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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

2023年に観たバレエをまとめて振り返る その3【バレエ鑑賞メモ】

昨年観たバレエ公演やバレエシネマをまとめて記録。その3です。

鑑賞メモを投稿済みの公演については過去記事を貼っておきます。

 

2023年3月

ハンブルク・バレエ団『ジョン・ノイマイヤーの世界 Edition 2023』

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映画『ヌレエフ:伝説と遺産』

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ハンブルク・バレエ団『シルヴィア』

2023年3月11日(土)18:00開演

東京文化会館大ホール

音楽:レオ・ドリーブ
振付・ステージング:ジョン・ノイマイヤー
装置・衣裳:ヤニス・ココス

指揮:マルクス・レティネン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【キャスト】

シルヴィア: 菅井円加
アミンタ: アレクサンドル・トルーシュ
ディアナ: アンナ・ラウデール
アムール/ティルシス/オリオン: クリストファー・エヴァンズ
エンディミオン: ヤコポ・ベルーシ

【上演スケジュール】

第1部 1時間5分
休憩 25分
第2部、第3部 50分

 

2023年に印象的だった公演ベスト5には確実に入る『シルヴィア』。菅井円加さんをはじめとするダンサーたちの素晴らしさや、作品世界へ強く引き込まれる感覚が忘れられません。

そして、ヤニス・ココスの衣裳・美術が、4半世紀たってもまったく古びていないのも驚きです。

カーテンコールではジョン・ノイマイヤーも登場し、熱狂的な拍手を受けていました。芸術監督退任前にハンブルク・バレエ団が来日してくれたことに感謝!

幕が上がる前から始まるノイマイヤーの演出

SNSで上演前に何かが起こるらしいとの情報を得て、早めに劇場に到着。上演前の舞台には弓矢の的が置かれ、バックにはブルーの空に白い三日月が出ている。

開演少し前になると、緑のドレスと白いパンツの男女(1幕の”森”を演じるダンサーたち)が、舞台に登場し、ゆっくりと動き始める。徐々に観客の注目が舞台上に集まって、客席が静まりかえると、舞台の幕開け。女狩人たちが2階の客席にも現れて、的に矢を放つというドラマティックな演出で一挙に物語に引き込まれます。

開演前の無粋なアナウンスなしでも、自然に観客が舞台に集中して幕が開く。新鮮な体験でした。

幕間の休憩の前後も同じような演出がありましたが、ちょっとトイレに行くタイミングの見極めが難しかった 笑。

3つの舞踏詩

ノイマイヤーの『シルヴィア』は3部構成。パートごとにまったくイメージが異なります。パンフレットには「神話をテーマとした3つの舞踏詩」という言葉が。"舞踏詩"という言葉が、本当にこの作品にぴったりだなと思いました。

パートごとにタイトルもついているのですが、当日の配役表では、

第1部 弓の技術

第2部 感覚の世界

第3部 冬の太陽

けれど、公演パンフレットに載っていた「ノイマイヤーによるあらすじ」のところに書かれていたのは、ちょっとちがっていました。

第1部 デイアナの聖なる森

第2部 アムール/オリオンの宴

第3部 冬

 

第1部 弓の技術=デイアナの聖なる森

なんと言っても、アンナ・ラウデール演じるディアナを筆頭に、革のベスト、黒のショートパンツ、素足にポアントで弓を持って踊る女狩人たちのかっこよさ!

シルヴィアを演じる菅井円加さんのしなやかさ、躍動感は群を抜いていました。ひとつひとつのパが、くっきりとした輪郭で浮かび上がってくる感じ。

アミンタとシルヴィアの出逢いのパ・ド・ドゥでは、徐々に距離を縮めていく2人の繊細な表現に引き込まれます。菅井円加さんとアレクサンドル・トルーシュは、ユニゾンで踊るときのシンクロぶりも完璧。

赤いキャップに赤いサロペットで登場するアムールは、クリストファー・エヴァンズ。

ガタイがよくて迫力のあるタイプが多いハンブルク男性ダンサーの中で、軽快な雰囲気のクリストファー・エヴァンズは、物語を影で操る役回りにぴったりでした。『ジョン・ノイマイヤーの世界』でも、ノイマイヤーの分身を演じていましたね。

デイアナの想い人で、永遠の眠りにつかされた美しい羊飼いエンディミオン役のヤコポ・ベルーシのちょっと甘いムードも印象的だった。ゆっくりと動き続けるエンディミオンから目が離せませんでした。

第2部 感覚の世界=アムール/オリオンの宴

ムードはガラッと変わり、真紅のドレスを着たシルヴィアと燕尾服姿のアムール/オリオン、正装の客人たちが、真っ白なモダンな空間で踊る官能的な2部。2部の菅井円加さんの洗練された美しさも神々しい。

