英国ロイヤル・バレエ団の小林ひかるさんプロデュースのガラ公演「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」を鑑賞してきました。 豪華メンバーによる魅力的なプログラム…楽しかった!
公演概要
公演日:
1月31日(金)19時〜 Part 1 & Part 2
2月1日(土) 13時〜 Part 1 & Part 3
2月1日(土) 17時〜 Part 2 & Part 3
会場:昭和女子大人見記念講堂
芸術監督:小林ひかる(元英国ロイヤル・バレエ団 ファーストソリスト)
出演:ローレン・カスバートソン、ヤスミン・ナグディ、高田茜、メリッサ・ハミルトン、マヤラ・マグリ、フェデリコ・ボネッリ、平野亮一、ワディム・ムンタギロフ、ウィリアム・ブレイスウェル、アクリ瑠嘉
小林ひかるさんプロデュースの新しい演出
テーマごとに3つのパートに分かれた作品を、1公演につき2パートずつ上演するという面白いスタイルの公演。私は1月31日(金)夜と2月1日(土)昼を鑑賞したので、パート2とパート3は1回ずつ、パート1は2回鑑賞することになりました。個人的にはパート1が一番よかったので、このパートを2回観られたのはラッキー!同じキャストで同じ演目を2回観るのも意外に面白かったです。
またそれぞれの作品の上演の前に、舞台上のスクリーンに作品の簡単な解説の映像が流れる演出も。作品によって、ダンサー自身が語ったり、振付家や指導者が出演。ウェイン・マクレガー、モニカ・メイソン、ベジャールバレエ団のエリザベス・ロス、デヴィッド・ビントレー、ダーシー・バッセルらが登場していました。
Part1:ダイナミズム
テーマ:Dynamism - ロイヤルゆかりの作品が誇るダイナミックな妙技を
演目&キャスト:
1.『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ ヤスミン・ナグディ、ワディム・ムンタギロフ
2. "Corybantic Games"よりパ・ド・ドゥ マヤラ・マグリ、アクリ瑠嘉
3.『コッペリア』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ 高田茜、ウィリアム・ブレイスウェル
4.『ライモンダ』第3幕 グラン・パより メリッサ・ハミルトン、平野亮一
5. 『クローマ』よりパ・ド・ドゥ マヤラ・マグリ、アクリ瑠嘉
6.『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』 ローレン・カスバートソン、フェデリコ・ボネッリ
このパートでというより、この公演全体で圧巻だったのは、なんといっても「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」。もともと大好きな作品ですが、ローレン・カスバートソンが本当に素晴らしかった!
軽やかさ、美しさ、音楽性、引き締まったテクニック…どれをとっても文句なし。
「Alexandre magazine」のインタービューの記事でも、彼女自身がこの演目を踊ることを一番楽しみにしていることが語られています。そんな彼女の気持ちが目に見えるようでした。そして改めてこの作品の振付の素晴らしさも味わうことができた気がします。この演目が2回観られて幸せ…
黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥはワディム・ムンタギロフの黒鳥に焦らされて戸惑う演技が好きです (笑)。クールなヤスミン・ナグディとの組み合わせもよかった。
マヤラ・マグリとアクリ瑠嘉のペアは、短めのコンテンポラリー作品が2つ。マヤラの身体能力の高さとクリアな動き、音楽との一体感が素晴らしかったです。
先日ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマでも観たばかりの「コッペリア」は高田茜ちゃんとウィリアム・ブレイスウェルのペア。ウィリアム・ブレイスウェルは3月に日本でも公開される映画「ロミオとジュリエット」のロミオ役に抜擢された注目のダンサー。1回目の公演ではサポートやリフトがぎこちなく、踊りも固かった気がしますが、2回目は大分スムースでした。3幕のグラン・パ・ド・ドゥのリフトは難易度高そうだし、緊張していたのかな。茜ちゃんは最近何を踊っているのを観ても色っぽいなと思ってしまうのですが、やはりちょっと色っぽいスワニルダでした。
Part 2 パーソナル エモーション
テーマ:Personal Emotion - ダンサー自身が想いを表現できる作品を自ら厳選
