昨年観たバレエ公演やバレエシネマをまとめて記録。その2です。
鑑賞メモを投稿済みの公演については過去記事を貼っておきます。
2023年2月
日本バレエ協会公演 水谷実喜×アクリ瑠嘉『ドン・キホーテ』
東京バレエ団『上野水香オン・ステージ』Bプロ
英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマ『ダイヤモンド・セレブレーション』
新国立劇場バレエ団 小野綾子×福岡雄大 『コッペリア』
2023年2月23日(木・祝)14:00開演
新国立劇場オペラパレス
芸術監督:吉田都
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
芸術アドヴァイザー/ステージング:ルイジ・ボニーノ
美術・衣裳:エツィオ・フリジェーリオ
照明:ジャン=ミッシェル・デジレ
指揮:マルク・ルロワ=カラタユード
管弦楽:東京交響楽団
【キャスト】
スワニルダ :小野絢子
フランツ:福岡雄大
コッペリウス:山本隆之
スワニルダの友人:寺田亜沙子、飯野萌子、渡辺与布、広瀬碧、益田裕子、花形悠月
【上演スケジュール】
第1幕 45分
休憩 25分
第2幕 50分
2021年に新型コロナの影響で中止になった公演を、全キャスト無料ライブ配信したことが話題になった新国立劇場バレエ団のローラン・プティ版『コッペリア』。当時チケットを買っていたのも、小野絢子さん×渡邊峻郁さんの組。あのとき配信でしか観られなかった公演を、劇場で観るのを楽しみにしていました。
ところが、公演当日に渡邊峻郁さんの降板が発表され、福岡雄大さんが代役で出演!配信で観た渡邊峻郁さんのひょうひょうとしたフランツがとてもよかったので、ちょっとガッカリ…。もちろん福岡さんが素晴らしいダンサーであることは重々承知していますが、私の中ではフランツというイメージではなかったのです…この舞台を観るまでは。
プティ版『コッペリア』はフランツが舞台中央でタバコを吸っているシーンから始まります。福岡さんのタバコを燻らせる佇まいと、踊り始めた姿を観て、「フランツが似合わないなんて、完全に私が間違っていました!」と謝りたくなりました。
青年らしいシャープさ、しなやかな若さのオーラが、福岡さんの全身から発散されていたからです。
あとはもう、最後まで完璧な踊りでした。テクニックのキレ、躍動感、音に気持ちよくはまる動き…公演初日の急な代役というプレッシャーを完全にパワーに変換しているように感じました。
そして久しぶりに全幕で観た、小野絢子×福岡雄大の新国看板ペアの相性は素晴らしかった。小野絢子さんの可憐で蠱惑的で気が強そうなスワニルダと、福岡さんのやはり強気なフランツ。パワーカップルというムードで息もぴったり。
2幕のグラン・パ・ド・ドゥのコーダで、フランツがスワニルダを回転をかけて放り投げ、お姫様キャッチするスローイングなどは相当の大技(しかも2連発)でしたが、軽々とクリア。
お互いの信頼感が目にみえるようなパートナーリングでした。
プティ版の肝ともいえる、コッペリウスの孤独と悲哀を表現する山本隆之さんもよかった。人形スワニルダと楽しく踊った後、夢から覚めたように急に人形の扱いがぞんざいになるところとか、深い哀しみを感じさせました。
主要キャスト3人とスワニルダの友人6人以外は、衛兵たちと街の娘たちしかでてこないプティ版の『コッペリア』では、コール・ド・バレエの配役も豪華です。
印象的だったのは、衛兵の福田圭吾さん。表情や踊りの洒脱なニュアンスが素晴らしく、ついつい福田さんばっかりオペラグラスで追ってしまいました。
作品とは関係ないけど、今回鑑賞した3階R側の席からはコッペリアの窓がほとんど見えなかった!以前ロミジュリを4階から観てバルコニーの上方が見切れてたことがありましたが、それに匹敵する、まさかの見切れ。痛恨のミス!次回のために記録しておきます。
