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【鑑賞レポート】コンチェルト/エニグマ・バリエーション/ライモンダ第3幕 英国ロイヤル・バレエ シネマ 2020

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英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマ2019-2020のバレエ第1作「コンチェルト/エニグマ・バリエーション/ライモンダ第3幕」を鑑賞してきました。

とても見応えがあり、英国ロイヤル・バレエの魅力を堪能できるバランスの良いトリプルビルでした。作品概要は以下の記事に。

www.balletaddict.com

 

英国ロイヤル・バレエ団の魅力が堪能できる3作品

今回は日比谷のTOHOシネマズ シャンテで鑑賞。シャンテは今回、嬉しい1日2回上映。

平日の午前中の回は比較的空いていました。

上映時間は3時間9分ですが、作品自体のトータル上映時間は106分。残りは作品前の解説+インタビューと2回ある休憩時間です。ライブビューイングではありませんが、スケジュール進行は実際の公演とほぼ同じでしょう。

【タイムスケジュール】

解説+インタビュー 19分

コンチェルト 30分

休憩 17分

解説+インタビュー 16分

エニグマ・バリエーション 36分

休憩 17分

解説+インタービュー 14分

ライモンダ第3幕 40分

今回もMCはダーシー・バッセル。(相方は今回女性でしたが、名前を失念…)インタビューは芸術監督のケビン・オヘアと今回の作品を指導したバレエマスター達でした。キャラクター・アーティストのギャリー・エイヴィスもかっこいいスーツ姿で登場していました。

ケビン・オヘアが今回の3作品は全て1960年代の作品(ライモンダはフレエフ版のこと)で、ちょうど英国ロイヤル・バレエ団が有名になり始めた頃、と語っていたのが印象に残りました。

1960年代は、ケネス・マクミランとフレデリック・アシュトンという巨匠2人が英国ロイヤル・バレエ団にいて次々に名作を生み出し、1961年に亡命したヌレエフが度々ゲストとして踊っていた時代。この時代をリアルタイムで知っているダンサーたちが、今もバレエマスターとして振付指導にあったている…このトリプルビルは英国ロイヤル・バレエ団の伝統の継承という意味があるのですね。

 

コンチェルト

ドミトリー・ショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲2番にのせたケネス・マクミラン振付の抽象バレエ。ごくシンプルな衣装と照明だけの演出で繰り広げられる、「見る音楽」のようなバレエです。30分の作品ですが、観終わった後の深い深い満足感はなんだろう…バレエの本質的な魅力を強く感じさせてくれる作品です。

インタビューでも、「ミスがすぐわかる」「隠れようがない作品」という言葉が使われていましたが、ダンサーの能力や音楽性がはっきり見えてしまう怖い作品ともいえます。

第1楽章

ソリスト アナ・ローズ・オサリヴァン/ジェームズ・ヘイ

軽快な第1楽章。ジェームス・ヘイは伸びやかできれいな踊りでした。スティーブン・マックレーと比べると精度は若干落ちるかな。このパートの男性ソリストはスティーブン・マックレーの印象が強いので…比べる相手が悪いですね。

アナ・ローズ・オサリヴァンは軽快でフレッシュでした。

第2楽章

ヤスミン・ナグディ/平野亮一

一転してゆったりと叙情的な第2楽章。マクミランが当時の彼のミューズ、リン・シーモアのバーでのストレッチの動きから着想を得たというバーレッスンのような動きからスタートします。

この2人は素晴らしかった。ヤスミンの強靭なテクニックと平野さんの正確無比なサポートとリフト。1mmの無駄もない動きが美しかったです。ちょっとアクの強い役をやる時の平野さんが好きなのですが、この作品では新たな魅力を発見した気がします。


第3楽章

マヤラ・マグリ、 アナ・ローズ・オサリヴァン/ジェームズ・ヘイ、 ヤスミン・ナグディ/平野亮一

第1楽章、第2楽章のペアに加えて女性のソロ(マヤラ・マグリ)が加わり、息もつかせぬスピーディーな展開でエンディングへ。マラヤ・マグリはヤスミン・ナグディのように「私、失敗しないので」的な精巧でクールな踊り(褒めてます)とはまた違った、華やかなオーラがありますね。

