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2年ぶりのシネマ!英国ロイヤル・バレエ団『くるみ割り人形』【バレエシネマ鑑賞メモ】

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およそ2年ぶりに英国ロイヤル・バレエ が、スクリーンに戻ってきました!

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2021/22の『くるみ割り人形』を映画館で楽しんできました。

上演・作品概要

ピーター・ライト版『くるみ割り人形』 英国ロイヤル・バレエ団

収録日 2021年12月

【振付/プロダクション/シオリナ】ピーター・ライト
【原振付】レフ・イワノフ
【1幕戦闘シーンの振付】ウィル・タケット
【美術】ジュリア・トレヴェリャン・オーマン
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【原台本】マリウス・プティパ

*「くるみ割り人形とねずみの王様」E.T.A.ホフマンに基づく
【指揮】クン・ケセルス

【管弦楽 】ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

【出演】

ドロッセルマイヤー:クリストファー・サウンダーズ
クララ:イザベラ・ガスパリーニ
ハンス・ピーター/くるみ割り人形:アクリ瑠嘉
金平糖の精:ヤスミン・ナグディ(←高田茜さん降板によるキャスト変更)
王子:セザール・コラレス
シュタルバウム博士:ギャリー・エイヴィス
クララのパートナー:スタニスラウ・ヴェグリジン
キャプテン:トーマス・モック

アルルカン:ケヴィン・エマートン
コロンビーヌ:シャルロット・トンキンソン
兵士:ベンジャミン・エラ

ヴィヴァンデール:佐々木万璃子
ねずみの王様:ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド
スペイン:ナディア・ムロバ・バーレー、アイダン・オブライエン、シャーロット・トンキンソン、ジャコモ・ロヴェロ、ジーナ・ストーム・ジャンセン、ケヴィン・エマートン
アラビア:メリッサ・ハミルトン、ルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド
中国:レオ・ディクソン、カルヴィン・リチャードソン
ロシア:ジュンヒュク・ジュン、ハリソン・リー
葦笛:ミカ・ブラッドベリ、カトリーナ・ニケルスキ、ロマニー・パイダク、アメリア・タウンゼンド
ローズ・フェアリー(薔薇の精):崔由姫
ローズ・フェアリーのエスコート:ジョセフ・オーメア、デヴィッド・ドネリー、フランシスコ・セラノ、ジョセフ・シセンズ
花のワルツのソリスト:オリヴィア・カウリー、レティシア・ディアス、ハンナ・グレンネル、イザベル・ルーバッハ
天使と子供たち:ロイヤル・バレエ・スクールの生徒たち
【上映スケジュール】2時間37分

解説・インタビュー 18分

第1幕 51分

休憩 18分

解説+インタビュー 14分

第2幕 56分

シネマの楽しみのひとつは、上演前や幕間の関係者インタビュー。今回も、司会はおなじみのダーシー・バッセルでした。

芸術監督ケヴィン・オヘアのインタビューからスタートし、4人の主要キャスト、イザベラ・ガスパリーニ、アクリ瑠嘉、高田茜、セザール・コラレスへのインタビューとリハーサル風景が続きます。高田茜さんの「金平糖の精はケーキの上で踊るイメージ」という言葉が印象的でした。高田茜さんは残念ながら今回は怪我で降板。踊りが観られなくて残念です。

雪の精のダンサーたちや指導者、「金平糖の踊り」の曲で使われる楽器チェレスタの演奏者へのインタビューもありました。

 

コロナの影響で変更になった戦いのシーン

1984年初演以来500回以上上演されているというピーター・ライト版『くるみ割り人形』。ケヴィン・オヘアのインタビューでも触れられていましたが、今回はコロナの感染防止のため、演出と振付の変更がありました。

子供たちが出演していたねずみと兵隊の戦いのシーンは、大人のダンサーだけの出演に変更。ウィル・タケットが新たな振り付けを行なっています。ウィル・タケットは英国ロイヤル・バレエ団出身。渡辺謙主演の『ピサロ』の演出などでも知られる、日本とも縁のある振付・演出家です。

