ballet addict

大人バレエを思いっきり楽しむための情報ブログ

崔由姫×平田桃子×加治屋百合子バレリーナ・トーク 参加レポート【Hearts for Artists/バレエのイベント】

f:id:logue5:20200105124208j:plain
ヒューストン・バレエ団プリンシパルの加治屋百合子さんが代表をつとめるアーティスト支援のプロジェクト〈Hearts for Artists〉(ハート・フォー・アーティスト)のオンラインイベント。プロジェクトは8月2日(日)までで一区切りのため、ラストスパートでイベントが頻繁に開催されています。

今回は7月18日(土)に開催された「崔由姫×平田桃子×加治屋百合子 バレリーナ・トークの参加レポートです。

〈Hearts for Artists〉のイベントの収益は公益基金《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》に寄付されます。今回もZoomウェビナーのシステムを利用したイベントで参加費用は1,000円

balletchannel.jp

*トークの言葉遣いなどは正確ではありません。およその内容としてご覧ください。

崔由姫、平田桃子 プロフィール

崔由姫 英国ロイヤル・バレエ団 ファースト・ソリスト

2002年 ローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞と現代舞踊賞受賞。英国ロイヤル・バレエ団の研修生となる

2003年 英国ロイヤル・バレエ団に正式入団した

2008年 ファースト・ソリストに昇格

平田桃子 バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 プリンシパル

2001年 ローザンヌ国際バレエコンクールでエスポワール賞を受賞し、ロイヤル・バレエ・スクールに留学
2003年 バーミンガム・ロイヤル・バレエ団に入団
2010年 ファーストソリストに昇格
2012年 バルセロナ・バレエ団に移籍し、プリンシパルを務める
2013年 バーミンガム・ロイヤル・バレエ団にプリンシパルとして再入団

3人の出会いはニューヨーク

加治屋さんはアースカラーのプリント柄のトップス(ワンピースかな?)、平田さんは白いストライプのシャツ、崔由姫さんは白いブラウスで登場。イギリスとアメリカを結んでバレリーナ・トークがスタートしました。

平田桃子さんと崔由姫さんは、平田さんがロイヤル・バレエ・スクール3年生の時、崔由姫さんが英国ロイヤル・バレエ団に研修生として入ってきたのが出会い。

3人揃っての最初の出会いは、2004年ニューヨークで開催されたリンカーンセンター・フェスティバルの「アシュトン・セレヴレーション」というガラ公演にバーミンガム・ロイヤル・バレエ、英国ロイヤル・バレエ、Kバレエカンパニーが出演した際、加治屋さんが普段から受けているデヴィッド・ハワード(多くのダンサーを育てた名指導者)のクラスを出演者たちが受けにきた時。その時は吉田都さん、山本康介さん、平野亮一さんも一緒だったそう!すごいクラスですね。

ローザンヌ国際バレエコンクール 傾斜舞台の恐怖

3人はその後、青山劇場で上演された「ローザンヌ・ガラ」で共演して親しくなったと言います。そう、3人の共通点は、ローザンヌ国際バレエコンクールで入賞していること。それも2000年から2002年の3年間に続けて出場しています。

2000年 加治屋百合子さん スカラシップ賞→ナショナル・バレエ・オブ・カナダへ留学
2001年 平田桃子さん エスポワール賞 →ロイヤル・バレエ・スクールに留学
2002年 崔由姫さん プロ研修賞 コンテンポラリー賞 →英国ロイヤル・バレエ団で研修

平田さんはロイヤル・バレエ・スクールに入りたくてローザンヌに出場したそうですが、加治屋さんも実はロイヤル・バレエ・スクールが希望だったとのこと。しかし、その年のロイヤル・バレエ・スクールは女子が多く、女子はひとりしか受け入れられないと言われたことから、ナショナル・バレエ・オブ・カナダへ。同じコンクールで入賞しても、いろんなタイミングで人生は変わっていくものですね。

「ローザンヌは緊張しましたか?」という質問に対しては、
崔由姫さん「一週間クラスなどを受けて出場者みんなと過ごすので、コンクールっていう感じはしなかった。でも決勝は緊張した。坂のステージになれなくて、準決勝の前に2回転んでトラウマになってて」。平田さんは「日本のコンクールに出ていたから、逆にクラスの審査とかが緊張した」とのこと。
崔由姫さんが転んだというローザンヌ ボーリュ劇場の傾斜舞台の怖さは想像以上ようで、加治屋さんによると「マネージュの時は山登り。登ったと思ったら下りる感じ(笑)」。平田さんも黒鳥のバリエーションは怖くて目をつぶって回っていたとおっしゃっていました。(目をつぶるのも怖そうですが!)観ているぶんにはそこまでの傾斜にみえませんが、実際に舞台に立つ方にとってはかなりの傾斜のようです。

加治屋さんが2000年のローザンヌで踊ったジゼル。3:25あたりからです。後半のマネージュに注目。

www.youtube.com


一度はモニカ・メイソンに断られる!

