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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

DANSKIN(ダンスキン)×本島美和さんのウェアが可愛い【バレエ ウェア】

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久しぶりにバレエウェアネタを。

DANSKIN(ダンスキン)から新しいバレエウエアのプロダクトライン「DANSKIN PRIMA(ダンスキン プリマ)」が発売されました。

新国立劇場バレエ団プリンシパルの本島美和さんと共同開発した「DANSKIN PREMIUM LEOTARD(ダンスキン プレミアム レオタード)」をベースにウォームアップなどのアイテムをプラスした2020FWコレクションが公式ストアにアップされています。

公式サイトでは本島美和さん自身がモデルをつとめているのですが、着用写真がどれもムードがあって素敵!

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DANSKIN PRIMA(ダンスキン プリマ)とは

本島美和さんが開発に参加し、2019年に発売された「DANSKIN PREMIUM LEOTARD(ダンスキン プレミアム レオタード)」は、ダンサーのボディを3Dスキャンして動きやすいパターンを追求!袖や背中、デコルテにメッシュが使われたシンプルで大人っぽいレオタードです。

2020FWのものではなさそうですが、saleになっているものもあります!

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「DANSKIN PRIMA(ダンスキン プリマ)」ではこのレオタードをさらに改良。レオタードをベースに、ウォームアップの「ピルエットハイブリットダウン」シリーズや、ストレッチ性に優れた「ダンスキン デヴェロッペ」などのアイテムがプラスされています。

このハイブリットダウンのシリーズを着た本島さんが可愛い

ベストやジャケットのみならず、ショーツやロングパンツまであります。

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とはいえ、大人バレエではここまでのウォームアップを着る機会はほとんどないかな…スタジオにいる時間もそんなに長くないしね(笑)

プロのダンサーの方はリハーサルや公演で待ち時間が長そうだし、実際ウェアの上にダウンベストを着ている方も多いですよね。

大人バレエの場合は、ベストやジャケットはレッスンの行き帰りにいいかも。近年はファッションブランドでもハイブリットダウンばやりですしね!暖かそうなパンツはお家で来たい…

DEAR DANSKINも気になる

DANSKINといえば2016年秋から、バレエダンサーとしての経験を持つ「レキサミ(REKISAMI)」「チカ キサダ」のデザイナー幾左田千佳さんがデザインするカプセルコレクションも毎シーズン発表しています。この人気シリーズ、「DEAR DANSKIN(ディア ダンスキン)」というコレクションとして8月から販売がスタートしています。

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こちらは、バレエウェアというわけではないのですが、バレエにインスピレーションを得たアクティブでエレガントな日常服。

 

おわりに

バレエウェアというと、とかくファンシーになりがちですが、DANSKINのアイテムはどれもシンプルで色のトーンも抑えめ。大人にも取り入れやすくていいですね。

また、2020年9月30日までにオンラインか直営店舗でDEAR DANSKIN・DANSKIN PRIMAのアイテムを購入すると、抽選でオンラインイベントに参加できるというキャンペーンも開催中です。

本島美和さんのZoomオンラインレッスンも開催されるようですが、驚きなのは各イベントの定員が約5名と書かれていること。当選すると、本島さんのレッスンが1対5で受けられると言うことでしょうか?!

詳細はこちら↓

DANSKIN PREMIUM CAMPAIGN オンラインイベントにご招待 | DANSKIN ダンスキン | ゴールドウイン オフィシャルサイト

 ★最後までお読みいただきありがとうございました。

岩田守弘 オンライン・スペシャルトーク 参加レポート【Hearts for Artists/バレエのイベント】

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ヒューストン・バレエ団プリンシパルの加治屋百合子さんが代表をつとめるアーティスト支援のプロジェクト〈Hearts for Artists〉(ハート・フォー・アーティスト)のオンラインイベント。プロジェクトは8月2日(日)までで一区切り。

今更ではありますが、まだあげていない参加レポートがたくさんあるので、少しずつ記事にしていきます。

今回は7月26日(日)に開催された「岩田守弘 オンライン・スペシャルトーク」の参加レポートです。トークイベントの3日前、7月23日(木・祝)には「岩田守弘の『美しいポール・ド・ブラ&回転の軸を強化するバレエレッスン』」も開催され、しなやかで美しいお手本を見せてくださいました。