1.『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ ヤスミン・ナグディ、ウィリアム・ブレイスウェル
2.『レクイエム』より2つのソロ フェデリコ・ボネッリ、ローレン・カスバートソン
3. ”Two Pieces for HET” マヤラ・マグリ、アクリ瑠嘉
4. ”Dance of the Blessed Spirits”ワディム・ムンタギロフ
5. 『ルナ』(月のソロ)メリッサ・ハミルトン
6.『春の水』よりパ・ド・ドゥ 高田茜、平野亮一
「ロミオとジュリエット」以外は、観る機会の少ない作品が多かったPart2。
ヤスミン・ナグディとウィリアム・ブレイスウェルの「ロミオとジュリエット」。ウィリアム・ブレイスウェルのロミオはフレッシュでよかったです。(映画にも期待。)バランスの良いペアでした。
”Dance of the Blessed Spirits(精霊の踊り)”はマクミランがアンソニー・ダウエルのために振付た作品。シンプルな動きが多い、割と地味な演目ですが、ワディム・ムンタギロフの美しいラインが引き立っていました。
ギエムの十八番として知られるべジャール作品「ルナ」。メリッサ・ハミルトンの全身白タイツの踊りも美しかったです。
高田茜、平野亮一ペアの「春の水」はラフマニノフの音楽に振付たロシアのアクロバティックなバレエ。驚くようなリフトやダイブが含まれています。「バレエチャンネル」に、この公演についての2人のインタービューが掲載されていましたが、「春の水」は平野さんの良さが打ちだせる演目として、小林ひかるさんから提案されたとのこと。確かに男性の力強さと高度なパートナーリングが要求される作品でしたが、このペアだと安心して観ていることができました。でもこの作品は短いんですよね。2分ぐらい。このペアはもうちょっと観ていたかった。
Part 3 ミスティカル ビーイング 神秘的な存在
Mystical Being - バレエ作品で語り継がれる物語
1.『火の鳥』よりパ・ド・ドゥ マヤラ・マグリ、平野亮一
2. "Homage to the Queen"よりEarthのパ・ド・ドゥ 高田茜、アクリ瑠嘉
3.『アポロ』より メリッサ・ハミルトン、フェデリコ・ボネッリ
4.『ラ・シルフィード』 ヤスミン・ナグディ、ウィリアム・ブレイスウェル
5.『シルヴィア』よりグラン・パ・ド・ドゥ ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンタギロフ
「神秘的な、人間でない存在」にスポットを当てたPart3。
フォーキン振付、音楽はストラヴィンスキーの「火の鳥」は、昨シーズンの終わりに英国ロイヤル・バレエで全幕の公演があったようですが、このパ・ド・ドゥは冒頭の部分ということ。全幕で観た方が楽しめそうな演目です。衣装も踊りもダンサーも濃かった(笑)
"Homage to the Queen"のEarthのパ・ド・ドゥはデヴィット・ビントレー振付。「地の精の踊り」ということでしたが、エキゾチックで力強い踊り。高田茜、アクリ瑠嘉ペアにはとても合っている演目でした。アクリ瑠嘉くんはこの演目が一番よかった気がします。
だんだん緊張がほぐれてきたのか、「ラ・シルフィード」のウィリアム・ブレイスウェルは本領発揮という感じ。ブルノンヴィルの足さばきがきれいでした。
ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンタギロフの「シルヴィア」も素晴らしかったです。難しい振付をものともしないローレンの自信に満ちた踊り。そして、ワディムのバリエーションは流れるように美しかった!ジャンプしている時のラインにうっとり。ワディムは観るたびに進化している気がします。
おわりに
長文になってしまい、一部の演目は感想をはしょってしまいましたが、全ての演目はずれがない、満足度の高いガラでした。
恥ずかしながら、感動した公演でも内容をすぐに忘れてしまう、忘却力の高い私ですが、今回観た「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」は忘れない気がします。
おまけ
めったに公演グッズは買わないのですが、パープル&シルバーに魅せられて買ってしまったエコバッグ。サイン入りTシャツも人気でした。
1993年のダーシー・バッセルとゾルタン・ソイモジーの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」が収録されています。
★最後までお読みいただきありがとうございました。