英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマ金子扶生×ウィリアム・ブレースウェル『くるみ割り人形』
英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン2022/23
英国ロイヤル・バレエ団『くるみ割り人形』
収録日:2022年12月8日
【振付】ピーター・ライト
【原振付】レフ・イワーノフ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【美術】ジュリア・トレヴェリャン・オーマン
【原台本】マリウス・プティパ(「くるみ割り人形とねずみの王様」 E.T.A. ホフマンに基づく)
【プロダクションとシナリオ】ピーター ・ライト
【ステージング】クリストファー・カー、ギャリー・エイヴィス
【指揮】バリー・ワーズワース
【管弦楽】ロイヤル・オペラ ・ ハウス 管弦楽団
【出演】
ドロッセルマイヤー:ベネット・ガートサイド
クララ:前田紗江
ハンス・ピーター/くるみ割り人形:ジョセフ・シセンズ
金平糖の精:金子扶生
王子:ウィリアム・ブレイスウェル
ドロッセルマイヤーのアシスタント:中尾太亮
シュタルバウム博士:ギャリー・エイヴィス
クララのパートナー:ジャコモ・ロヴェロ/ キャプテン:テオ・ドゥブレイル
アルルカン:レオ・ディクソン/ コロンビーヌ:ミカ・ブラッドベリ
兵士:ジョンヒュク・ジュン/ ヴィヴァンデール:レティシア・ディアス
ねずみの王様:デヴィッド・ドネリー
スペイン:ミカ・ブラッドベリ、トーマス・モック、マディソン・ベイリー、アメリア・タウンゼンド、ハリス・ベル、ケヴィン・エマートン
アラビア:メリッサ・ハミルトン、ルーカス・ビヨルンボー・ブレンズロッド
中国:ジュンヒュク・ジュン、中尾太亮
ロシア:フランシスコ・セラノ、ジャコモ・ロヴェロ
葦笛:カタリーナ・ニケルスキ、レティシア・ストック、シャーロット・トンキンソン、ユー・ハン
ローズ・フェアリー(薔薇の精):マヤラ・マグリ
ローズ・フェアリーのエスコート:レオ・ディクソン、デヴィッド・ドネリー、テオ・ドゥブレイル、カルヴィン・リチャードソン
花のワルツのソリスト:佐々木万璃子、レティシア・ディアス、ジュリア・ロスコ―、ジーナ・ストーム=ジェンセン
天使と子供たち:ロイヤル・バレエ・スクールの生徒たち
【上映スケジュール】2 時間 39 分
解説+インタビュー 18分
第1幕 53分
休憩 17分
解説+インタビュー 11分
第2幕 60分
なんといっても、金子扶生さんの金平糖の精の圧倒的な輝き!眩いばかりのオーラと正確なテクニックが素晴らしい。コーダ 終盤では驚愕のスピードで回転していました。
この公演では金子さんを筆頭に、日本人ダンサーの活躍が目立ちました。
クララに抜擢された前田紗江さんは踊りが大きく華やか。ドロッセルマイヤーの助手とチャイナ踊った中尾太亮さんのキレのある踊りもよかった。
花のワルツの4組のソリストの1人だった佐々木万璃子さん。男女ともに高身長 ダンサーで固められたソリストの中で、佐々木さんは1番小柄でしたが、その伸びやかな踊りが目を引きました。
各国の踊りで印象的だったのは、メリッサ・ハミルトンとルーカス・ビヨルンボー・ブレンズロッドのアラビア。鍛え上げられた肉体&長身ペアの身体能力を活かした踊りに、観客の拍手もひときわ大きかったです。
おわりに
公演3回、シネマ2回で忙しかった2月。
私的月間MVPは新国立劇場バレエ団『コッペリア』の福岡雄大さんでした。
★最後までお読みいただき、ありがとうございました。