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〈Hearts for Artists〉のイベントの収益は公益基金《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》に寄付されます。 今回もZoomウェビナーのシステムを利用したイベントで参加費用は1,000円でした。

*レポートはトーク内容の一部抜粋です。

*トークの言葉遣いなどは正確ではありません。およその内容としてご覧ください。

岩田守弘さんのプロフィール

1979年 岩田バレエスクールでバレエを始める

1988年 ロシアバレエインスティテュートで2年間学ぶ

1990年 国立モスクワ・バレエ・アカデミーで1年半学ぶ

1991年 国立ロシア・バレエ団に入団

1995年 ボリショイ劇場研究生になる

1996年 ボリショイ劇場のソリストに昇格

2003年 第1ソリストに昇格

2012年 ボリショイ劇場新館にて、退団記念公演に出演

2012年 国立ブリヤート共和国立歌劇場バレエ芸術監督に就任

2019年 国立ブリヤート共和国立歌劇場バレエ芸術監督退任後、ニジゴロドスキー国立アカデミー歌舞劇場副総裁・バレエ団芸術監督に就任

 

ボリショイ・バレエに外国人が入団したのも、第1ソリストとなったのも、岩田守弘さんが史上初。

 

加治屋さんと岩田さんの出会いは、2004年の松本道子バレエ団での「真夏の夜の夢」での共演。加治屋さんがタイターニア、岩田さんがパックを演じました。加治屋さんは当時アメリカンバレエシアター(ABT)入団2年目。岩田さんは加治屋さんのことを「人を惹きつける魅力があった。恋をしたね(笑)」、加治屋さんは「岩田さんのパックは、マネージュが竜巻のようだった!」とおっしゃっていました。

ライバルの出現がターニングポイント

まずはバレエを始めたきっかけからロシアに留学するまでの経緯から。

岩田さんは、バレエ教師だったお父さんの岩田高一さんの元で9歳の時にバレエを始めました。バレエを習っていた4歳上のお姉さんが発表会でプレゼントをもらっていて、羨ましかったのがきっかけとか。

バレエに抵抗はなかったものの、真面目に取り組むようになったのは高校2年生から。

岩田さん「それまでは自分が世界で1番バレエがうまいと思っていた(笑)

そんな岩田さんが変わったのは、コンクールに出るようになりライバルに出会い「鼻をへし折られた」からだといいます。同世代のライバルは今でも親友だという小島直也さんや久保紘一さん

 

高校卒業後、バレエで生きていきたいと思った岩田さんは東京のロシアバレエインスティテュートで2年間学びます。ロシアバレエインスティテュートは、かつてボリショイバレエ学校の教師が常駐してダンサーを育成したバレエ学校のこと。

この学校からのつながりで、岩田さんは19歳でロシア(当時ソビエト連邦)へ渡り、国立モスクワ・バレエ・アカデミー(通称ボリショイ・アカデミー)に留学します。

 

親元を離れ、日本とは全く異なる文化の国での生活。しかも当時は外国人はとても少なかった時代。

岩田さん「帰りたくなかったかとよく聞かれるけど、寂しくはなるよね。でも「帰る」という選択肢はない。行ったんだから寂しいのは仕方がないからね」

 

バレエ学校時代の岩田さんは「練習の鬼。練習していないと落ち着かない精神状態

学校の卒業試験が終わって、練習の場を求めてオーデションなどを受けていた時にロシア・バレエ団からオファーがあり入団します。

自然に道がひらけていった

バリシニコフをはじめとするロシアバレエが好きだったとはいえ、なぜロシアか?と言われるとそこまで深く考えてはいなかったという岩田さん。ただロシアに行けて嬉しいということしかなかったといいます。はじめからロシアで踊りたいと思っていたわけではなく「自然に道が開けていった感じ」だったとのこと。

 

ロシア人の奥さんと知り合って結婚し、モスクワにいたかった岩田さんは海外公演が多いロシア・バレエを辞め、ボリショイバレエ入団を目指します。バレエ学校時代の校長先生の協力などで許可証は手に入れたものの、ちょうどソビエト連邦からロシアに変わった後の混乱の時代だったため、1年ぐらいボリショイが入団させてくれるのを待っていたそうです。

その間、ボリショイで13レッスンもレッスンを受けていたそうですが、ボリショイの1レッスンはなんと45分だったそう。

岩田さん「ロシアのバレエ団はそんなにじっくりレッスンをやらない。レパートリーのリハーサルに重点をおいている

ロシアのバレエ団は公演数が桁違いに多いので、プロはリハーサル中心の生活になるのでしょうね。

レッスンしないバレエダンサーは??

