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大人バレエとバレエ鑑賞を楽しむための情報発信ブログ

正しいポール・ド・ブラは贅肉を制す【大人バレエつれづれ】

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今年になってからレッスン中の鏡に映る自分の姿をみて、気になっていたことがありました。

それは「ふりそで」の出現…

そう、あの中年女子の二の腕に現れるおそろしい贅肉です。

特にアロンジェで前に腕を伸ばしたときに、骨からたるっとぶら下がるような贅肉、ふりそでが出現する…

コロナ禍で日常生活での運動量が減って、なんとなく全身の肉が柔らかくなってきたな〜とは気がついていたのですが 汗。

私はどちらかといえばウエストや背中などの胴体部分に肉がつきやすい体型。腕は体の中ではもっとも太りにくいパーツで、一応バレエもやってるし、と完全に油断していました。

後ろタンジュやアラベスクで前に腕を伸ばすたびに出現する贅肉に、イヤ〜な気持ちになっていましたが、このふりそで、コロナ太りのせいばかりではなかったことが最近判明してしまいました。

 

先日アン・オーのやり方を間違えていたという記事を書きましたが…↓

 

www.balletaddict.com

同じB先生のレッスンでのこと。

ダンジュのレッスンなどで、前ダンジュでアン・オーにあげた片手を、後ろダンジュでアン・ナヴァンにおろして前にアロンジェして伸ばすという定番のポール・ド・ブラがありますよね。

先生から注意されたのは、「アン・オーにあげた手の形のまま肩の位置を変えずにおろしてきて、アロンジェで前に伸ばすように。これはそのためのレッスンですから」ということ。

これをきちんとやろうとすると結構きつい…(私がかなり前肩なせいもありますが)。

この注意を受けた後、家の鏡の前で練習をしていたのですが、ふと鏡を見ると

「前に伸ばすアロンジェでもふりそでが見えない!」

そう、正しい(と思われる)ポジションではふりそでがほとんど見えなくなるんです。

きっちり二の腕を旋回させているからかな…

残念ながらポール・ド・ブラの練習によって、贅肉が落ちたというわけではなく、今までのテキトーなやり方をするとまたふりそでが出現する…

人間を細く長く美しく見せてくれる…バレエって本当によくできてる!

 

正しいポジションでレッスンしていれば、そのうちふりそでも取れるでしょうか?

美しいポール・ド・ブラ目指して、精進したいと思います。

バレエを解剖学的に解き明かす名著↓

 

吉田都さんの美しいお手本を見ながら、自宅レッスン&筋トレ↓

★最後までお読みいただきありがとうございました。

どうやらアン・オーのやり方を間違えていたようです【大人バレエつれづれ】

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最近レッスンで衝撃を受けたことについて書きたいと思います。

それは…

「アン・オーのやり方を間違えていたかも…」

ということ。

 イカ型アン・オーを克服できるのか

アン・オーといえば、バレエのポール・ド・ブラの基本中の基本。上にあげた両腕で描かれるしなやかな楕円のライン…これなくしてはバレエは成立しないですよね。

しかし!大人バレエでありがちなのは、ひし形っぽいカクカクしたアン・オー。私は密かに「イカ型アン・オー」と命名しているのですが(なんか、イカの頭みたいだから 笑)、私のアン・オーもまさにそれ。二の腕は外旋させて肘を開く、肩が上がらないように…と自分なりに気をつけているつもりなのですが、自分の踊っている動画などを見るとやっぱりちょっとイカ型。「おかしい…でもどう直していいかわからない」とずーっと思っていました。

 

その気づきが訪れたのは、体の基本的な使い方をズバッとわかりやすく教えてくれるB先生のレッスンで。お教室が遠くてレギュラーでは教わってないのですが、時々遠征してレッスンを受けています。

レッスン中に先生が、「みんなけっこう誤解しているんだけど、ここはもっと上にあげるのよ。もちろん肩はあげたらダメだけど」とおっしゃって、私のあげている腕の付け根の背中側あたりにそっと手を添えて、二の腕を軽〜く上に引っ張り上げてくれたのです。その時鏡に映っていた自分のアン・オーの形が明らかに変わりました。イカ型から、滑らかな楕円形に!横から見ても、腕がまっすぐ伸びている…そして腕が長く見える!(あくまでも自分比です)

 

 今までアン・オーをする時は、とにかく肩が上がってはいけないと思い、肩先や腕の付け根あたりを下の方向に強く引っ張っていました。(腕を上げるポジションなのに下に引っ張る意識の方が強ければ、美しく腕が伸びているようには見えないのも当然か…)

B先生に腕を軽く引っ張ってもらったとき、いつもの下に引っ張る力は抜けていたのですが、肩は上に上がることはありませんでした。むしろ腕が上に伸びるのと反発するように肩が下がる感覚がありました。

 

そしてもう一つ驚いたことには、B先生に導かれたアン・オーのポジションでは「脇が感じられる」

よくレッスンで先生から注意される「脇を感じて」「脇を強く」「体の側面を使って」。言われている意味は頭では理解しているつもりでしたが、実際のところ自分の脇を感じられているかというと…???

