ballet addict

大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

新国立劇場バレエ団 『DANCE to the Future: 2021 Selection』 【鑑賞メモ】

f:id:logue5:20211130212003j:plain

新国立劇場バレエ団 のダンス公演『DANCE to the Future: 2021 Selection』を鑑賞しました。

コンテンポラリーダンスのシリーズ企画『DANCE to the Future』を観るのは初めて。コンテンポラリーダンスにはまるで疎いのですが、ダンサーたちの別の一面が観られる面白さがありますね。今回も嬉しい発見がありました。

公演概要

『DANCE to the Future: 2021 Selection』 新国立劇場バレエ団

2021年11月27日(土) 14:00〜

新国立劇場 中劇場

芸術監督:吉田都

NBJ Choreographic Groupアドバイザー:遠藤康行

 

第1 新国立劇場バレエ団 Choreographic Group 作品より
『Coppélia Spiritoso』

『人魚姫』

『コロンバイン』「DANCE to the Future 2020」未公開作品

第2部 新国立劇場バレエ団 Choreographic Group 作品より

『≠(ノットイコール)』
『神秘的な障壁』「DANCE to the Future 2020」未公開作品

『Passacaglia』

第3部 

『ナット・キング・コール組曲』「DANCE to the Future 2011」にて初演

 

【上演スケジュール】 約2時間10分

第1部 40分

休憩20分

第2部 25分

休憩20分

第3部 25分

 

新国立劇場バレエ団のコンテポラリーダンスのシリーズ企画「DANCE to the Future」。昨年はコロナ禍で中止になり、約2年ぶりの開催です。

第1部、第2部では新国立劇場バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」で生まれた作品、第3部ではバレエダンサーが踊るジャズ作品、上島雪夫さん振付『ナット・キング・コール組曲』が10年ぶりに再演されました。

『Coppélia Spiritoso』

振付:木村優里
音楽:レオ・ドリーブ 他
出演:木村優子 木村優里

今シーズン幕開けの『白鳥の湖』公演の際も、期待の新鋭としてテレビのニュースにも取り上げられていた木村優里さんが振付、出演する作品。共演は木村優子さん。名前が一文字違いで一瞬姉妹?と思いましたが、違いました。

コッペリアへのオマージュのような、魂を吹き込まれた人形をモチーフにした作品。W木村さんの衣裳は黒いチョーカーに白いベビードールっぽい衣裳。使っている小道具なども含めて、可愛いけれど、少しホラー?な独特の世界がありました。

ご自身のインスタグラムに動画がありますが、優里さんが木村優子さんをサポートして側転させるところ、ちょっと驚いた。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Yuri Kimura木村優里(@yuri__vortex)がシェアした投稿

 

以前『舞姫と牧神たちの午後 2021』で『Danae』を踊るのを観たときも感じましたが、コンテンポラリーを踊る木村優里さんには、クラッシクとはまた別の魅力があって惹きつけられる…。今回もあの長い手脚が描くラインが印象的でした。

『舞姫と牧神たちの午後 2021』の感想はこちら↓

www.balletaddict.com

『人魚姫』

振付:木下嘉人
音楽:マイケル・ジアッチーノ
出演:米沢 唯 渡邊峻郁

今回の公演では、木下嘉人さん振付の作品が2つありました。

こちらは、声を失う代わりに脚を得て人間になった後の人魚姫の物語。声を失って人間になっても、得られなかった愛。米沢唯さんが演じる人魚姫が、渡邊峻郁さんが演じる王子のもとを去っていくラストが切ない…。そして、ただただ米沢唯さんが美しかった。

人魚だった名残りを思わせる、裾に向かってブルーのグラデーションが入った衣裳がひらめくさまが印象的で、米沢さんの踊りを引き立てていました。(王子は普通のシャツとパンツのカジュアルスタイル)素敵な衣裳だなと思ってクレジットを見ると、堂本敦子さんの名前がある率が高い…。

振付の木下嘉人さんのインスタグラムより。2枚目以降で人魚の衣裳が見られます。舞台上では軽く見えたけど、意外にボリュームがある…。裾さばきが難しそう!

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Yoshito Kinoshita(@yoshito.0227)がシェアした投稿

 

『コロンバイン』

振付:髙橋一輝
音楽:ソルケット・セグルビョルンソン
出演:池田理沙子 渡辺与布 玉井るい 趙 載範 佐野和輝 髙橋一輝

コロナ禍で中止になった「DANCE to the Future 2020」で上演される予定だった髙橋一輝さんの振付作品。色によって異なるコロンバイン(オダマキ)の花言葉にそうような、3組のカップルが繰り広げるちょっと愚かで愛すべきドラマという感じの作品でした。渡辺与布さんが、役柄にぴったりで可愛いかった。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Risako Ikeda(@risako0818)がシェアした投稿

 

『≠(ノットイコール)』

振付:柴山紗帆 益田裕子 赤井綾乃 横山柊子
音楽:渡部義紀
出演:益田裕子 赤井綾乃 横山柊子 柴山紗帆

4人のダンサーによる共同振付、出演の作品。音楽はダンサーの渡部義紀さんのオリジナルとのこと。多才ですね。

柴山紗帆さん、益田裕子さんは黒い衣裳、赤井綾乃さん、横山柊子さんは白い衣裳。

クラシック演目とは印象の異なる、凛々しい柴山紗帆さんが素敵でした。

横山柊子さんのインスタグラムより。赤井綾乃さんとの振り付け作業中の動画。ふたりの振付も面白かった。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Toko Yokoyama(@touko.y)がシェアした投稿