タキシードだったり、燕尾服だったり、ドレスシャツ姿だったりの男性客人たちの中で、気になったのはひとりだけ上半身裸だった長髪のダンサー。裸で目立つということを差し引いても、存在感があった。おそらく、ガラでも目立っていたダヴィッド・ロドリゲス…だったと思う。

 

第3部 冬の太陽=冬


3部の核は、年月を経て再び巡り合った年老いたシルヴィアとアミンタのパ・ド・ドゥ。可愛らしいピチカートの音楽とは、不釣り合いにも思えるちょっとクラシックで垢抜けない感じの服装のシルヴィアとアミンタ…

ガラ公演で上演されるのを観るたびに、ちょっとどう観ていいのかわからない感じがあったのですが、全幕を観てやっと腑に落ちた感じ。

パ・ド・ドゥを踊ったあと、シルヴィアは落ち着いた紳士然とした男性とともに立ち去ります。この男性は誰なのか?死?

シルヴィアが去った後の、膝を抱えるトルーシュの哀しい瞳が印象的。

アミンタは聖なる森に現れるときも、立ち去るときも、「森を守ろう」という日本語のスローガンが書かれた看板を担いでいました。パリ・オペラ座の昔の映像などでは、それらしきものは出てこない。ジョン・ノイマイヤーからのメッセージでしょうか。

Kバレエ・カンパニー『白鳥の湖』 

2023年3月22日(水) 14:00開演

Bunkamura オーチャードホール

芸術監督/演出/再振付:熊川哲也

原振付:マリウス・プティパ / レフ・イワーノフ 

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 

指揮:井田勝大 管弦楽:シアター オーケストラ トウキョウ

衣裳・舞台美術:ヨランダ・ソナベンド / レズリー・トラヴァース

照明デザイン:足立恒

【キャスト】

オデット/オディール:日髙世菜
ジークフリード:山本雅也
ロットバルト:堀内將平

王妃:山田蘭

ベンノ(王子の友人):関野海斗   

家庭教師:ビャンバ・バットボルト
パ・ド・トロワ:岩井優花、吉田周平、成田紗弥

4羽の白鳥:山田夏生、吉田早織、塚田真夕、辻梨花

2羽の白鳥:小林美奈、戸田梨紗子

6人の姫:成田紗弥、岩井優花、佐伯美帆、辻久美子、吉岡眞友子、長尾美音

ナポリ:山田夏生、吉田早織、栗原柊、本田祥平

チャルダッシュ:戸田梨紗子、グレゴワール・ランシェ

塚田真夕、辻梨花、世利万葉、藤吉沙季、金瑛揮、武井隼人、本元光、森雅臣

マズルカ:川本果侑、島村彩、丸山さくら、清水理那、吉田周平、岡庭伊吹、髙橋芳鳳、中井 皓己

スペイン:高橋怜衣、栗山結衣、布瀬川桃子、今本和佳、杉野 慧、栗山廉、奥田祥智、山田博貴

【上演スケジュール】

プロローグ・第1幕・2幕 70分

休憩 25分

第3幕・4幕 65分

2021年春の日髙世菜さん主演の『白鳥の湖』の配信を観たのがきっかけで、日髙さん推しになったので、今回日髙さんのオデット/オディールを舞台で観るのを楽しみにしていました。

日髙さんの細く伸びやかな手足のライン、端正なテクニックは、オデット/オディールを踊るために生まれてきたダンサーのようです。配信のときより、のびのびと大胆になった印象。踊りの緩急がよりはっきりし、ギリギリまで攻めていくような音の取り方が印象的でした。

ジークフリート王子は山本雅也さん。このふたりが主演で組むのははじめてかな?

長身の日髙さんとのバランスからいうと、若干身長が足りない感じはあるのですが(失礼!)、相性はよかった気がする。ふたりの気持ちの交流が感じられる2幕、後悔と悲嘆にくれる4幕と、感情のこもった踊りでした。

関野海斗さん(退団されてしまいましたね…)の軽快なベンノ、岩井優花さん、吉田周平さん、成田紗弥さんによる躍動感のあるパ・ド・トロワ、小林美奈さんのダイナミックな大きな白鳥も印象に残りました。

 

英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマ『赤い薔薇ソースの伝説』

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新国立劇場バレエ団『DANCE to the Future 2023』

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パリ・オペラ座バレエ団 シネマ『眠れる森の美女』

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おわりに

公演4回にシネマ3本の3月。内容も濃厚な味わいのものが多く、見応えありました!

★最後までお読みいただきありがとうございました。