パリ・オペラ座バレエ シネマ 2019年版『白鳥の湖』を鑑賞しました。主演はレオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ。
恵比寿ガーデンプレイスで開催されているパリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルで、急遽追加上映が決まった2019年版『白鳥の湖』。
昨年12月に2016年版『白鳥の湖』上演の際、期間前半は間違って2019年版が上映されてしまったという珍しいハプニングがありました。
「2019年版、観たかったなぁ」と思っていたので、今回の追加上演は嬉しい限り。
2019年版の上演期間は2023年5月11日(木)までです!
恵比寿ガーデンシネマ | YEBISU GARDEN CINEMA with UNITED CINEMAS | 映画館
アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ主演の2016年版の感想はこちら↓
公演・上演概要
『白鳥の湖』全4幕 パリ・オペラ座バレエ
収録:2019年2月 パリ・オペラ座 バスティーユ
台本:ウラジミール・ペギチェフ/ワシリー・ゲルツァー
振付:ルドルフ・ヌレエフ (マウルス・プティパ、レイ・イワノフ版に基づく)
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
音楽監督:フィリップ・ジョルダン
指揮:ワレリー・オフシャニコフ
衣装:フランカ・スカルシャピノ
舞台美術:エツィオ・フリジェリオ
照明:ヴィニシオ・シェリ
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団
芸術監督:オーレリ・デュポン
映像監督:フランソワ=ルネ・マルタン
【キャスト】
オデット&オディール:レオノール・ボラック
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ
ロットバルト:フランソワ・アリュ
王妃:ソフィー・マユー
パ・ド・トロワ :パク・セウン、オニール八菜、ポール・マルク
チャルダッシュ :シャルリーヌ・ギゼンダナー、Cyril Mitilian
スペインの踊り :パク・セウン、オニール八菜、ジェレミー=ルー・ケール、パブロ・レガサ
ナポリの踊り :マリーヌ・ガニオ、フランチェスコ・ムーラ
上映時間:約2時間33分
ヌレエフ版の『白鳥の湖』は1984年初演。ジークフリート王子にスポットを当てた演出が特徴で、”「白鳥の湖」は家庭教師にふんした悪魔ロットバルトに操られたジークフリート王子が現実世界で抱える結婚という問題から逃げ込む夢の世界”(公式サイトより)ということらしい。
今回上演の2019年版は、日本での正式な(12月のアクシデントは別として)劇場公開は初めてとのこと。
2016年版は芸術監督のオーレリ・デュポンが登場し、主要キャストのインタビューも収録されていましたが、今回は舞台映像のみでした。
ちなみにジェルマン・ルーヴェが2016年に飛び級でエトワールに任命されたのは、王子を踊った『白鳥の湖』の公演。
繊細な王子、ジェルマン・ルーヴェ
2016年版のジークフリート王子を演じたマチュー・ガニオの系譜を継ぐ正統派ダンスノーブル、ジェルマン・ルーヴェ。その佇まいも、端正な踊りも、王子そのものでした。
映像で観ていると、横顔などは時々、マチュー・ガニオにそっくりな瞬間があります。また長くてすんなりした、美しい脚のラインも似ている。
孤独と憂いを感じさせたマチュー・ガニオのジークフリート王子に対して、ジェルマン・ルーヴェの王子は若く、内気で繊細に見えた。
ふたりのちがいが顕著にあらわれているように感じたのは、ロットバルトととの関係。
マチュー・ガニオの王子はロットバルトに操られながらも、どこか王子の威厳のようなものを感じさせたのに対して、ジェルマン・ルーヴェの王子から感じるのは純粋な戸惑いや畏れ。ロットバルトに支配されていくさまが痛々しかった。
2016年版と同じく、ロットバルトはフランソワ・アリュ。2019年版ではスキンヘッドになっていて、さらに悪役感が増していました。踊りのキレはそのままに、堂々とした風格が加わり、ますますパワーアップ。繊細なジェルマン・ルーヴェの王子とのコントラストが鮮やかでした。
パリ・オペラ座の公式チャンネルより。
ジェルマン・ルーヴェのジークフリード王子、3幕のヴァリエーション。
レオノール・ボラックの見事なアラベスク
レオノール・ボラックのオデットも見事でした。特に印象深かったのは、白鳥独特のポール・ド・ブラでのアラベスクのポーズ。体幹の強靭さを感じさせる、研ぎ澄まされたラインが素晴らしかった。
2016年版のアマンディーヌ・アルビッソンもそうでしたが、レオノール・ボラックもちょっと野性味のある、鳥っぽさを感じさせるオデットでした。ヌレエフの振付がそう感じさせるのだろうか。
豪華パ・ド・トロワ再び
2016年版のパ・ド・トロワのキャストは、レオノール・ボラック、オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ。2019年版の主役のふたりとオニール八菜さんというキャストでした。
2019年版ではパク・セウン、オニール八菜、ポール・マルク。この3人もいまでは全員、エトワール。(先日のオニール八菜さんのエトワール任命のニュースは嬉しかった!)次期エトワールを期待されるダンサーがキャスティングされる役なんでしょうね。
3人とも華があり、惹きつけられました。特にパク・セウンの柔らかで可憐な踊りはトロワのムードにぴったりでした。
パリ・オペラ座の公式チャンネルより。
2019年版パク・セウン、オニール八菜、ポール・マルクのパ・ド・トロワ。
4幕の白鳥たち
2016年版以上に、4幕は上から俯瞰で撮っている映像が多かった気がする。複雑で刻々と変化する白鳥たちのフォーメーションがよく見えました。
パリ・オペラ座のコール・ド・バレエは、そこまで「一糸乱れぬ」というイメージでもなかったのですが、上からのアングルでも整然と揃っていました。
4幕に繰り返し出てくる、片手を白鳥の首のように前に出して姿勢を低くし、列を組んで歩いてくる白鳥たちの動き。その姿が本当の鳥のようで印象的でした。
おわりに
昨年から楽しんできたパリ・オペラ座バレエシネマフェスティバルも、ひとまずこれで終了。
来年7月、パリ・オペラ座バレエ団が4年ぶりに来日するようですね!
予定される演目は『白鳥の湖』!
【開催決定】パリ・オペラ座バレエ団 2024年日本公演/What's New/NBS日本舞台芸術振興会
2020年3月、コロナ感染拡大の直前に観たのがパリ・オペラ座バレエ団来日公演だった。4年ぶりの来日は感慨深い。
楽しみに待ちましょう!
このレッスンDVDにはマチュー・ガニオのヌレエフ版『白鳥の湖』の王子のソロが収録されているらしい!
★最後までお読みいただきありがとうございました。