しかし、先生に正しく腕を上げてもらうと、それと引き合うように脇が意識されるのを感じました。よく言われる「腕に助けられる」ってこういうことなのか…

 

間違っていたことがわかったとはいえ、すぐに直せないのが大人バレエの悲しさ…

ほかに色々注意することがあると、元のポジションに戻ってしまうし(なにせ10年以上間違っていたので )、なかなかB先生が導いてくれたポジションに一発では入らない。さらに恐ろしいのは、これだ!と思った感覚が時間と共に薄れて、ぼんやりしてきてしまうこと。

記憶が新鮮なうちになんとか体に染み込ませたい…と思っています。

*追記

その後あらためて、アン・オーをやる時の注意点を本やWEBなどでチェックしてみると、結構いろんなところに「肩を下げようとして腕の付け根を下に引っ張るのはNG」と書いてありました 汗。今までは読んでいても頭に入らなかったか、「そんなこといっても、こうじゃないと肩上がっちゃうし」と思い込んでいたためか…

大人になると体だけではなくて、頭も固くなる…いい教訓になりました。

 

おわりに

バレエのポジションやテクニックについて、ど素人&初心者の私が書くのもどうかなと思いつつも(私の気づきが果たして正解なのか…全くわからないですし)、今回の衝撃を記録しておきたくて記事にしました。

今後私のアン・オーがちょっとずつでも美しくなれば、正解だったということですよね…とりあえず頑張ってみます!

 

バレエを解剖学的に解き明かす名著↓

 

吉田都さんの美しいお手本を見ながら、自宅レッスン&筋トレ↓

★最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Kバレエカンパニー 『カルミナ・ブラーナ』限定配信【鑑賞レポート】

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Kバレエ カンパニーの『カルミナ・ブラーナ』2021特別収録版のオンライン限定配信を鑑賞しました。ダンサー、オーケストラ、合唱、子供合唱の総出演者はなんと総勢250名!芸術監督熊川哲也さん自身が特別出演していることでも話題の作品です。非常に濃密で見応えのある映像作品でした。

配信は4月27日(火)まで。視聴料金は5,300円です。

特設サイトはこちら

熊川哲也 『カルミナ・ブラーナ』 2021 特別収録版 | Bunkamura

予告編はこちら

www.youtube.com

この記事では、作品の概要や感想について書きたいと思います。

*ストーリーについては一部ネタバレありです。

2021.5.3追記

『カルミナ・ブラーナ』の劇場公開が決まりました。配信を見逃した方には吉報ですね。劇場完全版となっていますが、配信映像とは違うのだろうか…

公開は2021年5月28日(金)から!

www.k-ballet.co.jp

 作品・配信概要

Kバレエカンパニー『カルミナ・ブラーナ』2021 特別収録版

収録:Bunkamura オーチャードホール 2021 年 2 月
映像制作:TBS
収録時間:メイキング約10分+本編65 分

構成・演出・振付:熊川哲也

音楽:カール・オルフ

衣裳・美術デザイン:ジャン=マルク・ピュイッソン

指揮 :井田勝大 管弦楽 :シアター オーケストラ トーキョー
ソリスト歌手 :今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城敬(バリトン)
合唱 :新国立劇場合唱団
児童合唱 :NHK 東京児童合唱団

キャスト
アドルフ:関野海斗

 

花:毛利実沙子、佐伯美帆、高橋怜衣

植物:栗山廉、杉野 慧、グレゴワール・ランシェ、奥田祥智、田中大智

水:平野佐代子、新居田ゆり、栗山結衣、澤美葵、朴智願

鳥:吉田周平、酒匂麗、佐野朋太郎

 

太陽:髙橋裕哉

 

ヴィーナス:小林美奈

辻久美子、戸田梨紗子、浦邉玖莉夢、桐山結衣、望月恭花、吉岡眞友子

 

ダビデ:堀内將平

西口 直弥、本田祥平、牧野悟士、三浦響基、金瑛揮

 

天使:吉田早織、萱野望美、塚田真夕、辻梨花、徳光小麦、丸山さくら、由井里奈、吉光美緒、鈴木花奈、世利万葉、高橋夏海、藤吉沙季

サタン:遅沢佑介

白鳥:成田紗弥

 

神父:石橋奨也

西口 直弥、吉田周平、奥田祥智、佐野朋太郎、本田祥平、牧野悟士、三浦響基、五十嵐脩、上野風我、金瑛揮、田中大智、中井 皓己、森雅臣

 

特別参加:熊川哲也

 

熊川哲也版の『カルミナ・ブラーナ』の初演は、2019年のBunkamuramura30周年記念公演。2日間のみ上演され、再演不可能とも言われた幻の公演です。

2019年公演の特設サイト↓

K-BALLET COMPANY / 東京フィルハーモニー交響楽団 熊川版 新作『カルミナ・ブラーナ』世界初演 | Bunkamura

ナチス・ドイツの時代に生まれたカール・オルフの音楽の時代的背景からインスピレーションを得、運命の女神フォルトゥーナが産んだ悪魔の子アドルフが社会にもたらす闇を描いた作品になっています。