この流れで、加治屋さんのABT時代の話題に。

ABTMET(メトロポリタン歌劇場)シーズンの最中は、夜7時から本番がある日でも夕方5時過ぎまで別演目のリハーサルをしていたといいます。

加治屋さん「ロシアからの(ゲスト)ダンサーにはクレイジーと言われていた」

岩田さんも「確かにクレイジー」と驚いていました。

これに対しロシアからのゲストダンサー、特にボリショイのダンサーは本番前はレッスンせずに休養をとる人が多く、当日もせいぜいバーぐらい。加治屋さんが具体的な名前を出すのをためらわれていたので伏字にしておきますが、例えば●●●ワは公演前日は一切何もしない「ノータッチ」、オ●●●は「とにかくレッスンしない(笑)」!

プロにとっては毎日のクラスレッスンが必須なのかと思っていましたが、人によるんですね(笑)

今「やる」ことが素晴らしい

岩田さんの時代とは異なり、現在はロシアに留学する人が増えていることをどう思うか?という質問に対して「素晴らしいことだと思う」とコメントしながら、昨年亡くなったお父さん岩田高一さんのエピソードを紹介してくれました。

岩田さんとお父さんのところに、知り合いの娘さんがロシアに留学したいと相談しにきた時のこと。

岩田さんはその娘さんに対して「バレエは厳しい世界。体型や身体能力など条件が揃わないと、プロとして活躍できないという残酷なところがある、ロシアで勉強したからと行って仕事があるわけではない」ということを話したところ、お父さんはこうおっしゃったそうです。

「そんなことは関係ない。食べていくことではなくて、今自分がバレエをやりたいから行く、そのことが素晴らしいじゃないか」

そんなお父さんの言葉に感銘を受けた岩田さん。

「どんなに成功したっていつかは終わること。成功する人も挫折する人もいるけど、今情熱を持って「やる」ことは素晴らしい。それを応援したい」

 

ボンダレンコ先生との思い出

 

岩田さんがロシアに留まった理由は、結婚したということもあるけれど、やっぱりロシアのバレエの環境は素晴らしく、そこで勉強したかったということが大きかったといいます。

ロシアの先生は情熱的で知識もすごい。いろんなことを本当によく知っている

 

岩田さんのバレエ学校時代の恩師はアレクサンドル・ボンダレンコ氏。技術の教え方は独特で、非常に変わった教え方をされたといいます。

岩田さん「バレエの基礎を作ってくれた。僕がまだ踊っていられるのは彼のおかげ。怪我が少なかった。同時に彼は教育者だった。僕を人間として育ててくれた。」

 

ボンダレンコ氏はウヴァーロフをはじめとし、多くのボリショイのプリンシパルやソリストを育てたことで知られる名指導者。

岩田さん「僕もいい生徒だったと思う。情熱はすごかった。バレエ以外は何にもいらなかった。生徒時代はコンピューターと言われていた。前日やったことを全部覚えてた。今は忘れちゃうけど(笑)」

 

現在はロシアで芸術監督、指導者として活躍する岩田さん。

「自分の生徒に対しても、ボンダレンコ先生のように教えられると思っていたけど難しかった。特に情熱がないのは、どうしようもない…」

 

最後に今後日本で活動する予定があるかという質問に対して岩田さんは

「自分は結局日本人。日本のバレエに何か助けになれるか、海外で勉強したことを伝えていけたら。芸術監督をしているのもロシアバレエのシステムはどうなっているのかを学ぶ意味もある。あとは神様がやりなさいと言われたタイミングで、できることをやらせてもらえたら」

「タイミングも大事ですが、できれば私がまだ踊っているそういう活動をしてほしい(笑)私も踊らせてもらいたい」と加治屋さん。

おふたりの今後の日本での活動に期待したいです。 

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》について

〈Hearts for Artists〉が寄付を行う《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は、コロナ禍で大きな影響を受けた舞台芸術に携わるアーティスト・クリエーター・スタッフ(個人・団体・企業問わず)の今後の活動に向けた金銭的支援を目的として設立された基金です。