コールドバレエも含めて一糸乱れぬ躍動感のある踊りが素晴らしかったです。

 

エニグマ・ヴァリエーション

 

「コンチェルト」とは好対照な作品ともいえる、アシュトンの「エニグマ・ヴァリエーション」。英国の作曲家エドワード・エルガーが「エニグマ変奏曲」を作曲したときの友人たちとのストーリー。彼の友人たちの肖像でもある14の変奏曲が、キャラクターを表したバリエーションとして踊られます。

衣装は19世紀末のクラシカルなスーツやドレス。インタビューで初演当時の衣装はツィードで重かったという話が出ていましたが、現在の衣装はどうなんでしょう。見た目にはなかなか踊りづらそうではあります。

エドワード・エルガーをクリストファー・サウンダース、キャロライン・エルガー夫人ラウラ・モレーラ、エルガーと交流があった音楽出版者イェーガーをベネット・ガートサイドが演じています。ベネット・ガートサイドの哀愁を感じさせる佇まいが好き(笑 )。イェーガー役もはまっていました。ロイヤルはベテランダンサーの層が厚いので、この作品にはぴったりです。

友人たちの踊りは、個性派揃い。建築家トロイトをマシュー・ボール、吃音の少女ドラベラをフランチェスカ・ヘイワード、犬になってしまった男シンクレアをアクリ瑠嘉が踊っています。

マシューボールは広いおでこ全開で美男子を封印して、癇癪持ちの建築家の役を踊っています。案外この方、この手の役が似合う人なんだなと思いました。

少女をやらせたらロイヤル随一の可憐なフランチェスカ・ヘイワード、キレキレのアクリ瑠嘉もよかったです。シンクレアは当初の振付が難しすぎて、再演ではみんな変更していたらしいですが、アクリ瑠嘉はオリジナルの振付で踊っているそうです。

ただ一曲が思いのほか短く、設定やキャラクターが飲み込めないうちに終わってしまうことも。14曲もあった?という感じ。これは作品の問題ではなく、観ている方の素養の問題かな(汗)。 初見で予習なしではちょっと消化不良でした。何度も観れば違うものが見えてきそうな作品です。
 

ライモンダ

ヌレエフ版のライモンダ第3幕。「ライモンダ」は全幕で見ると、踊りは素晴らしいけど物語としてはどうなんだろう…と思ったりするのですが、そんなことが吹き飛ぶぐらい豪奢で光り輝く第3幕。アレクサンドル・グラズノフの美しい音楽とハンガリーの民族舞踊を取り入れたエキゾチックな踊りにうっとりします。

ライモンダとジャン・ド・ブリエンヌはナタリア・オシポワとワディム・ムンタギロフのロシア人ペアが踊っています。

グラン・パ・ド・ドゥ、第1バリエーションは金子扶生さん。長い手足が本当にきれい。最近ぐんぐんといい役がついている彼女。さらなる活躍に期待大です。

ムンタギロフも相変わらず素晴らしかった。非常に難しそうなヌレエフの振付をすんなりあっさりと踊り、とても品のいいジャン・ド・ブリエンヌ。騎士としてはちょっと弱そうですが 笑

そして久しぶりに観た女王オシポアは、やっぱり女王だった (笑)。「ロシア人の血を見せてやるわ!」的なとても濃いライモンダでした。

ライモンダのバリエーションの左右交互のパッセ、パッセの振付の部分などでじっくり観ましたが、ポアントの足元が実に軽くてスムーズ。さすがオシポアさま、伊達にドヤ顔はしてません(褒めてます)。

 冒頭のチャルダッシュから、白で統一された豪華な衣装のダンサーたちで舞台が埋め尽くされる華麗なるフィナーレまで、夢の世界に連れて行ってくれるライモンダ第3幕でした。

 おわりに

英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマ2019-2020、1月24日(金)からは早くもバレエ2作目「コッペリア」がスタート。

アリアネラ・ヌニェスのスワニルダは楽しみです!

 

「エニグマ・バリエーション」に出ていたフランチェスカ・ヘイワード主演の「キャッツ」の記事はこちら。

 

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