ウィル・タケット振付による新たな戦いのシーンは、ねずみも兵隊も肉体がマッチョ(全員鍛えられたダンサーだから当然ですが )なこともあって、より本気の戦いムードになった感じ。ねずみの被り物以外は体の線が見えるぴったりした衣裳なので、なおのこと。

特にひときわ長身のルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド(←映画『バレエボーイズ』にでていた彼です)が演じるねずみの王様の迫力がすごかった。すごいわりには、クララにシューズで叩かれて簡単にやられしまうのが笑えるのですが。

英国ロイヤル・バレエ団の公式チャンネルより、ねずみと兵隊の戦いのシーン。

www.youtube.com

心あたたまるピーター・ライト版

ピーター・ライト版は、ドロッセルマイヤーの甥、ハンス・ピーターがねずみの女王から呪いをかけられ、くるみ割り人形の姿にされているという設定。なんとか呪いを解きたいと願うドロッセルマイヤーの切なる気持ちが、物語の軸になっています。ドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を扱う仕草の端々に、甥を気遣う気持ちが感じられて切ない。物語の最後、ドロッセルマイヤーのもとにハンス・ピーターが戻ってくるシーンも感動的です。

また、クララとくるみ割り人形=ハンス・ピーターのふたりが、物語の主役になっているところも好み。版によっては金平糖の精=クララだったり、くるみ割り人形=王子だったりしますが、クララ&ピーターと金平糖の精&王子が分かれているのがピーター・ライト版。クララとピーターは、2幕のお菓子の国でも踊りに参加して活躍。エンディングでは現実の世界に戻ったクララとピーターが再び出会うシーンもあって、これからのドラマを想像させてロマンチックです。

ドラマの流れが自然で感情移入しやすく、観終わった後にあたたかな気持ちになれる。久しぶりに観て、改めてピーターライト版の魅力を感じました。

アクリ瑠嘉&イザベラ・ガスパリーニのフレッシュなペア

シネマシーズン2018/19の『くるみ割り人形』では中国の踊りで出演していたアクリ瑠嘉さん。2019年にファースト・ソリストに昇格し、着々と大きな役を踊るようになっていますね。くるみ割り人形の呪いがとけた後、クララと踊るパ・ド・ドゥの生き生きとした踊りが印象的でした。ブラジル出身のイザベラ・ガスパリーニも初々しく可憐で、クララにぴったり。

英国ロイヤル・バレエ団の公式チャンネルより。アクリ瑠嘉&イザベラ・ガスパリーニ。

www.youtube.com

バレエチャンネルのアクリ瑠嘉さんのインタビューはこちら↓

balletchannel.jp

フレッシュなアクリ瑠嘉&イザベラ・ガスパリーニペアに対して好対照なのが、金平糖の精と王子を踊るヤスミン・ナグディとセザール・コラレス。プリンシパルの中では若手なのに、すでに貫禄のあるふたり。

高田茜さん降板による急遽の組み合わせということでしたが、相性はよかった気がする。2人の堂々とした佇まいと、揺るぎないテクニックを堪能しました。

セザール・コラレスは王子のバリエーションを踊った後、フィニッシュで一瞬だけドヤ顔になってた気がする …。抑えきれなかったんでしょうね 笑 。

メインキャスト以外では、久しぶりに崔由姫さんが観られたのが嬉しい。産休明けだということですが、音楽性豊かな踊りも確かなテクニックは変わりなく。

メリッサ・ハミルトンのアラビアも美しかった。私の中では、どちらかといえば硬質でスポーティーな印象なのですが、意外に妖艶なアラビアがはまる。相手役はねずみの王様も踊ったルーカス・ビヨルンボー・ブレンツロド。とにかく見栄えのする2人。客席からの拍手も大きかったです。

 

おわりに

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2021/22の次のバレエ作品は、4月8日から上演される『ロミオとジュリエット』です。楽しみに待ちましょう。

ロミオとジュリエット | 「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」公式サイト

 

この映画のバレエボーイが数年後には、ねずみの王様に!

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