ballet addict

大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

【バレエ・シネマ観賞レポート】『ドン・キホーテ』 英国ロイヤル・バレエ団

f:id:logue5:20200615230457j:plain

緊急事態宣言が開け、少しずつ日常が戻りはじめていますね。まだまだ油断はできないですが…。バレエの劇場公演が戻って来るのはもう少し先になりそうですが、一足先にバレエ・シネマが戻ってきました!

6月12日(金)から6月18日(木)まで上映中の英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2019/2020『ドン・キホーテ』を観てきました。

TOHOシネマズシャンテでは、1日2回の上映。週末の午前中の回を観に行きました。チケットの販売は当日のみ。ひとつの席の前後左右は空けた状態での販売でしたが、実際には入場者10人ぐらいでガラガラ状態でした。映画館の入り口で、体温チェック(非接触式の体温計の設置あり)があります。

『ドン・キホーテ』公演概要 

【振付】マリウス・プティパ【追加振付】カルロス・アコスタ

【音楽】レオン・ミンクス

【指揮】マーティン・イエーツ
【キャスト】

キトリ:高田茜

バジル:アレクサンダー・キャンベル

ドン・キホーテ:クリストファー・サウンダーズ

サンチョ・パンサ:フィリップ・モーズリー

エスパーダ:ヴァレンティノ・ズケッティ

メルセデス:マヤラ・マグリ

キトリの友人:崔由姫、ベアトリス・スティクス=ブルネル
キューピッド:アナ・ローズ・オサリヴァン

ドルシネア:ララ・ターク

ドリアードの女王:金子扶生
ロレンツォ(キトリの父):ギャリー・エイヴィス

ガマーシュ:トーマス・ホワイトヘッド

*この公演は英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/2019でも上映されていました。

上映館はこちら↓

ドン・キホーテ | 「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」公式サイト

ノリのいいアコスタ版

 元英国ロイヤルのプリンシパル、今年1月にバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督に就任したカルロス・アコスタの改訂振付版。アコスタ版のドンキ・ホーテは昨年の英国ロイヤル・バレエの来日公演でご覧になった方も多いのではないでしょうか?

幕間のインタビューによると、ケヴィン・オヘアが英国ロイヤル・バレエ団の芸術監督に応募する際に、プレゼンでアコスタの『ドンキ・ホーテ』を提案したとの事。それまで、ロイヤルではしばらくドンキ・ホーテの上演は途絶えていたらしいですが、ケヴィン・オヘアが芸術監督に就任した後、彼の構想通り、アコスタの振り付け改訂・新演出で2013年に英国ロイヤル・バレエのレパートリーとして蘇りました。

アコスタ版の特徴は、楽しくノリがよく、ちょっとコミカル。街の人々やジプシーが賑やかに掛け声をかけたり、ブーイングしたりと、ダンサーが声をあげるのもそんな演出のひとつ(この演出は賛否両論あるようですが)。コールドバレエも含めて、踊りもたっぷりあり、特に男性ダンサーの見せ場が多い。1幕目でセットが場面展開に合わせて大きく動いたり、ダンサーが馬車の上で踊ったり、舞台上でギターの生演奏があったりと、エンターテイメント的な要素が強くなっている印象です。

またほかの版ではみた覚えがないですが、キトリに振られたガーマーシュが、酒場の女の子に求婚して結ばれるというコミカルな小ネタも。全体的にガーマーシュの出番・踊り多めです。

強くて色っぽい!高田茜ちゃんのキトリ

高田茜ちゃんは強靭なテクニックを存分に発揮し、ちょっと色っぽいキトリを演じています。膝から甲にかけてラインがいついかなる時も美しく、一瞬の緩みもない感じ…

昨年の公演は怪我で来日できず、茜ちゃんのキトリを生で観ることができなかったのが本当に残念!

アレクサンダー・キャンベルは、そんな茜ちゃんを引き立てる、人の良さそうなバジルでした。

キトリの友人の崔由姫ちゃんも安定の可愛さ。崔由姫ちゃんの踊りは、ことさらにメリハリをつけたり、テクニックを見せつけたりという要素は全くないのに、目がひきつけられます。音楽と気持ちよくシンクロする素直な踊り…。こういう個性の人は珍しい気がします。

私の中ではロイヤルのベスト・エスパーダは、なんといっても昨年の来日公演で観た平野亮一さんなのですが、ヴァレンティノ・ズケッティのキレの良い踊りも良かったです。ヴァレンティノ・ズケッティって身長があまり高くないし、キャラクター的にもちょっと「陰」な感じなので、エスパーダ??と思っていたのですが、実際演じているのを観ると、こういう小柄でキザなエスパーダもいそうだなと思わせるものがあります。高身長のエスパーダ軍団を小柄なリーダーが率いているのは、若干ユーモラスに見えてしまいますが(笑)

そしてドリアードの女王、金子扶生さんはこういう気品のある優雅な役がほんとうに似合う。日本人にしては珍しく肩幅がなだらかに広く、足は細く長く…そんな美しい骨格を存分に生かした踊りでした。

さらにロイヤルの名優軍団、クリストファー・サウンダーズ、トーマス・ホワイトヘッド、ギャリー・エイヴィスらが脇を固め、ドラマを盛り上げていました。

DVDはこちら↓

 

おわりに

次の英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン2019/2020の上映は『ドンキ・ホーテ』終了の翌日6月19日(金)から始まる『眠れるの森の美女』。ローレン・カスバートソンが怪我で降板し、急遽抜擢されて代役を勤めた金子扶生さんのオーロラが観られます。

眠れる森の美女 | 「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」公式サイト

 

www.youtube.com

*最新情報は公式サイトでお確かめください。

★最後までお読みいただき、ありがとうございました。