 

『神秘的な障壁』

振付:貝川鐵夫
音楽:フランソワ・クープラン
出演:米沢 唯 *11/28は木村優里

こちらも「DANCE to the Future 2020」未公開作品です。振付は「DANCE to the Future 」などでたびたび作品を発表している貝川鐵夫さん。米沢唯さんと木村優里さんのダブルキャストで、この日の出演は米沢唯さん。

届きそうで届かない、もどかしさを感じさせる振付。白のシンプルなトップスとショーツに、シースルーの薄い布(障壁の象徴?)を纏っただけの米沢唯さんのクリアな動き、何も装置のない舞台、クープランの繊細なしらべ…研ぎ澄まされた世界に引き込まれました。

『Passacaglia』

振付:木下嘉人
音楽:ハインリヒ・ビーバー
出演:小野絢子 福岡雄大 五月女遥 木下嘉人

木下嘉人さんの2作品目。叙情的な『人魚姫』に対して、こちらはシャープで格好いい作品でした。

小柄な小野絢子さん、五月女遥さんのキレのある動きが印象的。そして福岡雄大さんはコンテンポラリー作品を踊っているときの方が、のびのびと楽しそうに見える…

この作品も衣裳は堂本敦子さん。シンプルでダンサーの身体が美しく見える素敵な衣裳でした。

福岡雄大さんのインスタグラムより。1枚目の画像はなぜかこの作品と関係のない福田圭吾さん(第3部に出演)ですが、2枚目以降で衣裳と決めポーズが見られます!

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

yudai fukuoka(@yudaifukuoka_official)がシェアした投稿

 

『ナット・キング・コール組曲』

振付:上島雪夫
音楽・歌:ナット・キング・コール ほか
出演:本島美和 寺田亜沙子 奥田花純 細田千晶 益田裕子 今村美由起
貝川鐵夫 福田圭吾 小野寺 雄 福田紘也 中島瑞生 渡部義紀
赤井綾乃 朝枝尚子 徳永比奈子 廣田奈々

シアタージャズというジャンルとバレエのテクニックを融合させ、誰もが聞き覚えのあるナット・キング・コールの名曲に乗せた、楽しくノリのいい作品。

この作品は、なんといっても中島瑞生さん

冒頭、中島さんが登場してポーズを決めたところから、作品の終わりまで目が離せませんでした。とにかくかっこいい。こういう演目は華やかさや粋な感じが必須だと思うのですが、ポーズの決め方とか表情とか、いい意味での派手さがあって作品にぴったりでした。もし歌えたら、ミュージカルとかいけそうです。

ハンサムで長身な中島瑞生さんは、クラシック演目のコールドバレエのなかでも目立ってはいましたが、こういう演目がハマるとは予想していなかった。

先シーズンの『ライモンダ』でライモンダの友達ベルナールを演っていたときも、わりとマイルドな感じ(まあ、そういう役柄だからなのですが)だったし…容姿が整っているダンサーって、意外に表現は控えめだったりすることが多いので、そういうタイプなのかと思っていました。

…と、中島瑞生さんのことばかり書いてしまいましたが、ソロを踊った小野寺雄さんのキレの良さ、久しぶりに立役以外を観ることができた本島美和さん、貝川鐵夫さんの大人の雰囲気のある踊りとか、見どころが多かったです。

今村美由起さんのインスタグラムより。中央は振付の上島雪夫さん。カーテンコールにも登場されていました。

 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

今村美由起 IMAMURA Miyuki(@miyuki.imm)がシェアした投稿

 

おわりに

「いいダンサー」だなと思う人はたくさんいても、「素敵!」と思う人はなかなか現れないのですが、今回の中島瑞生さんには久々にトキメキました 笑。

会場で配られていた、2022年2月の『吉田都セレクション』のちらし。この横顔は、中島瑞生さん…ですよね?女性は誰でしょう?

衣裳は新制作の『ファイヴ・タンゴ』のようです。ちらしによると「タンゴの楽曲に乗せた情熱的な大人のバレエ」ということで、こちらも中島瑞生さんに似合いそう。この演目のキャストは発表されていませんが、メインキャストなんでしょうか?楽しみです。

f:id:logue5:20211201102414j:plain

www.nntt.jac.go.jp

2021.12.18追記

オミクロン株感染拡大に対する水際対策の強化により、『吉田都セレクション』の演目変更が発表になりました。新制作の『精確さによる目眩くスリル』『ファイヴ・タンゴ』は中止に。とても残念ですが、2演目は先々のシーズンで上演を検討しているそうです。楽しみに待ちたいと思います。

中止になった作品の替わりに『アラジン』より「序曲」「砂漠への旅」「財宝の洞窟」、「DANCE to the Future: 2021 Selection」からファン投票により選ばれた数演目が上演されます。

【重要】2021/2022シーズン「吉田都セレクション」 演目・指揮者・チケット発売日変更のお知らせ | 新国立劇場 バレエ&ダンス

2022.1.15追記

『吉田都セレクション』では「DANCE to the Future: 2021 Selection」からファン投票により選ばれた以下の3演目が上演されます。

『Coppélia Spiritoso』振付:木村優里

『人魚姫』振付:木下嘉人

『Passacaglia』振付:木下嘉人

追記

関係者に新型コロナ感染者が出たため、残念ながら公演は中止になりました。

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。