〈Hearts for Artists〉のイベントやアーカイブ配信は終了しましたが、《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は2020年8月25日までクラウドファンディングで寄付を募っています。一口3,000円から寄付が可能です。

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》https://www.butainomirai.org/

おわりに

トークは2時間以上にも及び、まだまだたくさんの興味深いお話がありました。

岩田さんはロシア、加治屋さんは中国、厳しい生活環境での留学経験という、共通の体験を持つおふたりならではの連帯感のようなものを感じた対談でした。ご自身の話をされるだけでなく、加治屋さんからも多くの話を引き出そうとされる優しさ、「バレエ以外は何もいらなかった」という言葉が全てを物語る熱い情熱、明るいお人柄が伝わってきました。

 

 ★最後までお読みいただきありがとうございました。

バレリーナトーク 小野絢子×加治屋百合子 参加レポート【Hearts for Artists/バレエのイベント】

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ヒューストン・バレエ団プリンシパルの加治屋百合子さんが代表をつとめるアーティスト支援のプロジェクト〈Hearts for Artists〉(ハート・フォー・アーティスト)のオンラインイベント。プロジェクトは8月2日(日)までで一区切り。

まだあげていない参加レポートがたくさんあるので、少しずつ記事にしていきます。

今回は7月25日(土)に開催された「バレリーナ〈モーニング〉トーク 小野絢子×加治屋百合子」の参加レポートです。日本バレエ界のプリンセス、新国立劇場バレエ団プリンシパルの小野絢子さんが登場!日本とアメリカで活躍するふたりのプリンシパルのバレリーナ・トークです。

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〈Hearts for Artists〉のイベントの収益は公益基金《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》に寄付されます。 今回もZoomウェビナーのシステムを利用したイベントで参加費用は1,000円でした。

*トークの言葉遣いなどは正確ではありません。およその内容としてご覧ください。

小野絢子さんのプロフィール

小林紀子バレエアカデミーでバレエを学ぶ

2005年 新国立劇場バレエ研修所(第3期生)に入所

2007年 新国立劇場バレエ研修所終了後、新国立劇場バレエ団にソリストとして入団。入団直後に、ビントレー『アラジン』の主役に抜擢される

2011年プリンシパルに昇格。

『眠れる森の美女』『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『ラ・バヤデール』『ジゼル』『シンデレラ』『カルミナ・ブラーナ』『パゴダの王子』『シルヴィア』『こうもり』『コッペリア』『火の鳥』『不思議の国のアリス』など数多くの作品で主役を踊っている。

新国立劇場バレエ団『竜宮』公演日当日のモーニングトーク

加治屋百合子さんはパープルのリボンがついたトップス(ドレス?)、小野絢子さんは白いトップスで登場。
普段は日本時間で20時ごろから開催されることが多いトークイベントですが、今回は朝の9時から。この日は新国立劇場バレエ団の新作『竜宮』(小野さんの出演はなし)が上演される予定だったため、イベントを視聴してから公演に間に合うようにという配慮からモーニングトークに。

世界初演・新作バレエ公演「竜宮 りゅうぐう」 | 新国立劇場 バレエ

*「竜宮』は関係者のコロナ感染が出たことから、公演の後半の日程が急遽中止に。

後半のチケットをとっていたので観られませんでした。残念(涙)

2歳違いのお二人の共演は1回、10年前のガラ公演とのこと。
こちらの公演ですね。「バレエ・アステラス 2010」

バレエ・アステラス☆2010〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜|バレエ|新国立劇場

ぽっちゃりしていた子供時代!

4歳上のお姉さんの影響で幼稚園からバレエをはじめた小野さん。お姉さんもバレエダンサーだそうです。
なんと小野さん、小学生時代はぽっちゃりしていたとのこと!「レッスンの時にするウエストバンドがお腹の肉に隠れて見えなかった」と言いますが、今の姿からは想像もできません。

こちらの記事に写真がちらっと出ています。

確かにちょっとぽっちゃり(笑)でも可愛い↓

ダンサーズ・ヒストリー 新国立劇場バレエ団 小野絢子 (全文) [バレエ] All About

小林紀子バレエアカデミーで学ばれた小野さん。子供の頃はまわりも自分もバレリーナになるとは思っていなかったそうです。

プロになろうと思ったのは高校生の時。初めてバリエーションを踊ったのは16歳の時のオーロラ姫。小学生からコンクールに出まくっている人も多い日本では、これはかなりマイペースですよね。(ちなみに上海で学ばれた加治屋さんの初めてのバリエーションは14歳、簡単バージョンの白鳥のパ・ド・トロワだそうです)
小野さん「初めてのバリエーションの指導では、登場の歩き方で時間を取られ、踊りがあまり練習できなかった(笑)」

このオーロラを踊って初めて出場した東京新聞社主催の「全国舞踏コンクール」は予選落ち。翌年は同じコンクールでジゼルを踊ってバレエ・ジュニア部2位に入賞しています。(そしてこの時の1位は米沢唯さん!)

