとして設けられていますが、斎藤版では舞台全体が一挙にマーシャの部屋になります。

最後に夢の国でグラン・パ・ドゥを踊ったあと、マーシャが自分の部屋で目覚めるところは、驚くほどの早替え。衣裳もヘアスタイルも変わっている。どうやっているんだろう?

 

会場で東京バレエ団のLINEの友達登録するともらえたマーシャクリアホルダー。これがマーシャの部屋。かわいい子供部屋ではなく、ほの暗くてちょっと寂しいような独特のムードがあるのも、このバージョンの世界観を表しているように感じました。

特別企画“「くるみ割り人形」、舞台装置の秘密"が面白かった!

この日の公演後に、クリスマス特別企画として“「くるみ割り人形」、舞台装置の秘密"がありました。前日のKバレエでもスペシャル・トークがあったし、なんだかラッキー。
この企画は面白かった!

技術監督の足立好治さんによる解説と、めったに見られない舞台転換をみることができました。足立さんはお話上手で、笑いを交えつつの解説がわかりやすかった。

 

以下は印象に残った内容のメモ。

・普段目にする機会は少ないが、真紅のオペラカーテンの後ろには”板緞”といわれる板のような緞帳がある。大ホールの”板緞”は画家の脇田和によるもの。

・”板緞”は舞台転換の音が客席に響かないように、遮音幕として使われることもある。

・スクリーンなどの装置を吊る”パトン”。大ホールには49本のパトンがありコンピュター制御されている。

・舞台上部から降りてくる5本のブリッジに、1本あたり約50個の照明がついている。舞台全体では約500個の照明を使っている。

・ダンサーにあてる照明、フォロースポット。東京文化会館の場合5階からあてるが60mぐらいの距離がある。特に『ボレロ』は難しい。(確かに難しそう!)

・公演に関わるスタッフは約60人。オーケストラや出演者を含めると、総勢200人が、ひとつの舞台を創り上げている。

 

最後に足立さんは、舞台の技術や照明などの裏方は高齢化が問題になっていて、今日の企画でこの世界に興味をもったら、ぜひ僕達の仲間になりませんかと話されていました。

会場にはお子さんの姿も多く、こういう企画を続けていれば必ず効果がでる気がした。

『バヤデール』に続いて2回目の開催ということですが、毎回やってほしいぐらい。できればチケット発売時に告知してほしいですね。

おわりに

はじめて観る斎藤版、新鮮でした!

この公演、客席に外国の方が多くて驚きました。旅行者なのか在住者なのかはわかりませんが、やっぱり12月といえば『くるみ割り人形』なんでしょうね。

 

バレエショップのドゥッシュドゥッスゥで東京バレエ団グッズが買える!
このTシャツの着用モデルはこの日の王子、池本祥真さん。

 

今この本を読んでます。斎藤友佳理さんの激動の人生…面白いです!

【中古】ユカリュ-シャ 不屈の魂で夢をかなえたバレリ-ナ /文藝春秋/斎藤友佳理(文庫)

★最後までお読みいただきありがとうございました。