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東京バレエ団『上野水香オン・ステージ』Bプロ【バレエ鑑賞メモ】

東京バレエ団特別公演『上野水香オン・ステージ』Bプロを鑑賞しました。2月11日(土)の公演。

簡単な鑑賞メモです。

公演概要

『上野水香オン・ステージ』Bプロ

2023年2月11日(土・祝)14:00開演

東京文化会館 大ホール

2023都民芸術フェスティバル参加公演

【上演スケジュール】
第1部 50分
休憩   20分
第2部 45分
休憩   20分
第3部 20分

2023年3月で、19年にわたる東京バレエ団プリンシパルの契約を満了し、2023年度からゲスト・プリンシパルになる上野水香さんの節目の舞台。令和3年度芸術選奨文部科学大臣賞の受賞記念公演第2弾でもあります。

ゲストでドレスデン・バレエのプリンシパル、マルセロ・ゴメスが出演。

第1部 

「白鳥の湖」 第2幕より

振付:レフ・イワーノフ

音楽:ピョートル・チャイコフスキー

出演:

オデット:上野水香
ジークフリート王子:柄本 弾(←マルセロ・ゴメス怪我により変更)

四羽の白鳥:足立真里亜、中沢恵理子、上田実歩、中島理子
三羽の白鳥:二瓶加奈子、髙浦由美子、榊優美枝

 

当初予定では王子役はマルセロ・ゴメスの予定でしたが、リハーサル中に肋骨を痛め、急遽柄本弾さんに変更に。

ゴメスの素晴らしいサポートが観られなかったのは残念ですが、結果的に柄本弾さんで良かったのではないかとも思いました。

長年パートナーとして踊ってきただけあって、急な配役変更を感じさせない自然なパートナーリング。お互いへの信頼感が伝わってきました。

長身で手脚の長い上野さんは、やっぱりオデットが似合いますね。スタイルの良いダンサーが増えた今でも、上野さんのスタイルは群を抜いています。細いというだけではなく、ボディのスケール感が違う感じ。

「小さな死」

振付:イリ・キリアン

音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト

出演:

工 桃子 - 山下湧吾    安西くるみ - 海田一成
加藤くるみ - 大塚 卓    長谷川琴音 - 宮川新大
平木菜子 - 岡﨑 司    中川美雪 - 生方隆之介

 

東京バレエ団のダンサーによる「小さな死」。

ガラ公演で抜粋を観たことしかなく、性的ニュアンスが濃厚な男女のパ・ド・ドゥというイメージでしたが、通しでみるとこんなに面白い作品だったのかと驚いた。

舞台上に引き出された幕が瞬時に回収され、幕の下からいきなり現れるダンサーたち、床をなめらかに滑る黒いドレス…。美しい仕掛けの中で踊られる鮮烈な6組の男女のパ・ド・ドゥ。

12人のなかでも、宮川新大さんのキレの良さがひときわ目を引きました。

 

第2部

「シャブリエ・ダンス」

振付:ローラン・プティ 

音楽:エマニュエル・シャブリエ

出演:

上野水香、柄本弾
政本絵美、ブラウリオ・アルバレス

 

上野水香さんといえばローラン・プティ。

レッスン着のようなシンプルな衣裳で踊られる軽やかな作品。こういう振付こそプティの洒落たニュアンスが表現できないと踊れないだろうな。

「パキータ」より

振付:マリウス・プティパ

音楽:レオン・ミンクス

出演:

プリンシパル:涌田美紀 - 秋元康臣
第1ヴァリエーション:政本絵美
第2ヴァリエーション:伝田陽美
第3ヴァリエーション:中島映理子
ソリスト:工 桃子 - 安西くるみ、加藤くるみ - 長岡佑奈、榊優美枝 - 平木菜子

 

華やかなパキータ。好きな演目です。

秋元康臣さんの端正なリュシアンが素敵。

そして最近活躍が目立つ中島映理子さん。この演目でも大きな踊りが印象的でした。

「チーク・トゥ・チーク」

振付:ローラン・プティ

音楽:アーヴィング・バーリン

出演:上野水香、マルセロ・ゴメス

ミュージカルの名ナンバー「チーク・トゥ・チーク」にのせて、ローラン・プティがジジ・ジャンメールのショーのために創った小粋な作品。

この作品の水香さんが一番好きかも。粋で、ちょっとコミカルで、セクシーで、魅力的!

さらにマルセロ・ゴメスが超絶かっこいい!(肋骨を怪我したゴメスはこの演目だけ出演)。上野さんのインタビューで、はじめゴメスはこの演目に乗り気じゃなかったと読んだ気がするけど、どうして?こんなに似合うのに!

衣裳も素敵なんですよね。ありきたりのドレスじゃなくて、黒の長袖のボディにフリンジのスカート。そこから見える上野さんの黒いストッキングの長い足と黒のハイヒールが美しい。

上野水香さんのインスタグラムより。

 

第3部

「ボレロ」

振付:モーリス・ベジャール

音楽:モーリス・ラヴェル

出演:上野水香

樋口祐輝、和田康佑、玉川貴博、岡﨑司ほか

日本の女性ダンサーで唯一、ベジャールの「ボレロ」のメロディを踊ることを許されている上野水香さん。締めくくりはやはりこの演目ですね。

上野さんの日本での「ボレロ」デビューは2006年。このデビューのときの公演、観に行きました。

今回のボレロと17年前の微かな記憶を比べると、今回の方が自然体だった気がする。デビューのときは、もっと「強くあらねば」みたいな意志のようなもの感じました。

今回の方が音楽につき動かされて、ただ無心に踊っている感じ。ナチュラルなんだけど、強く引き込まれる。そんなメロディでした。

おわりに

ダンサーとしての成熟を感じる充実した舞台でした。

終演後、近くの席のおばさまたちが「やっぱり華があるのよ〜」「ここまでのスターはなかなかいないのよ〜」と口々に話していたのが印象的でした。

 

 

漫画になった上野水香さん!

 

★最後までお読みいただきありがとうございました。