最近は海外で学ぶダンサーが多い中、海外留学は視野に入れていなかったという小野さん。ただし「プロになりたい」と決めてからは、フランスに何度か短期留学したそうです。プロになると決めてからはレッスンの受け方が変わり、3ヶ月でも1年分ぐらい学ぶことがあったとのこと。
高校卒業後は新国立劇場のバレエ研修所に入り2年学んだ後、新国立劇場バレエ団に入団。入団後すぐに『アラジン』の主役に抜擢され、入団4年でプリンシパルに。
他の人より遅れているという意識はあったと言いますが、ひとたび「プロになる」と決めてからの成長はきっと目を見張るものがあったのだと想像されます。

吉田都さんとの縁

子供の頃見ていたバレエ公演という話題では、この秋から新国立劇場バレエ団の芸術監督に就任される吉田都さんとのご縁を感じさせるエピソードも。普段はお教室が付属するバレエ団の公演を観ているぐらいだったという小野さんが小学校6年生の時、新国立劇場の開場記念公演『眠りの森の美女』を観て衝撃を受けたと言います。その時のオーロラ姫は吉田都さん!
20年後、新国立劇場のプリンシパルと芸術監督として再び巡り会う…なんだかドラマのような話です。小野絢子さんは吉田都さんの引退公演にも出演されていましたね。

転機になった役は、フォルトゥナ、ベラ、マノン

転機になった演目はという質問でまずあげられたのはデヴィッド・ビントレーの『カルミナ・ブラーナ』の運命の女神フォルトゥナ
小野さん「サングラスにミニのチューブドレスにハイヒールで踊る役。キャストが出た時に印刷ミスではないかと思った。湯川麻美子さんのような大人の女性がやる役」
背の高い体格がしっかりした人がやる役でもあり、デヴィット・ビントレーに今まで一番小さいフォルトゥナと言われたそう。
小野さん「サングラスが2種類あり、どちらかを選ぶんですが、どちらをかけても笑われた(笑)」
『カルミナ・ブラーナ』の前の作品は『アラジン』のプリンセス。振り幅がすごいです。

2010年『カルミナ・ブラーナ』一枚だけ小野さんのフォルトゥナの写真も↓

デヴィッド・ビントレーのカルミナ・ブラーナ | 舞台写真・公演記録 | 新国立劇場


次に挙げられたのは、ローラン・プティの『こうもり』のベラ
小野さん「フォルトゥナと同じく、自分の中では湯川麻美子さんのイメージの役。衣装のフォルムが全く合わず、胸とお尻にパット入れた(笑)」
普通の衣装でも胸パッドは入れているそうですが、お尻パットは初めてとのこと。

小野さん「倦怠期の役。さっぱりわからない。倦怠期って何だろう?って(笑)
小野さんのベラ。妖艶です↓

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小野さん「自分の中にないキャラクターに挑戦させてもらえるチャンスが多かった。毎日できないことに挑戦する、やることがあるのが楽しいと思う。克服できたどうかはわからないけど」

そして、26歳で演じたケネス・マクミランの『マノン』のタイトルロール。
小野さん「はじめは手も足も出なかった、転機になった作品のひとつ。はじめは楽しむというより辛かった」

「何が難しかったのか」という質問に対しては、
小野さん「マノンとしてどう存在するか?踊り自体も難しいので気を取れれてしまう部分も。マノンをどう生きていくか、何を考えているかはじめはわからなかった。原作もあまり助けにならなかった。彼女の心情が書いてあるわけではないので」

愛する人がいながら、贅沢に対する欲望も捨てられなかったマノン。自らが招いたとも言える悲劇をどう受け入れているのか…確かに普通に共感できる役ではないのでマノンになって生きるのは難しそうです…。

