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『ジゼル』ボリショイバレエ in シネマ【バレエシネマ鑑賞レポート】

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6月24日(水)に上映されたボリショイバレエ in シネマSeason2019-2020のラトマンスキー版新製作の『ジゼル』を観てきました。

ほとんどの会場では昼夜2回の上映。座席は前後左右を開けた形でのチケット販売でしたが、前方の席を除けば、昼の回は販売された座席の7割ぐらいは埋まっている感じでした。入場時には非接触型体温計による体温チェックがあります。

 『ジゼル』公演概要

音楽:アドルフ・アダン
振付:アレクセイ・ラトマンスキー
台本:テオフィル・ゴーチェ、ジャン・アンリ・サン=ジョルジュ
キャスト:

ジゼル:オルガ・スミルノワ

アルブレヒト:アルテミー・ベリャコフ

ハンス(ヒラリオン):デニス・サーヴィン

ミルタ:アンゲリーナ・ヴラーシネツ

バチルド:ネッリ・コバヒーゼ

ベルト(ジゼルの母):リュドミラ・セメニャカ

収録日 2020年1月26日 ボリショイ劇場

バチルドが登場するラストシーンはオリジナルの復刻

今回上映の『ジゼル』 は新製作のラトマンスキー版。幕間インタビューでラトマンスキー自身が作品について語っています。
今回の再振付・新演出についてはついて、アイデアの源はパーソナルなものではなく、すべては過去の舞踏譜などの史料からとのこと。

エンディングはオリジナルに回帰。ウィリたちからアルブレヒトを守ったジゼルは、彼を許してバチルドの元にいくようにいい、土に還る。幕切れに登場したバチルドが、倒れこむアルブレヒトに手を差し伸べる…ラトマンスキーはキリスト教的なエンディングと語っています。

ラストシーンも含め、アルブレヒトの婚約者バチルドの描き方が特徴的。ジゼルとの心の交流や、ジゼルの死にショックを受ける姿など、人間的なあたたかみのある描き方になっています。だからこそ、アルブレヒトがバチルドの元に戻ることに違和感がなくなるのかもしれません。

全体的な印象としてはマイムが多め。幕開けに登場するハンス(ヒラリオン)が、ジゼルとアルブレヒトについてマイム、ベルト(ジゼルの母)が若い娘が踊りに夢中だとウィリになっちゃうわよとマイム、ジゼルとバチルドがマイムで恋人自慢…見慣れないマイムもあって、字幕が欲しかった(笑)

また、ラトマンスキーの特徴でもある大人数のコールドバレエの一糸乱れぬ踊りとフォーメションが素晴らしい!2幕のウィリたちの踊りはもちろんのこと、1幕の村人の踊りでも、男女合わせて32人から40人が踊る迫力の群舞。ロシア・バレエの底力を観る思いでした。

ジゼルが土に還り、バチルドが登場するラストシーンも最後に出てきます↓

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ボリショイ最強ペア?スミルノワ&ベリャコフ

個人的にはボリショイで今一番観たいペアであるミルノワ&ベリャコフ。どちらも素晴らしかったです。

スミルワは研ぎ澄まされた踊りが時に人間離れしてみえるほど。錯乱のシーンも、観ていて怖かった…。

私の中ではベリャコフはちょっと中性的なイメージのあるダンサーなので、どんなアルブレヒトを演じるのかと思っていましたが、明るく世間知らずのハンサム、何かあるとすぐ従者に「どうしよう…」と頼るダメ男な感じがはまっていました。柔軟性に富んだ美しい踊り、特に脚のラインが素晴らしい…容姿も踊りも文句のないアルブレヒトでした。

ミルタのアンゲリーナ・ヴラーシネツのしっかりした踊りとクール・ビューティーもよかったです。

ちなみにジゼルの母、ベルトを演じるのはかつてロシアバレエの名花と呼ばれたリュドミラ・セメニャカです。

 リュドミラ・セメニャカのジゼル↓

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おわりに

ボリショイバレエ in シネマSeason2019-2020の上映は、この作品で終了。

コロナ禍で鑑賞できなかった人も多いはず。ぜひアンコール上映を期待したいです。

また2020年11月〜12月の来日公演では、スミルノワもベリャコフも出演予定。楽しみです!

ボリショイ・バレエ2020年来日公演 公式サイト↓

www.japanarts.co.jp

★最後までお読みいただきありがとうございました。