 

「オーディションの経験は?」という質問の答えからは、崔由姫さんの英国ロイヤル・バレエ入団のエピソードが明らかに。

崔由姫さんは英国ロイヤル・バレエ団研修中にモニカ・メイソン(当時の芸術監督)に入団したいと言ったら断られ、他のバレエ団のオーディションを受けることに。モンテカルロ・バレエ団のオープンオーディションを受ける前日に、モニカに「気が変わったから入団しないか」と言われたそう!(実際は何か事情が変わったのでしょうが…)「オーディションは経験として受けてみなさい」と言われ、受けに行ったそうです。

一方平田さんはロイヤル・バレエ・スクール3年生でそろそろオーディションという時期に、デヴィッド・ビントレー(当時のバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督)がクラスを見にきて入団のオファーがあったため、オーディションは受けなかったとのこと。

ちなみに英国ロイヤル・バレエ団やバーミンガム・ロイヤル・バレエでは、履歴書での審査をパスした人が、カンパニークラスに2、3日から1週間ぐらい参加するのがオーディション。そこではバレエ団のダンサーたちと馴染めるかがみられているとのことでした。

 通じるものがあるパートーナーは貴重

「パートナーの男性によって舞台の緊張が変わるか?」という質問に対しては、3人揃って「変わる!」と回答。
加治屋さん「仕事だけど、やっぱり相性もある。(ふたりの相性が)あっている時はこれ以上のものはないと思う。ひとりで踊るよりいい」
崔由姫さん「相手を信じることが大切」
平田さん「サポートという面だけではなく、舞台の上で会話ができるような、通じるものがあるのは本当に貴重なパートナー」

平田さんは、2018年のバーミンガム・ロイヤルバレエの来日公演で共演したマチアス・エイマン(パリ・オペラ座 エトワール)について聞かれると「上手なだけではなく、人間的にもとてもいい人で、食事に行くなど仲良くなった」といい、加治屋さんは「スタジオの外でも仲良くなると信頼感が増すよね」と話されていました。

 バランシンはハード!

「印象に残っている役、気に入ってる役や作品は?」という質問に対しては、

崔由姫さん「初めて踊った全幕の主役。バヤデールのニキヤ。セルゲイ・ポルーニンと一緒にデビューだったし。ナターシャ(ナタリア・マカロワ)が1ヶ月指導してくれた。本番でも2幕と3幕の間もダメ出しされた(笑)」
一方、「アシュトン作品が一番自分に合っている気がする。音の取り方も好き」とも話していました。

平田さん「(マクミラン版の)ジュリエットを初めてやった時。”踊った”という感覚がなかった。その人を生きるというか。実際に役をやるまではすごく『ロミオとジュリエット』がやりたかったわけではなかったけど、経験してから作品に対する見方が変わった」

平田さんはさらに「普段マクミランなどを中心にやっているなかで時々バランシンをやると大変!体の使い方が全然違う」
崔由姫さんも「バランシンは体力的にも大変。ロイヤルは”コンパクト”にするけど、バランシンは”解放する”踊り。メソッドの違いもある」

そこで話は「大変だったバランシン作品」に。
崔由姫さん「『シンフォニー in C』の第3!(『ジュエルズ』の)ルビーもだけど」
加治屋さん「第2、第3やったことある。第3はみんな舞台袖で伸びてる(笑)」
平田さん「『テーマとバリエーション』も。コーダの時は意識がない(笑)立っているかどうか感覚がなくなる」
流麗で躍動感あふれる『シンフォニー in C』や『テーマとバリエーション』。観ているぶんには爽快そのものですが、ダンサーの皆さんは気を失いそうなほどキツいということがよくわかりました(笑)

 

他にも舞台での失敗談やポアントのブランドやレオタード、趣味の話など、なかなか話は尽きませんでしたが、バレリーナ・トークは予定時間を40分ほどオーバーして終了。加治屋さんも「会いたいね。女子会したい!」と名残惜しそうでした。

Hearts for Artists〉今後の予定

今後はオンライントークやオンラインレッスンが8月2日(日)まで続く予定です。

レポートが全く追いついていませんが、7月25日(土)に開催された小野絢子さんとのトークの最後に、これから登場するダンサーの名前が告知されました。

すでに告知されているのはこちらのイベント↓

近藤亜香さん(オーストラリア・バレエ団)飯島望未さん(ヒューストン・バレエ) 大久保 沙耶さん(オランダ国立バレエ団)と加治屋百合子さんのバレリーナ・トーク!

balletchannel.jp

 さらに日程はまだ明らかになっていませんが、再登場の川崎章広さんによるトレーニング・レッスンや、池田武志さん(スターダンサーズ・バレエ団)大谷遥陽さん(スペイン国立ダンスカンパニー)西島勇人さん(ブライト・ステップ代表/ポーランド国立ポズナン歌劇場バレエ団)アクリ瑠嘉さん(英国ロイヤルバレエ)、金子扶生さん(英国ロイヤルバレエ)のお名前も!最終日には加治屋百合子さんご本人のレッスンやトークが開催されるようです。

 

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》について

〈Hearts for Artists〉が寄付を行う《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》は、コロナ禍で大きな影響を受けた舞台芸術に携わるアーティスト・クリエーター・スタッフ(個人・団体・企業問わず)の今後の活動に向けた金銭的支援を目的として設立された基金です。

2020年8月25日までクラウドファンディングで寄付を募っています。一口3,000円から寄付が可能です。

《舞台芸術を未来に繋ぐ基金》https://www.butainomirai.org/

おわりに

前回に引き続き、3人の仲の良さが伝わってくる和やかな対談でした。平田さんが「みんながバレエ団で活躍しているのを見ると心強い」と話していましたが、それぞれの活躍が励みになる存在っていいですね。

もともと崔由姫さんの踊りのファンなのですが、チャーミングで率直でちょっと天然な(笑)キャラクターが伝わってきてますます好きになりました。

 

 ★最後までお読みいただきありがとうございました。