3分でわかる『マノン』。2020年2月にもマノンを演じています。

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トークイベントで思入れのある役を聞かれると、ドラマティックバレエの役を答えるダンサーが本当に多いですね。
小野さん「(ドラマティックバレエの)本番は一度始まると、『白鳥』や『眠り』よりノンストップで気持ちが途切れないので好き」


3つの作品から、小野さんが常に自分の枠を壊すような役を与えられ、それを乗り越えてきたということがわかります。また当時の芸術監督(『カルミナ・ブルーナ』は着任前)デヴィット・ビントレーの小野さんに対する期待の大きさも感じました。

エネルギーチャージはバナナから羊羹に変化

バレリーナトーク定番の質問、コンディショニング、食事、レオタード、トウシューズについても。

コンディショニング

大きなけがはしたことがないという小野さん。多少の不調は自分でヤムナ・ボール・メソッドやヨガを行なって調整しているそう。定期的に整体などを受けることもないそうですが、リフレクソロジーが好きで月に2回ぐらい受けているとのこと。
大きな故障を抱えつつ踊っている人も多いプリンシパル級ダンサーの中では珍しい。もしかすると、あまり小さいうちからトウシューズを履いたり、バリエーションを踊ったりしていないのがよかったのかも??
コロナ自粛中は、山本康介さんのインスタライブのレッスンを毎日受けていたという小野さん。長期休んだことで体の癖が取れるといういい影響もあったそうです。

食事

好きな食べ物は白いお米!得意料理は肉じゃが。

バレエ団の昼休みは45分なので、手早くエネルギーチャージする必要があり、以前はバナナをひとふさ食べていたとのこと!!現在ではバナナは1日1〜2本にして羊羹を食べているそう。一口サイズのものなどが便利で、ロッカーに置き羊羹しているそうです。虎屋の羊羹が一番好き。羊羹の差し入れは嬉しい!とのことでした。

レオタード&トウシューズ

小野さん「レオタードは数えたことがないけど少なめ。10〜20枚ぐらい?柄物はほとんど着ない。無地でアースカラーが好き。リハーサルは作品によって変えます。最近半袖、長袖が増えました。パートナリングには便利」
この答えに大きく頷く加治屋さん。「脇を持ってリフトされる時などやっぱり気になる(笑)」
柄物レオタードブームではありますが、プロダンサーの答えはほとんど、「シンプルな無地で袖付き」ですね。
好きなブランドはyumiko、スティナ、デラロミラノ。やはりyumikoはプロに人気!
トウシューズはフリードだそうです。

 

いつもは30分以上延長するバレエトークですが、今回は昼から『竜宮』公演があるため、15分オーバーで終了。最後に「また共演したいね」と加治屋さん。早くコロナの状況が落ち着き、そんな舞台が実現してほしいものです。 

 

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》について

〈Hearts for Artists〉が寄付を行う《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は、コロナ禍で大きな影響を受けた舞台芸術に携わるアーティスト・クリエーター・スタッフ(個人・団体・企業問わず)の今後の活動に向けた金銭的支援を目的として設立された基金です。

〈Hearts for Artists〉のイベントやアーカイブ配信は終了しましたが、《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は2020年8月25日までクラウドファンディングで寄付を募っています。一口3,000円から寄付が可能です。

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》https://www.butainomirai.org/

おわりに

小野さんの率直なお人柄、ダンサーとしてのチャレンジを楽しんでいる様子が伝わってきて、とても楽しいバレリーナ・トークでした。
新国立劇場バレエ入団後すぐに主役に抜擢されてあっという間にスターになったイメージがあったので、小さい頃からプロになるためのエリート街道を突き進んできたのかと思っていましたが、意外なほどマイペースで遅咲きな子供時代。でも周囲に流されず、マイペースをつらぬいてこれたのは、しっかりした自分があったからだろうなと感じました。

早くまた新国立劇場で踊る小野さんの姿が観たいですね。
次に予定されている公演は10月から11月上演の『ドン・キホーテ』。無事開催されますように!

ドン・キホーテ | 新国立劇場 バレエ

 

こちらはこのバレエトークの5日後、清里フィールドバレエに福岡雄大さんとゲスト出演した『白鳥の湖』の映像。
コロナの影響で今注目の野外バレエ。2020年8月31日までの限定配信です!

ソーシャルディスタンスを保った4羽の白鳥…?

www.youtube.com

 

 ★最後までお読みいただきありがとうございました。