 

今回の配信は、今年2月オーチャードホールで無観客で収録された映像。初演時は中村祥子さんが演じた運命の女神フォルトゥーナは今回の作品には登場せず、代わりに人間を象徴する存在(役名なし)を熊川哲也さんが演じています。

悪魔の子アドルフは、現在世界の人々を苦しめているコロナウィルスのような災厄を象徴する存在として描かれます。作品の冒頭には「HUMANITY AGAINIST COVID-19」の文字が。

 

 配信はスタジオでバーレッスンを行う熊川哲也さんの映像でスタート。冒頭の9分ほどはリハーサルや熊川哲也さんが作品のコンセプトを語るメイキング映像です。

アドルフを演じる関野海斗さんと、熊川哲也さんの緊迫感のあるリハーサルの映像で、本編への期待が膨らみます。 

 熊川哲也さん VS 関野海斗さん

本編は曲や場面ごとにパートに分かれ、 タイトルがついています。

「発生 GENESIS」から始まり、「復活 THE NEW ERA」に至る物語には、『カルミナ・ブラーナ』の歌詞世界をモチーフとした様々なキャラクターが登場します。

自然(花、植物、水、鳥、太陽)、ヴィーナスとダビデ 、サタン、白鳥、神父。

それぞれが、アドルフと接触するとその美質を失い、欲望を露わにし、堕落し、悪行を行う…。

そんな災厄の象徴アドルフを演じるのは初演キャストでもある関野海斗さん。目つき、仕草、指先…邪悪で不吉な存在そのもの。3月の公演『白鳥の湖』の王子の友人ベンノを演じていた時とは別人のようでした。キレのある踊り、美しい足先も素晴らしかった。

冒頭とクライマックス、アドルフが熊川哲也さんと踊るシーンも、熊川哲也さんの強烈な存在感に負けないエネルギーがありました。

 関野海斗さんがベンノを演じていた公演の感想はこちら↓

www.balletaddict.com

熊川哲也さんの舞台上でのオーラと迫力はやはり別格。高速シェネも健在。生の舞台でも観たいとしみじみ思いました。

 

*3月オーチャードホールにKバレエカンパニーの『白鳥の湖』公演を観に行った時の写真。撮影OKの『カルミナ・ブラーナ』コーナーができていました。

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神父は石橋奨也さんの当たり役

 今回のメインのキャストは、ヴィーナスの小林美奈さん以外は全て初演キャスト。(ヴィーナスの初演キャストは病気療養中の矢内千夏さん

それぞれ役柄のイメージにぴったりでしたが、特に神父の石橋奨也さんが印象に残りました。ちょっとマッドな感じがハマっていて、今まで観た役では一番かも 笑。

石橋奨也さん演じる神父が大勢の神父(神学生?)たちを率いて踊る「神父の堕落 CORRUPTION」のパートは、疾走感のある振付と踊りが素晴らしかった。

メインキャスト以外では、鳥や神父を演じていた吉田周平さんの踊りが目をひきました。

印象的な天使の造形 

抑えた色彩のスタイリッシュな衣裳はジャン=マルク・ピュイッソンによるもの。バーミンガム・ロイヤル・バレエ団とシュツットガルト・バレエ団でダンサーとして活躍したのちデザインを学び、英国ロイヤルバレエ団をはじめとする世界のバレエ団の作品を手がけています。

アドルフのシンプルな黒のシャツとカーキのパンツ、神父たちの長いガウンなど、どれもムードがあり素敵でしたが、中でも印象的だったのは天使の衣裳。プリーツのある高い襟、薄いグレーの長いドレス、肩から腕につけられた白い羽衣。

この衣裳を着て、背中に回した手をひらひらさせて動き回る天使たち。可愛くはあるのですが、ちょっと不気味で何か別の生き物のようにも見える…。振付と衣裳が一体となって創り出すキャラクターは『カルミナ・ブラーナ』の作品世界にぴったりでした。

 

2019年公演の衣裳合わせの様子。天使の衣裳、神父の衣裳も登場↓

www.bunkamura.co.jp

劇場での舞台鑑賞とは異なる鑑賞体験

ドローンやクレーンを使用し、舞台上にも4Kカメラを配して撮影された今回の映像。(ラジオ番組に出演した熊川哲也さんが「制作費に1億はかかってる」と話していたのも納得…)

さまざまな視点から観るバレエは、劇場での舞台鑑賞とはまた違った面白さがありました。特に真上から見る舞台は思った以上に奥行きがあり、なぜかダンサーの肉体を生生しく感じるのも、新たな発見。

おわりに

バレエ・オーケストラ・合唱が融合した新ジャンルとも言えそうな作品を斬新な映像でとらえた、非常に見応えのある配信でした。(2019年の公演を観なかったのが、悔やまれる…)

繰り返し観るとその度に発見があります。配信は4月27日(火)まで。おすすめです。

 

バレエチャンネルに掲載された『カルミナ・ブラーナ』についての熊川哲也さんのインタビュー!

balletchannel.jp 


★最後までお読みいただきありがとうございました。