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パリ・オペラ座バレエ シネマ『白鳥の湖』【バレエ 鑑賞メモ】

パリ・オペラ座バレエ シネマ『白鳥の湖』を鑑賞しました。パリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルの2作目です。

今回の上演、前代未聞の事態がおきていたようです。なんと予告されていた2016年収録(アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ)の映像ではなく、2019年収録(レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ)の映像が上映されてしまったという!

マチュー・ガニオとジェルマン・ルーヴェの見分けがつかなかったとか?笑。

映像取り違えは初日に判明したのでしょうが、すぐに2016年の映像が用意できなかったのか、結局1週間の上演期間の前半は2019年の映像、後半は2016年の映像が上演されたようです。

ことの顛末はこちら↓

白鳥の湖2016:重要なお知らせ | culture-ville

このお知らせによると、1回分の料金で2016年と2019年の両方が観られたラッキーな人がいたってことですね。うらやましい。マチュー・ガニオとジェルマン・ルーヴェの王子を比較して観るなんて、すごく面白そうなんですけど。

私は最終日に2019年版を鑑賞しました。

 公演・上演概要

『白鳥の湖』全4幕 パリ・オペラ座バレエ

公演収録日:2016年 12月

場所:パリ・オペラ座 バスティーユ 

上映時間:2時間47分

振付:ルドルフ・ヌレエフ (マウルス・プティパ、レイ・イワノフ版に基づく)

音楽:ピョートル・チャイコフスキー

指揮者:ヴェロ・パーン 

衣裳:フランカ・スカルシャピノ

舞台美術:エツィオ・フリジェリオ

照明:ヴィニシオ・シェリ

演奏:パリ・オペラ座管弦楽団

芸術監督:オーレリ・デュポン

映像監督:フランソワ・ルシヨン

キャスト:

オデット&オディール/アマンディーヌ・アルビッソン

ジークフリート王子/マチュー・ガニオ

ロットバルト/フランソワ・アリュ

王妃/ステファニー・ロンベール

パ・ド・トロワ/レオノール・ボラック、オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ

 

ヌレエフ版の『白鳥の湖』は1984年初演。ジークフリート王子の内面にスポットを当てた演出が特徴です。

今回の上演は、オンラインでも配信され、2017年に劇場公開もされていた2016年12月収録の映像。

上演前と幕間には、当時の芸術監督オーレリ・デュポンによる主要キャストへのインタビューがありました。

上演前はロットバルトのフランソワ・アリュ、オデット&オディールのアマンディーヌ・アルビッソン。幕間ではジークフリート王子のマチュー・ガニオ。

インタビューは実際の公演の時に収録しているようです。出演者たちも大変ですね。

余談ですが、インタビュアーとして登場する当時の芸術監督オーレリ・デュポンの出立ちはタイトな黒のスーツとメンズっぽい白シャツ、10cmぐらいありそうなハイヒール。う〜ん、かっこいい…。ただ回答者をさえぎるように矢継ぎ早に話すデュポン、インタビュアーには向いてないかも 笑。

鑑賞メモ

王子の深層心理にせまるヌレエフ版

ヌレエフ版では”「白鳥の湖」は家庭教師にふんした悪魔ロットバルトに操られたジークフリート王子が現実世界で抱える結婚という問題から逃げ込む夢の世界”(公式サイトより)ということらしい。

バレエ|パリ・オペラ座| Swan Lake | 白鳥の湖

下手に置かれた椅子に腰掛けて眠っている王子の後ろで、オデットが白鳥に変えられる場面が繰り広げられる幕開けから、白鳥の物語は王子が見ている夢ということがはっきり示されます。

2幕の湖のシーンの装置も1幕の宮殿の階段や列柱の一部がそのまま残され、奥に平面的な湖の風景が描かれているという特徴的なもの。整然とした背景をバックに踊られる白鳥のコール・ド・バレエからは、より現実離れした夢の中の光景のような印象を受けました。さらに1幕から4幕まで、王子はずっと同じところにいるようにも見え、この版にぴったりあっているなぁと。

 

あまりにも難し過ぎて、ときには物語が途切れてしまう感じがすることもあるヌレエフの振付。この『白鳥の湖』は、超絶難しそうではありましたが、比較的自然な流れの中で観ることができました。

一点気になったのは、コール・ド・バレエからメインキャストまで、手を繋ぐ振付が多いこと。2人とか3人で上にあげた手を繋いで踊りったり、3人で手を繋いで、ふたりが繋いだ手の下を、もうひとりがくぐるフォーメーションとかがやたらと出てくる。

これはヌレエフの好みなんでしょうか?

今回はじめて気がついたので、別の作品でもチェックしてみよう。

マチュー・ガニオのエレガンス

ヌレエフ版の孤独で繊細なジークフリート王子に、マチュー・ガニオがぴったりはまっていました。憂いのある表情、踊りから滲みでる王子の気品とエレガンスが見事。

マチュー・ガニオはもちろん美しいけど、意外に薄味というか、そこまで興味を引かれないなあと、生意気にも思っていた時期もあるのですが、ここ数年で考えを改めました。若くしてエトワールになり、こういうノーブルな役を踊り続けてきた人の凄みを感じる…。

インタビューでは「そろそろ白鳥は…」みたいな言葉もでていましたが、ジークフリート王子はぜひ踊り続けてほしい。

アマンディーヌ・アルビッソンのオデットは野性味がある白鳥というか、ちょっとした動きや仕草に鳥っぽさがあったのが印象的でした。一方、黒鳥オディールは強さと生命力に溢れて魅力的。

ただボリューム感がある立体的なボディのアマンディーヌ・アルビッソンと、マチュー・ガニオの見た目のバランスは今ひとつかも。マチュー・ガニオの王子には、もうちょっと線の細いタイプが似合いそう…。

ダーク・ヒーロー、ロットバルト

王子の家庭教師と悪魔ロットバルトは、公演当時はまだプルミエール・ダンスールだったフランソワ・アリュ。キレのあるパワフルな踊りが素晴らしかったです。

どちらかといえばエレガントなタイプが多いパリ・オペラ座の男性ダンサーの中で、フランソワ・アリュは目立つ存在ですよね。

今回間違って上演された2019年版の映像でもロットバルトはフランソワ・アリュ。きっと当たり役なんでしょう。

上演前のインタビューではアリュは、ロットバルトの役作りにマーベルのキャラクターを参考にしたと語っていましたが、この版のロットバルトの衣裳は、なんだか戦隊ヒーローっぽかった。ブラックのレザーっぽいボディスーツとか。繊細な色合いや刺繍が美しいオーソドックスな王子の衣裳とのコントラストが印象的でした。

豪華なパ・ド・トロワ

1幕のパ・ド・トロワはレオノール・ボラック、オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェのという豪華な顔ぶれ。レオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェはこのシーズンの『白鳥の湖』でエトワールに任命されているので、エトワール任命直前ですかね?3人とも華やかで美しかった。

オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェは3幕のスペインでも組んで踊っていました。3幕の各国の踊りは、振付も衣裳もキャラクターダンス感薄め。洗練されたパリ・オペ仕様という感じでした。

おわりに

パリ・オペラ座シネマフェスティバルの次回の作品は2023年1月6日(金)から公開の「マノン」。2015年オーレリ・デュポン引退公演の映像です。こちらも楽しみ。

 

このレッスンDVDにはマチュー・ガニオのヌレエフ版『白鳥の湖』の王子のソロが収録されているらしい!

 

パリ・オペラ座シネマフェスティバル『シンデレラ』の感想はこちら

www.balletaddict.com

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。